サッカーW杯が大変な盛り上がりの中スペインが優勝で終わりました。
私も毎日早起きして観戦していた一人です。
我らが日本代表は残念ながら決勝トーナメントの1回戦で敗退となりました。
日本代表が掲げていた「優勝」という目標と乖離が大きかったことから
その目標設定に対して議論が起きたのです。
そんな中
「個人的には、W杯は優勝以外目指しません。」
サッカー日本代表・堂安律選手がXに投稿したこの言葉が、大きな話題になりました。
続けて彼は、
「現実的な目標を掲げた方がいいという意見も分かります。でも、日本に帰ってきて一番言われたのは『次は優勝してください!』でした。『次はベスト8で』と言われたことは一度もありません。」
と綴っています。
さらに、本田圭佑さんもこの投稿に対し、
「優勝を目指さんでどうする。勘違いしないでどうする。」
と反応しました。
世界を目指すトップアスリートなら当然の考え方でしょう。
しかし、ここで一つだけ整理しておきたいことがあります。
それは、
「優勝」はビジョンとしては正しい。しかし、マネジメント上の目標とは別物である。
ということです。
ビジョンは人を動かす。目標は組織を動かす。
企業でもスポーツでも、「目的」「ビジョン」「目標」が混同されることがあります。
しかし、それぞれ役割はまったく違います。
- 目的(Purpose):なぜ存在するのか
- ビジョン(Vision):理想とする未来の姿
- 目標(Target):そこへ到達するための具体的な道標
例えば、
「ワールドカップ優勝」
これは素晴らしいビジョンです。
選手を奮い立たせ、ファンを熱狂させ、組織を一つにする力があります。
しかし、もしこれをそのまま「目標」としてしまうと問題が起こります。
なぜ問題なのか
目標とは、本来「現在地」を確認するための道標です。
例えば目標が「優勝」で、結果が決勝トーナメント敗退だったとします。
このとき、
「惜しかった」
「感動した」
「組み合わせが悪かった」
そんな評価になりがちです。
もちろん、それらも事実でしょう。
しかし、改善のために本当に必要なのは、
「何が足りなかったのか」
を検証することです。
PDCAで言えば、
Plan(計画)
↓
Do(実行)
↓
Check(評価)
↓
Action(改善)
この「Check」と「Action」が機能しなければ、組織は成長できません。
もし目標が
「決勝トーナメントで初勝利」
だったならどうでしょう。
達成したのか。
達成できなかったのか。
何が不足していたのか。
誰もが同じ基準で評価できます。
つまり、改善につながるのです。
エディー・ジョーンズは、それを実践していた
2015年ラグビーワールドカップ。
日本代表を率いたエディー・ジョーンズHCは、「日本ラグビーを世界に認めさせる」という高いビジョンを持っていました。
しかし、そのビジョンをそのまま目標にはしませんでした。
彼が掲げた具体的な目標は、
「南アフリカに勝つこと」。
そのために「Beat the Boks」キャンプを実施し、
- 南アフリカの徹底分析
- フィジカル強化
- メンタルトレーニング
- 戦術の反復
など、目標達成のための具体的な計画を積み重ねました。
高い理想は掲げる。
しかし、現場では評価できる目標を置く。
だからこそ、スポーツ史に残る「ブライトンの奇跡」が生まれたのです。
ビジネスもまったく同じ
会社でも、
「業界No.1になる」
というビジョンは必要です。
しかし、現場が管理する目標は、
- 新規顧客100件
- リピート率60%
- シェア10%
- クレーム率20%削減
など、測定できるものでなければなりません。
「世界一の会社になる」
だけでは、社員は何を改善すればいいのか分からないのです。
ビジョンと目標を混同しない
堂安選手や本田選手が語る「優勝しか目指さない」という言葉は、多くの人の心を動かしました。
私は、その姿勢を否定するつもりはまったくありません。
むしろ、組織にはそのような高いビジョンが必要です。
ただし、組織をマネジメントする立場なら、そのビジョンとは別に、
PDCAを回すための具体的な目標を設定しなければなりません。
ビジョンと目標は、どちらも組織には欠かせません。
しかし、その役割は違います
ビジョンは、人の心を動かすもの。
目標は、組織を前へ進める道標。
この二つを混同しないことが、スポーツでもビジネスでも、強い組織をつくる第一歩なのではないでしょうか。









