果て | 珈琲にハチミツ

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破壊王、最後の力を振り絞った渾身の一撃!

ボロボロの体で川田の打撃に身を晒しチャンスを待ち続け、2発目のジャンピングハイキックへカウンターの袈裟斬りチョップ一閃。勝機はそこしかなかった。これが決定打となり膝の負傷が悪化してのたうち回る川田。形勢は逆転したかに見えたが、なんとチョップを放った橋本の右肩がはずれるアクシデント発生!
結末は突然やってきた。

マットに這いつくばり動けなくなった橋本と川田。リング上は小川、武藤そしてセコンドの渕が右往左往し混沌の様相を呈している。
川田の膝を案じてか、それともこれ以上試合にならないと判断してか渕がタオルを投げ込む。
もう限界だった。ゴングが打ち鳴らされると、安堵と落胆を同時に突きつけられた気がした。

かすかに温かい橋本コールが聞こえる。

…ことゼロワン対全日本の長い抗争のなかで、今回の試合に限ってはこれまでの流れ全てから隔絶されるような壮絶な結末であった。そして、あえてこう書かせてもらいたい。破壊王は燃え尽きた。

「一生懸命頑張ったら勝っちゃったよ‼︎」

マイクを小川に持ってもらう微笑ましい光景の中、実に穏やかな表情で喜びを爆発させる橋本。なんて顔なんだ。今までリング上で見せたことのないような無邪気な笑顔がそこにある。もしかすると、限界を超える闘いのなかで破壊王と名乗る男は天に登っていってしまったのか……
以降、橋本はリング上で破壊王の姿を取り戻すことはなかった。右肩の故障は癒えず、まるで変身機能を失った仮面ライダー?いや、生身の肉体で怪獣に立ち向かうウルトラマンの最終回を彷彿させるような過酷な闘いが続く。

そして橋本を軸に順調に回っていたかに見えたゼロワンの流れは、この日を境に逆回転を始めることになる。。



第4部 完