これに対して中村祥之がリングに駆けつけ島田を糾弾する。しかし…
またいだな!
このヤドカリ野郎‼︎
…と、まるで予め用意されていたような台詞を(捲し立てるような口調だが)スラスラのべる中村を見て何ともいいようのない違和感を覚えた。そういえば高田のビデオレターもどこか芝居掛かってるようであった。
ともあれゼロワン勢が島田を摘み出し、さしたる期待感を抱くことなくハッスルの一幕は終了。炎武連夢対大森隆男、トム・ハワード組を終え、いよいよ真打ち、OH砲の出番である。
30分1本勝負
小川直也対川田利明
紆余曲折を経て実現したゼロワン対全日本プロレスの対抗戦のクライマックス。そして思わず先に書いてしまうのだが…この一戦は小川直也のこれまでのキャリアの中でも屈指の好勝負と相なった。
川田という男は無骨なようにみえて実は飄々としたレスリングスタイルを持つ。相手に応じて様々な試合を作り上げることが出来る万華鏡のような男である。
小川は体格面で圧倒しながらも要所要所で反撃してる川田のインサイドワークに手を焼いた。というよりも完全に川田の方がイニシアチブを握っていた。STOはほぼ完封し、ローキックを主体にしつつも適当に小川にも攻めさせてジワジワと体力を奪っていく。ある部分で小川に地獄の責め苦を味合わせていたのかもしれない。
闘いは19分を超えたあたりで意外な方向へ。両者リングアウトの不完全燃焼と思わせて川田の「お客さんが待っているからやるぞ!」呼びかけにより大歓声のなか5分間の延長戦がスタート。スタミナも底をついた小川だったが、ボロボロになりながらも歯を食いしばって意地を剥き出しに、そんな小川送られる声援。これが、ひとつの「みせる」から「魅せる」に変貌する瞬間なのだ。結果的に両者立ち上がれず引き分けに終わってしまったが、そんな事はどうでもいいことで、それほど大きな手応えを感じさせる試合であった。※この試合以降小川にさらなる開花が期待されたが…現実はそう甘くはなかったようだ。いよいよ迎えたメインイベントのゼロワン対WJの対抗戦。副題はまたしても「根絶やし」!因縁の橋本真也と長州力、ふたりの直接対決は悪名高き飛龍中断から2年11ヶ月ぶり。橋本はあの忌々しい過去を清算することができるのか?
しかし、この時点で空中分解…というより団体の体をなしていないWJの軍勢は切ないの一言。愛弟子の佐々木健介や子飼いの健想は長州の元を去り、若手を率いてたったの4人で乗り込んできたかつての革命児。昭和維新軍、ジャパンプロレスと栄華を誇っていた姿は過去のものとなっていた。
が、数では圧倒的な橋本率いるゼロワンもすでに一枚岩ではなくなっていた。各々覇気がない。数だけ集めた印象を感じ得ない。旗揚げ時にみたあのむせ返るほどの熱気は何処へいってしまったのか。ゼロワンの…橋本の歯車は少しずつではあるが確実に狂い始めている。どことなく無常感が漂う雰囲気のなか、ゴングは鳴った。
続く