このエピソードだけ読むと相当に僕は酷いやつということになるかもしれません。
2011年の話になります。
静岡市のストリートジャズに参加した時の話です。
あるバンドにサックス担当でこのイベントに参加させて頂きました。
バンドメンバーのリーダーはベーシストでピアニストは女性でした。
演奏が終わってステージを降りて他のバンド演奏を聴いてると、音楽好きで色々な場所でお会いする「浜ちゃん(仮名)」というかたがいました。この方は何か会社を経営してるようです。基本的に悪い人では無いのですが、なにぶん言うことが俗っぽい人なのがどうもなぁって思ってしまうことが以前から多々ありました。
浜ちゃんと会話をしていると、バンドメンバーのピアニストの女性が帰り支度を済ませて会場を出て行くのを見かけました。
この時、遠くにいる彼女を見ながら浜ちゃんは、とても彼女に対して失礼で低レベルなことを呟きました。
「あの子はもういい歳だけどずっと独り身で、いつまでも男が出来ないんだよなぁ」
おそらく浜ちゃんにとっては悪気は無いのかもしれません。だけど僕にしてみたらそんなことは話題にするようなことではない、別に独り身が何の問題があるのか理解に苦しむことでした。
しかし浜ちゃん、自分では気がついてないけど結構な声量でこのことを呟いていました。
これは彼女に聞こえるだろうと正直僕は少しパニックになっていたのでしょう、とんでもない言葉を返してしまった…
僕は「聞こえますよ…」と…
浜ちゃんは「聞こえん、聞こえん(笑)」と…
いや…そういう問題じゃねえだろ…
それまで彼女と連絡で取っていたメールは、この日を境に一切返って来なくなりました。そうして現在10年経ちます…
僕は反省しました。いくら浜ちゃんが僕よりはるかに目上の人であろうが「誰に男いるとか結婚しないとか、そんなことどうだっていいんじゃないですか?!」って毅然と言うべきでした。なのに僕は、心の中で「はっ?」と思いながらですが、なんとか浜ちゃんのご機嫌を取ろうとして「聞こえますよ…」と言ってしまう、Noと言えない日本人になっていました。
だから彼女はきっと「2人して、私が気にしていることを噂してる。デリカシー無し、最低!聞こえてるわよ!」と思ったんだと思います。
僕にとっては浜ちゃんの低レベルな発言のとばっちりを受けた事故なんですが…
でも、そこで毅然と浜ちゃんに言い返さなかった僕は反省しています。もちろん言い返したところで遠くを歩いている彼女の耳には「2人して噂してる」ようにしか聞こえなかったのかもしれません。
だけどそれでも、僕はその時に「聞こえますよ…」と言った自分に腹が立っている。しかもご機嫌取ろうとして笑顔を作りながら言いましたから、そりゃ僕の心のパニックを知らない彼女からしたら「この人たちはこんな話をニヤニヤしながら言うなんて最悪」って感じるのが普通ですよね。
その後、時々浜ちゃんを見かけることはありましたが軽く会釈する程度になり、そして数年前からは会っても僕の方からシカトするようになりました。未だに彼女からの連絡は途絶えて誤解のままだからです(今更、僕のほうから誤解を解こうとするのは、返って蒸し返して危険かもしれない。偶然何処かで会って向こうから話しかけて来た場合には話せるかもしれませんが)。
僕という人間、実はこのような何も理由を言わずにシカトするということは滅多にしない。通常は、ある程度こちらの思っているわだかまりを話します。
何故なら理由を一切言わずに【ある日突然シカトする】という行為に対して、相手は「何だ?こいつよそよそしいな!」としか感じない場合が多いから。だからこちらの【誠意というか説明というか】を丁寧にするのです。
だけど今回は浜ちゃんには全く理由を言わずただシカトのみをすることにしました。
それは【浜ちゃんが僕のことをもうどう思ってたっていい。浜ちゃんの一言がここまでのことになった。だから僕は浜ちゃんとは関わるつもりは今後ない】ということなんです(もちろん僕があの時、浜ちゃんに毅然とした態度で諭すことが出来なかったのは問題です。だからこれはあくまでも浜ちゃん個人に対してのシャットダウンです)。
そんなことがありました。
次の話も、僕が相手を傷つけたであろうエピソードです。《その[4]》に続きます。