水素と酸素の化学反応によるエネルギーで走る「燃料電池バス」が、12月1日から徳島バス鳴門線の路線バスとして運行される。走行時に、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)を排出しないのが特徴で、定期運行は中四国初という。運行開始に先立ち、19日に徳島市内で記念講演会が開かれた。
導入されるのはトヨタ自動車の「SORA(ソラ)」2台。徳島駅前を発着し、大塚国際美術館前や鳴門公園、鳴門教育大学前などを結ぶ路線で、1日11便運行される。高出力大容量の電源を備え、災害時に避難所などへ電力を供給することも可能だ。
講演会では、徳島バスの金原克也社長が「静かで快適。新型コロナウイルス感染拡大でバス業界は危機的な状況に陥ったが、新たな観光ツールとしても活用したい」とあいさつ。続いてトヨタ自動車で燃料電池車の開発に携わる清水竜太郎さんが講演し、「運輸部門でのCO2排出量削減には乗用車や商用車での削減が重要。普及台数を増やし、社会で受け入れられるようにしたい」と力を込めた。