東京砂漠  | 珈琲にハチミツ

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ゼロチューが消滅

それは橋本が歩んできた道の振り返りとともに、残酷な巡り合わせによってもたらされてしまった。

…遡ること平成元年の闘強導夢、橋本が凱旋と同時にエントリーしたIWGPヘビー級を賭けたワンナイトトーナメントでビックバン・ベイダーと繰り広げた激闘をきっかけにトップ戦線に躍り出た事実は誰もが認めることだろう。だが時は経ち再びベイダーと向き合った橋本はすでに満身創痍、全くの別人と化していた。

ハッスル1でのベイダー戦

右肩が完治しない橋本はベイダーの巨漢に立ち向かうにはあまりにも貧弱すぎた。思い切った攻撃ができず、かといってベイダーの猛攻を正面から受けることもできない。さらに事態を深刻にしたのは当のベイダーもベストには程遠く、終始もっさりとした試合になってしまう。極め付けは苦肉の策のリングアウト決着。この時代錯誤なフィニッシュによってふたりの再会マッチは大ブーイングに包まれ終焉を迎えた。
そもそもハッスル自体が橋本にとって諸刃の剣なのだ。小川がいくらエンタメ志向でそこにせっせとシフトしようが、たくさんの記憶をファンと共有してきた橋本にはそうそう問屋が許さない。さらに、なんだかんだで世代交代が上手くいってないゼロワンはどこを切ってもゼロワン=橋本の印象のまま。ということはハッスルであれだけコミックショーじみたエンタメを披露してしまっては、ゼロワンのリングから緊張感すら失いかねないのだ。あくまで主要メンバーは変わらないのだから…

現実問題、ハッスルとゼロワンを同時に走らせなければならない訳だがその困難さたるや数年前ならいざ知らず、肝心要の橋本が満足なファイトを展開できない以上、兎に角見切り発車。やってみてダメなら仕方ないといったファン不在の苦闘ロードが続くことに。ゼロワン旗揚げ以来熱心に応援してきたファンにとって屈辱の日々が続く。

対川田利明戦

対全日本抗争の区切りをつけるべく、さらには昨年の負傷欠場による三冠タイトル返上のけじめをつける意味でも、この試合の実現は既定路線でもあった。奇しくもこの日は撤退が決まった全日本プロレスの日本武道館最終興行。若干寂しいムードが漂うなかタイトルマッチの火蓋が切られる。

結果、現状橋本の限界が改めて露見してしまった。もはやメインイベンターのそれではないと。

試合後「…また武道館に戻ってきます!」と橋本には一切触れず、この日の最終興行に駆けつけてくれたファンにマイクで丁寧に礼を述べる川田の姿は橋本ファンにとってよりいっそうの寂しさが募る光景であった。

それでも、橋本には越えなければならない大一番が控えていた。恒例の両国ビッグマッチメインイベントでWJ.長州力とのシングル決着戦を迎える。


続く