入院《 自分史[72]》 | オカハセのブログ

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僕の住むボロアパートは治安が悪くなって来ていた。
向かいの部屋の夢ちゃんがやめていた覚○剤にまた手を出して、それに伴い売人の893の何人かがこのアパートに住むことになったからだ。
そう、こんなボロアパートに住む893だから、彼等自身が覚○剤中毒で常に金がないみたいだった。
そしてその売人の更に知り合いの薬中までもが入居してきてカオスになっていった…
因みにこれは893が植えたのでは無いと思うけど、アパートの庭に麻が1本生えていた。
僕は僕で調子を崩して[精神科に3度目の入院]をした。今度は3ヵ月という割と長い入院になりそうだった。1度目と2度目入院したのは家の近所の精神科だったが、3度目はベットの空きが無くて噂によれば「グレーゾーン」と言われる割と重症者が入る「カチューシャ病院」(仮名)というところだった。
ただ僕にとってはこの病院に入院出来たのは幸運だった様に感じている。
担当医は院長先生だったのだが、僕が大きなテナーサックスのケースを入院場所に持って来たのを見て、
院長「そのケースは?」
僕「これはサックスが入ってます」。
それまでの2度の入院の時に、精神科に入院しても楽器は練習は出来ないとは知ってはいる。けど外出許可が出た時に家に帰らずに音が出せるから、いつでも吹ける様に持って来ていた。
院長は前の病院の薬の処方を確認すると「ああ、これは良くないなぁ。こんな強いのを飲んでたら管楽器は吹けないよ」と。
確かに前の病院の時には、実際吹けなくなって薬を少し弱くしてもらって、その代わりブルースロックシンガーの優作さん(仮名)の家でグラス(隠語)を吸わせてもらい、それからは吹ける様になっていたつもりだったが、それでもまだまだ強い薬のようだった。
院長「薬は弱くするよ。それで様子をみるから」
普通なら入院すると通院時よりも少し薬を強めにする場合が多いと思うけど、院長はそれとは逆の判断をした。
そしてそのあと院長は「君には【それを吹ける環境が治療の一環として必要】だな」
僕「えっ?そんなこと無理でしょ…」
院長「無理じゃないよ。この病院は色々な部屋があるから空いてる部屋を使えば良い。そもそも吹けないのに何故持ち歩いてる?」
僕「ああそれは… チャンスがあったらいつでも吹ける様にです」
院長「そう、そういうことだよ。あー君(看護師に)この件をやっておいてね」と言った
そして手荷物をいったん全て看護師に預けて部屋を案内された。とは言ってもそこは刑務所の独房みたいな場所に入る前の控室だ。手荷物をいったん預けて検査されるのは想定外だった。
見られて困るものは、、確かにあったからだ…
少しすると看護師のひとりが部屋に来て「あのオカハセさん。さっきの院長の楽器練習の件ですが、少し待ってくださいね。前例がない事なので部屋の空きなどを確認して調整しますので」と言った。
なるほどここの院長は相当なワンマン院長なのだとわかった。しかもそのぶん勘は鋭そうな院長だった。
それから15分くらいすると独房へ案内された。鍵は外からしか開けられない、トイレが分かれていない部屋…  そこが1度目2度目の入院とは大きな違いだった。ここの病院は重症者じゃ無くても最初の一定期間は先ず独房からスタートさせられる。おそらく現在ではこのシステムは改善されていると思う。

こうして入院生活が始まった。

独房に入ってから30分くらいするとひとりの看護師が少し険しい顔で入って来て「オカハセさん!これはなんですか?!」と小さなタッパーの中身を見せた。
僕「はい、、すみません…大○(グラスの正式名)です…」
そのあと病院で呼んだらしい父が来て、少しばかり大変だった。





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