2.武漢ウイルスとmRNAワクチンの免疫獲得までの違い。

 

COVID-19武漢ウイルスの場合

 

COVID-19武漢ウイルスは、細胞内に2通りの方法で侵入する。

 一つは、細胞表面のACE2の近くにTMPRSS2が有る場合とACE2とSタンパク質が結合した後TMPRSS2の分解酵素で溶融が起こりRNAを細胞内に送り込む。

 もう一つは、細胞表面のACE2とSタンパク質が結合しそのままの形で細胞内に取り込まれる、取り込まれて直ぐエンドゾームと融合しエンドゾーム内にあるカテプシンL分解酵素がSタンパク質を分離し融合ぺプチド領域を露出させRNAを細胞内に送り込む。

 

 

 ACE2、心臓、小腸、腎臓、精巣、肝臓の、上皮細胞で発現している。
ACE2の発現は年齢と共に上昇し、男性のほうがその密度が高い傾向が有る。
又、運動や喫煙でも上昇する。
心疾患、高血圧、慢性閉塞性肺疾患など持病もちの方も、発現量が上昇する。
ACE2(血管拡張作用)とACE(血管収縮作用)で強調し血管壁を弛緩させ血圧と血流を調整している。

 

 TMPRSS2腎臓、小腸、精巣などの組織で幅広く発現している。
Sタンパク質を分割できるプロテアーゼは、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)、フリン(Furin)、エラスターゼ(Elastase)、トリプシン(Trypsin)など。

 FURIN組織や気管支の一部の上皮細胞で発現しており、ACE2/TMPRSS2の組み合わせだけよりも潜在的に25%以上の細胞を感染させやすくしている可能性がある。

 

図の2bの場合ACE2毎細胞に取り込まれるためACEが増大し血管の調整機能不全(血管の収縮による血圧の上昇と血流の低下)とACE2減少の結果AngⅡレベルが上り臓器の形成や構造維持不良となり、相乗効果で肺などの臓器にダメージを与える。

 

考察
サイトカインによる炎症で血管をは膨張するが、ACEの増大で血管を収縮しようとする。しかもAngⅡの増大で臓器の構造維持が出来なくなる。炎症が酷くなれば成る程矛盾が拡大する。

 

 

 COVID-19の発症から治癒には、奇妙なパターンがある。
 最初の1週間は、かぜの症状、だいたい7日目に少しだけ症状がマシになったと感じる。ところが、軽症と重症化の明暗が分かれるのが7~10日目である。軽症の患者はそのまま快方に向かうが、重症化する患者は少しだけ気分がよくなったあと、サイトカインストームが起き急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進み突然悪化する。(潜伏期間は平均4.5日最長11.5日)

 

感染の推移を以下に示す。

 

 
注意:マイクロファージには、同じ食細胞として樹状細胞が含まれています。

 

 武漢ウイルス(COVID-19)が表面受容体アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)およびTMPRSS2を発現する細胞に感染すると、ウイルスの活発な複製と放出により、宿主細胞がピロトーシスを起こし、損傷(ATP、核酸、ASCオリゴマーなどの関連する分子パターン)を放出します。

 

 これらは、隣接する上皮細胞、内皮細胞、肺胞マクロファージによって認識され、炎症性サイトカインとケモカイン(IL-6、IP-10、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)、MIP1β、MCP1を含む)の生成を引き起こします。これらのタンパク質は、単球、マクロファージ、T細胞を感染部位に引き付け、さらなる炎症を促進し(T細胞によって産生されるIFNγを追加して)、炎症誘発性フィードバックループを確立します。

 

 正常な免疫応答(右側)では、最初の炎症がウイルス特異的T細胞を感染部位に引き付け、ウイルスが広がる前に感染細胞を排除することができます。これらの個人の中和抗体はウイルス感染を阻止することができます、肺胞マクロファージは中和されたウイルスとアポトーシス細胞を認識し、食作用によってそれらを取り除きます。全体として、これらのプロセスはウイルスの除去と最小限の肺の損傷につながり、回復をもたらします。

 

 過剰な免疫応答(左側)では、炎症誘発性フィードバックループより肺に免疫細胞がさらに蓄積し、炎症性サイトカインの過剰産生を引き起こし、最終的に肺のインフラストラクチャに損傷を与える。結果として生じるサイトカインストームは他の臓器に循環し、多臓器障害を引き起こします。さらに、B細胞によって産生される非中和抗体は、抗体依存性増強(ADE)を介してCOVID-19の感染を増強し、臓器損傷をさらに悪化させる。

※G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子, TNF:腫瘍壊死因子。

 

自然免疫による抗体

 

 

 COVID-19に感染した場合の抗体は、S,M,E,Nタンパク質抗体の4種類の抗体が出来る。

当然、変異株(1週間に1株程度で誕生)に対しても同じように4種類の抗体が出来る。

自然は、多種類の抗体を準備してどんな変異株にも対応できるようにしています。

ですから、今までの感染症は、ほぼ3年で沈静化しています。(今回は無理!)

COVID Vaccines


 

 尚、感染で死亡した患者が中和抗体活性のピークレベルに達するのに平均7日に対し、回復した患者は20日だったとのこと。そして感染の初期にSタンパク質に対する中和抗体を獲得した患者は、ARDS(急性呼吸器不全)の発生率が高かったようです。

これは、異なったSタンパク質の中和抗体は炎症反応をかえって悪化させる?ADE(抗体依存性増強)が起きている可能性が考えられる。

 

長期の免疫には、樹状細胞を介したB細胞による 抗体が重要
 

MHCとT細胞との関わり

 

 

 キラーT細胞(CTL:細胞傷害性T細胞)は表面にCD8を発現し、クラスI MHC分子を表面に発現した細胞と結合します。CTLは、ウイルス感染細胞などの標的細胞を認識することでパーフォリンやグランザイムを放出し、直接アポトーシスを誘導して傷害する。

 

ヘルパーT細胞(Th細胞)は表面にCD4を発現し、クラスII MHC分子を表面に発現した細胞と結合する。
 Th1細胞はIL-2やIFN-γを産生し、CTLやマクロファージ、NK細胞を活性化する。
 Th2細胞はIL-4などのサイトカインを産生し、B細胞を活性化し抗体を作る。
 Th17細胞はIL-17を産生し、炎症に関与する。
 制御性T細胞(Treg)はTGF-βやIL-10を産生し、いったん始まった免疫応答を能動的に終結させる
 機能をもっていると考えられています。

 

自然感染による獲得免疫

 

尚、抗体を作るために重要な樹状細胞は、抗原を取り込んだ後は成熟樹状細胞となり貪食能を失い抗原提示のみを集中的に行う。

 

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次回は、偽ウイルス(mRNAワクチン)の場合です。

 

以上です。

 

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