サックスを盗まれ、一大決心したものの…《 自分史[78]》 | オカハセのブログ

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時は2004年

ある日サックスを持って出かける時に、ついでに家賃を払うために大家さんの家に寄った(大家さんはアパートのすぐ隣)。僕は持っていたサックスをアパートの前に置いたまま隣の大家さんの家で家賃を払った。払い終えてからサックスを置いた場所に戻ると既にサックスがなくなっていた…

何故にサックスを持ったままで大家さんの家に行かなかったのかが悔やまれる。

しかもこの盗まれたテナーサックスは茨城県のドラマー「田島さん(仮名)」がローンの名義になってくれた楽器だった。

突然自分の楽器がなくなった僕は非常に悩んだ。サックスという楽器はとても高価な楽器なのでローンを組まないととても買えない。この頃は今のように「まあまあ使える安物」というものはなかったので。生活保護受給者の僕はローンの審査は100%通らない。

そして出した結論は。

「もう社会復帰できるんじゃないかな?生活保護をやめて愛知の自動車工場に働きに出よう」そうしてローンを組んで、自分が欲しい楽器を手に入れよう」と、そう決めた。

トヨタ自動車の期間従業員の面接を受けて採用されたので、保護課に行って生活保護の打ち切りをしてもらい、愛知県に赴任する日を待った。

当時ヤマハからジャズミュージシャン向けにリリースされたカスタムモデルのサックスが新発売されていた(2004年)ので楽器店に行って試奏した。ドンピシャに気に入った僕はローンを組んだ。審査は無事に通り(まだトヨタの期間工で働く前だけど、ローンは通った。世界のトヨタ恐るべし)、そして4月、購入したサックスを持ってトヨタの寮に赴任した。

配属された工場は「元町工場」というところ。工場の目の前が寮なので通勤時間も僅か5分ほど。トヨタの工場の中でも、豊田の街の中心部から1番近い工場でした。工場のまわりも何かの工場ばかりなので夜中でもサックスの練習出来る場所は沢山ある。たまに名鉄の豊田市駅と愛知環状線の新豊田駅を繋ぐペデストリアンデッキの上でサックスでひとり路上ライブもした。近くには「keyboard」という名のジャズ喫茶もある、とても良い環境だった。

休日は名古屋の街に出ることが多かった。ある日の休日、名古屋の老舗の管楽器ショップのU楽器に行った。そこで素晴らしいサックスに出会ってしまった。

「アメセルのマークⅥ」(アメリカンセルマーのマークⅥ。最も人気の高いビンテージサックスです)。しかもラッカー含有率が90%以上も残っているキレイな個体。そして人気のジャズテナー奏者「ブランフォードマルサリス」の選定…

U楽器の人に「吹いてみませんか?」と言われ、買うつもりは全く無かったけどお言葉に甘えて試奏させて貰った。

するとびっくりするほどに僕のいうことをきく素晴らしい個体でした。マークⅥの中でも比較的後期(1972年製)に作られたモデルなので、一般的なジャズテナー吹きからの人気のストライクゾーンからはズレているのだろうけど、僕はむしろ好みだった。

これはもう出会ってしまったとしか思えない。

そしてまたローンを組んで購入した…


しかしこの約1年後に、僕は生活保護をやめたことをとても悔やむことになる。何故ならまた家賃滞納も続き、ガスも水道も電気も止められることになるのだ。

そして、名古屋のU楽器で購入したサックスは今から考えてもとても運命的と感じるほどの素晴らしいサックスだったのですが、その後に色々あって僕の手元に今はもうありません。


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