インドネシア運輸安全委員会は20181128()、ライオン・エアのJT610便が墜落した事故について、中間報告を公表しました。


フライト状況

 

報告書では、墜落した便では以前から機体に取り付けられているセンサに不調があり、当該事故の前に機体の空中での姿勢を計測するAOAセンサが交換されたことを記しています。直接的な原因について報告書は、201910月末ごろに最終報告をまとめる方針で、この時点まで事故原因や責任について明言を避けています。


PK-LQPの事故便フライトデータ

 

報告書は、回収されたフライトレコーダーから当該フライトを分析しており、左右のセンサのデータが異なることを明らかにしています。また、管制官との通信で制御に問題ある旨が報告されており、機首が下がりすぎたことで墜落した可能性があります。こうした状況を受け、アメリカ連邦航空局(FAA)はすでに緊急改善通報を発出し、AOAセンサに関連する改訂を航空会社に求めています。

flyteamニュースより

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ノーズダウンコマンドが働いたと思われる個所に縦線を入れています。

 

中間報告までに新たに分かったこと

     パイロットは、AOAセンサが狂いMCASが働いた為26回?機首を上げる操作をしていた。

     航空会社パイロット共、安全対策であるMCAS機能が追加されたことを知らなかった。

     左右のAOAセンサのデータが違っていた。(〇は反転箇所、細かく見ると大分違う)
左右一定の幅でデータが記録されている。

     対気速度計(computed airspeed left)は正常の様だ。

     トリム(TRM)がオートとマニアルでけんかしている。

     トリムポジション(PITCH TRM POSITION)めちゃくちゃ。

勘:初期値の入力ミスか部品の組違いが考えられるが、AOAは交換されているので初期値の入力ミスの様な気がする。接触異常の場合はもっと波形が汚い。そもそも一定間隔で動作しない。(12/5追加:ひょっとすると、初期データ記録用メモリが壊れたのかもしれない?この場合出荷検査は、通ってしまう。まれに起こるIC不良です。)

 

では、MCASについてみてみましょう

 

検出された迎え角(AOA)が「対気速度と高度に基づいて閾値を超えると、システムが作動します」737Maxの水平スタビライザを毎秒0.27度の速度で10秒傾斜させる。スタビライザの移動量はマッハ数に依存します。(速度が速いと少なく、遅いと多く動く)コントロークヨークを動かすだけではMCASのトリムシステムは停止しません。

すなわち、迎え角(AOA)が高い場合、あるいはAOAセンサが誤動作し高い値を出した時、「MCASは、強制的に増分スタビライザノーズダウンコマンドを指令します。パイロットが手動でトリミングしてMCASの自動的なピッチを無効にしようとしても機首が下がる。

 

ヨークの通常の電動トリムコントロールでMCAS駆動スタビライザの動きを止めることが出来ますが。迎え角が高すぎるとスイッチを放してから5秒以内に再度MCASが作動します。パイロットがMCASを無効にし、スタビライザの自動制御をカットアウトスイッチで行うことができ、手動トリムの為にスロットル4分円の両側のトリムホイールをハンドクランクすることが出来ます。

です。

 

今回は、緊急安全ソフトについて

ソフトで重要なことは、

1.   センサは、絶対に誤動作する。

2.   人は、思いもしない操作をすることです。

この二点を充分認識し回避するプログラムを作らないと今回のようなことに成ります。

但し、航空機も産業機械であるのでプロが操作しますので自動車の様な民間人が操作するものでは有りません。従って必要最小限の防止策に成ります。

 

ソフトの問題点

MCASは墜落防止安全装置なのに墜落するように制御してしまうのはそもそものソフトの作りが悪い。

まず、MCASのソフトは、センサの誤動作と人の異常操作を考えたプログラムには成っていなかったことが最大の問題です。

1.  もしこの部分が適正にできていたら事故は起こりませんでした。

2.  センサが完全に壊れていればやはり事故は起きてないと思いますが、疑似接触の場合事故は起きていた可能性が高い。

3.  故障を考えてAOAセンサが左右に2個有るが誤動作した時の回避プログラムが出来てなかった。センサが2個の場合、これだけでは判断できないので別のセンサの挙動を見て判断する必要が有ります。対気速度計や高度計或いは、トルムポジションを使えば判断できると思います。

4.  MCASの機能がパイロトに伝わっていたら或いは回避できたかもしれません。(これは解りません)

5.  ノイズや疑似接触の場合は、波形が汚い、エッジの鋭い針の様な波形なので前後の波形から判断して異常値として無視すればよい。但し一定期間に何個も発生したら故障として処理をする。

6.  データ異常の整備要領書が無いように感じます。(ボーイングの完成検査にも不備が有るようです?)
AOA を水平にしてデータを読み正常化異常か判断する必要が有ると思います。
 

などが考えられます。

 
2019/3/12図を変更しました。

 

以上です。

 

追伸

前回の考えられる原因で

   コネクタの接触不良(コネクタ端子のへたり及びのカシメ不良)

   ハーネスの断線し掛かり(疑似接触が有る為、一定の条件で断線するがすぐ戻る)

   ハーネスのショート(バリによるショートでしたりしなかったりする状態)

を追加しようと思いましたが、こちらの原因では無さそうです。

 

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