2011年4月19日(火)10時0分配信 日刊ゲンダイ
「打ち出の小槌」じゃないが、発表のたびに、東京電力の最大供給
電力の数値が上積みされている。
15日、東電は7月末の電力供給見通しを5200万キロワットへ
上方修正した。これは“大朗報”だ。「やればできるじゃないか」である。
福島原発事故からこれまで、東電の発表などによると、供給能力は
3100万キロワット(3月12日)、3750万キロワット(23日)、
3800万キロワット(29日)、3900万キロワット(4月4日)、
3950万キロワット(6日)と、順調に上昇してきた。15日のピーク時の
供給量は4000万キロワットだった。
そして今回、大震災で被災した火力発電所の復旧や定期検査で
止まっていた設備の再稼働に加え、千葉県内のガスタービン機器の
新設、夜間にくみ上げた水で日中に発電する揚水発電の活用が
可能になったことなどにより、5200万キロワットの確保が現実に
なったと公表したのである。
「東電の想定する夏の最大電力需要は5500万キロワット。
この調子だと、大企業などが節電すれば、一般家庭は計画停電
なしで夏を乗り切れそうです」(経済ジャーナリスト・山本伸氏)
もともと国際エネルギー機関(IEA)は、「日本は、原子力発電
不足分を補う石油火力発電の余剰がある」との見解を示していた。
そのニュースは、ロイター電で世界に報じられていた。福島原発
抜きでも、やれないことはないのだ。東電としては、「原発不要論」が
実証されるのは嫌だろうが、ここは国民生活第一で考えるしかない。
(日刊ゲンダイ2011年4月16日掲載)
