トイレの時間は「何分?」 | ひねもすのたりのたりかな

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痔核で受診される患者さんに診察室で必ず尋ねる質問があります。それは、、

「排便時間は何分ぐらいですか?」

トイレに入って排便して出てくるまでみなさん何分ぐらいでしょうか。痔核になる原因として様々なことが考えられます。遺伝、飲酒、辛いもの好きなどなど。実際かなり影響しているなと感じるバロメーターは「排便時間」です。

排便の際にいきむことで肛門にかかる圧力は180~200mmHgと言われています。動脈が損傷されると血しぶきが天井まで飛び散りますが、排便時など息むことでその1.5倍以上の圧が肛門にかかります。ですのでトイレでいきむ、ということが如何に肛門に負担をかけているかお分かり頂けると思います。辛いものやお酒が増えると、便が緩くなります。便が緩くなると排便が楽になるかというと、必ずしもそうではありません。残便感やトイレの回数が増えることで、結果的に排便時間が長くなります。診察室では痔核で相談に来られた方に、排便時間は長くて「5分」と指導します。

肛門が腫れて痛む、という症状で来られる方にお話を聞くと、ほとんどの方が症状に先立ってひどい便秘をして息んだか、逆に下痢になってトイレの回数が多くなったエピソードをお持ちです。また慢性的な症状の方は、排便時間が10分~20分ぐらいかかるという方が多いです。こうなるとせっかく手術して病気を治してもすぐに再発してしまいます。ですので手術前には必ず便秘や下痢の治療を先行しておこないます。

息まなくても、便座に腰掛けて前のめりの姿勢(ロダンの考える人のポーズ)になっているだけでもおしりに負担がかかります。ですので、雑誌を読んだり、スマホをみたり、必要以上にトイレでくつろがないほうが得策です。

トイレでくつろぐのは5分以内にするように心がけましょう。