(ダイヤモンドオンライン 2011年3月29日配信掲載)
2011年3月30日(水)配信
福島第1原子力発電所の危機により、原発を設計し造ってきた
東芝や日立製作所などのメーカーは、少なくともこの先5年の
経営計画を見直す必要がある。(「週刊ダイヤモンド」編集部
片田江康男、小島健志、柴田むつみ)
「われわれのエンジニアや研究者たちをもっと使ってくれれば、
もっと早くに事態を収束できたはずだ。東京電力の地震後の
対応にはがっかりだ」──。
ある東芝首脳はこう吐き捨てた。危機的状況から脱せない
福島第1原子力発電所の状況にいらだちを隠せない。
東芝には最先端の原子力技術を研究する磯子エンジニアリング
センターがある。福島第1原発とはホットラインで結ばれており、
地震後も、衛星通信によって正確な情報を得られる状況だったという。
「エンジニアがいつでも動けるような体制は整っていた」(同首脳)。
加えて「日立製作所の設計した4号機についても、うちの
エンジニアが対応できるように考えていた」(同首脳)。日立は
茨城県の日立事業所が被災している。その対応に追われるだろうと、
東芝は配慮していたのだ。メーカー側は企業の枠を超えて、
福島第1原発の危機に対応する準備を整えていた。
しかし、次々と起こる危機的状況に東電と政府は混乱していた。
せっかくの準備をよそに、なかなか東電や政府から支援要請の声が
かからない。それでいて状況は悪くなるばかり。前出の東芝首脳が
いらだつのも無理もない。
両メーカーは、日本の原発の歴史に深くかかわってきた。日々の
点検や管理などで、実際に現場で手を動かすのはメーカーである。
ゆえに、原発構造に関する知見も、当然ながら蓄えている。
「東電に原子炉に関する知見がないとはいわない。でも燃料や炉心、
格納容器など、それこそなにからなにまでいちばんよく知っている
のは実際に図面を描いたエンジニアでしょう」。
メーカー側は口を揃える。
◎もしそうなら、自ら現場へ行くべきだと思う。
今からでも遅くない、東芝は現場へ行った方がいい。
「>がっかりだ」と言っていることに、がっかりだ。
