そして相手はガマ大王。いくら何でもふざけ過ぎと思うがここはハッスルのリング。前回のハッスルハウスを含む5度目の開催にしていよいよ世界観が出来上がりつつある中で、ハッスルキングはやんやの声援で歓迎された。
ガマ大王を粉砕した橋本はメイン後の高田総統劇場にも登場。OHに川田、長州力とついにハッスル軍4強が揃い踏みとなったが…ここでハッスルの持つ残酷な一面を目の当たりにすることになる。
とはいえハッスルの世界観とは?と考えた時こういう考えはどうだろう。高田総統を頂点にいただく無間地獄。ある部分では恐ろしい世界、昭和のトップレスラーに必要だったエゴや情念、反骨心といったドロドロとした概念は一切必要ないショーアップされた世界。ハッスルのリングで借りてきた猫のような表情をみせる長州力をみればそれがよく分かる。もしBI砲がハッスルに上がってしまえば同様の結果になるだろう。そもそも土壌が全く違うのだ。
実は橋本がこの核心に気づいていた。ハッスル企画会議での一幕を聞いてほしい。
橋本「いや、高田さん。俺らがやっているのはプロレスだけど、気持ちはシュートなんですよ。」
高田「うん、それはわかるよ。」
…このやりとりを経て、橋本自身がジレンマに苛まれながらハッスルに上がっていたのは想像に難くない。(がハッスルキングを嬉々と演じる二面性もまたよく分からない感じではあるが)
一方でゼロワンのリングは相変わらずの無軌道ぶりを発揮する橋本。その様子を藤原喜明が証言している。
「巡業に出ると各地にスポンサーがいるでしよ?そうすると「組長お願いします!」って俺にお呼びがかかってさ。一緒に行くとずっと酒を飲んで、朝方の4時頃に脂がコッテリしてるラーメンを2杯ぐらい食ってな。それでお開きかなと思ったらコンビニで酒を買って、俺の部屋に来て朝の8時ぐらいまで飲んでさ(笑)まぁあいつは寂しがり屋だしね。やっぱり社長として、色々あったみたいだね、だから最後の方のコンディションの悪さってのは精神的に参ってたんじゃないの?それにあいつは初めから練習なんか好きじゃねぇし(笑)」
この証言から察するに、もはやゼロワン内部は橋本が心を許せる人間がいなくなっていた。冬木薫さんと、いつの間にか呼び名が組長からジイに変わっていた藤原がどうにかして橋本を支えている状態が続いているのである。
橋本「プロレスが若い人だけになったらつまらない。お婆ちゃん子で育った俺じゃないとわからないかもらしれないけど、そのためにジイがいるわけですから。ジイの力を活かしますよ。」
しかし、橋本の肩はとっくに限界を超えていた。
続く