心臓病ロボット手術最前線 術後3日で退院できるダヴィンチ手術 4つの穴だけで治療する。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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「低侵襲」実現したロボット支援

国内では年間20万人以上が心臓病で亡くなっている。生活習慣病を抱えている人は狭心症や心筋梗塞を発症しやすく、心臓の弁もうまく機能しなくなるなど、心臓病を引き起こしやすい。その手術が近年大きく進化した。ロボット支援下手術(ダヴィンチ)では、手術後3日での退院も実現。国内外で心臓病ロボット手術を牽引するニューハート・ワタナベ国際病院(東京都杉並区)の渡邊剛総長に話を聞いた。

年を重ねれば、階段を上ると息切れがするようなことが起こる。特にコロナ禍の運動不足では体力も低下し、息切れは「運動不足」「年のせい」と思われがちだ。しかし、服を着替えるだけでも息切れがすると尋常ではない。そんな症状を引き起こす病気のひとつに「僧帽(そうぼう)弁閉鎖不全症」(別項)がある。

 

「僧帽弁閉鎖不全症は重症化すると心不全を引き起こします。早期段階では自覚症状に乏しいのですが、進行すると息切れ、夜間の呼吸困難、激しい咳や胸痛などの症状が伴うようになります」と渡邊医師は説明する。

 

重症化した僧帽弁閉鎖不全症の治療は、手術が基本となる。

 

左心房の閉じなくなった僧帽弁を修復する「弁形成術」、人工弁を置き換える「弁置換術」がある。いずれにしても、昔から行われている手術は、のど下からみぞおちまで大きく切開する「胸骨正中切開手術」(きょうこつせいちゅうせっかいじゅつ)だ。出血は多く、感染症も起こしやすく、胸骨を切るため入院期間も長引きやすい。

 

一方、今世紀に入り、右の肋骨下を6センチ程度切って行う小切開手術「MICS(ミックス)」も行われるようになった。胸腔鏡を組み合わせれば、胸骨を傷つけることなく手術ができ、入院も2週間程度で済む。

 

このMICSをさらに進化させたのが、ロボット支援下手術(ダヴィンチ)である。2018年「弁形成術」が保険適用になった。

 

「当院では、1~2センチの4つのキーホールだけで、ダヴィンチによる完全内視鏡下手術を行っています。僧帽弁の手術では、術後3日に退院する患者さんが多い。1センチ程度の傷が4つなので、当然、患者さんは早く回復します」

 

渡邊医師は、2005年、金沢大学医学部教授時代に、初めて国内でダヴィンチの心臓手術を行った先駆者である。以来、ダヴィンチによる心臓病手術の発展に貢献し、弁形成術の保険適用も実現した。

 

「ダヴィンチは、低侵襲を実現するツールとして、大いに役立ちます。ロボットが進化すれば、さらに低侵襲にできるでしょう」