yuyamatsukaze ha kome no uchi -2ページ目

Moo・Jo

風や雨が憂鬱なものになり、
窓をあける回数が減り、
水を使う度に中に含まれているものが気になる。

今、自分がおかれている状況を知りたくて
どうすれば避けられるのかと、
やっきになって情報をかきあつめ、
その結果わかったのは、
  あぁ、もう戻れないんだな…ということ。

地震に身構え、身体を縮めて暮らすことに、少々疲れ、
少しずつ、おっかなびっくり、自分にとっての日常を引っ張り出した。

  笑う
   食べる
   歩く

  お茶を点て
  着物に袖を通し
  絵筆をとる

楽観も絶望もしない。
避けられないものは、受け入れて抱えていくしかない。

「ありえない」ことが実現してしまった以上、
過去の日常は幻と割り切って、
  無常
という言葉を底に敷いた新たな日常を始めようかと思う。


結局、ケッキョク、どうなる、どうする…?

バラバラと書類や資料が棚から降ってくるほどの揺れを初めて体験してから
一週間がたとうとしている。

余震が続くことも不安だが、緊急の最重要課題は原発の動き。
下手をすると、というか確率は刻一刻と高まって、
自らも被災者の一人となりかねない状況に、何をするにも腰が引けている(゚_゚i)。

「情報活用力(情報リテラシー)」の重要性を身を持って勉強中。

テレビや新聞といったマスコミの情報だけでなく、
インターネットで配信されるツイッターやUSTREAMの情報も可能な限りかき集めて、
自分がどう行動するのかを判断しなければならない。
結局頼れるのは自分しかないのだと、思い知る…(_ _。)。

情報が少ないのも問題だが、多ければどの情報を選ぶのかは自らの判断。
可能な限りアンテナを張り巡らせていると、
テレビや新聞といったメディアの報道が、かなり操作というか編集されたものだというのもわかる。
間違ってはいないが、じゃあ正しいかというと、
結局は物事をとらえる観方の一つでしかないんじゃないか…な。

情報が錯綜する中、
危機的状況には、万が一の備えを充分にした上で
わずかに安全側の立ち位置をとることを選びたい。
テレビの情報は、三~四割引くらいになっていると眉にツバをつけるけどしっかり聞き、
「安心です」は、自分の中で「結構危険です」と翻訳し、
疎開はしないけど、籠る準備はしておく。
これでOKかな? いや、OKかどうかは自分で決めるんだよ…(+_+)ね。

妙に冷静な一瞬、ふと、あぁ、私はこんなにも生き延びたいんだと思う。

バネの利いたベットの上に立っているような不安定さ、
明日の朝はどんな状況で迎えるんだろう…。



着物の達人

閑静な白金の住宅地の中にある畠山美術館で酒井抱一を観た。

美術館にしては少し小ぢんまりした空間で、
実際に茶席で観るのに近い環境の中に展示してある趣向がなかなかいい感じ。
さすが茶の湯の美術館である。

先日の出光では、
どこかの茶会が終わってその後に寄った人たちなのか、やたら着物姿が目についたが、

今回の畠山美術館でも、着物姿を見かけた。

しかも今回は「達人(°∀°)b !」と呼びたくなるほど、
今まで私が観た中で一番カッコいい着こなし。

お年は70くらいだろうか。
一人は、黒っぽい地に赤から茶の模様が折り込まれた大島に、
白地に赤や青など、可愛らしい配色の博多帯。
帯だけ見たら、その年齢の方にはちょっと…と思いそうだが、
まったく違和感なく、素敵なコーディネート。
もうお一方は、
グレーの大きめの縞の間に、大きめの絞りが入った着物(何というんだろ?)に
灰桜の半衿、
薄目の黄色や水色のような地に、○で囲んだ有職紋が並ぶ帯。
全体に淡い色合いでまとめた着こなしに、結い上げた白い髪が美しい…(*^.^*)。
昨日今日着物に興味を持ち始めた若輩者には、真似のできないセンスである。

怪しまれないように、観察させていただき、
庭を散策して出口に向かうと、少し前をさっきの着物の方々が歩いている。
身体の中央あたりでぼかしになって左右で色が分けてあり、
黄みを帯びたグレーと灰がかった青みの緑の道行きがまた…。
ただ、ただ、まいりましたm(_ _ )m!というほかない。

もし同じものを二十代の女性が着ていたら、嫌みになるような気がする。
年重ねるからこそできる着こなしは、着物ならでは。 やっぱ奥深いなぁ。