冷たいかもしれないけれど… | 行政書士の日々のくらしと風景

行政書士の日々のくらしと風景

大阪府箕面市の行政書士、濱坂和子のブログ
行政書士の視点から、日々のくらしを綴ります

最近、本当に多いのが「歳を取った親を呼ぶためのビザはないか」というご相談です。短期滞在の親族訪問ではなく、日本で子供と一緒に暮らすためのビザはないか、ということです。無料相談会の相談員をしていると、毎回一組は来られるような気がするし、直接私のところにも「知人がビザのことで困っているから、話を聞いてあげて」と持ち込まれることも多いです。

 

本来、若いころから日本で活動していたわけではない外国人が、高齢になってから子どもの世話になる目的で日本に来て子どもと長期間暮らすためのビザは、ありません。

 

何年か前までは、高齢夫婦が配偶者と死別して、子どもが国に一人もいない場合は、告示外の「特定活動」(大昔には告示外の「定住者」)という在留資格が与えられていました。

定住者は活動に制限がなく、アルバイトなど収入を伴う活動も、やろうと思えばできてしまうので、ある時期に就労できないよう特定活動という在留資格に変わり、それが昨今まったく許可が下りなくなった、という経緯です。

 

この手の相談のほとんどは、お隣中国の方です。圧倒的に分母が大きいのと、親孝行な国民性というのもあるのだと思います。すでに日本国籍になっている中国出身の方からのご相談も多いです。

 

お気持ちは理解するのですが、政府の方針も、しかたのないことだと思います。これを認めるなら基準を作って一律認めていくことになるので、そうすると日本は外国人の高齢者だらけの国になってしまう。ただでさえ日本人の高齢者も、若い世代が支え切れていない状況です。高齢になってから扶養だけ受けに来るという人々を受けて入れていたら、健康保険制度を含めて破綻すると考えるのは、無理からぬことです。

 

ならば他の在留資格で、と「経営・管理」などが狙われがちですが、本当に経営できるの?という年齢の方は、「経営・管理」の要件がそろっていても、かなりハードルがあがります。子どもが「私が経営している会社の役員に入れます」とかいう話もよく聞きますが、目的が明らかに違う場合は、私はもちろんお引き受けできませんし。

 

医療を受けるための在留資格がありますが、これは健康保険に加入できないですし(そういうとほとんどの方が無理だとおっしゃいます)、本来の目的は医療であって、子どもの扶養を受けるためのビザではないです。

 

できないものはできないので、「なんとかなんとか」という相談も、打ち切ることになります。申し訳ないですが。