竹取物語を読んでいる。かぐや姫は5人の男に難題を出す。どれも実現できないものばかり。

だから作りモノや偽物を持ってくるしかないのだが、すぐばれる。かぐや姫はつめたくあしらう。その中で5人目いそのかみの中納言は、燕の子安貝を持ってくるのが課題。中納言はツバメの巣に手を入れて取ろうとして、落ちて腰を痛め立てなくなる。このとき、かぐや姫少しあわれと思しけり、とある。この人にだけ、唯一、冷たくない気持ちを持ったようです。

 

吉田兼好がラブレターの代筆をした、という下世話な話がある。どこに書いてあるかわからなかったが、ついに発見。知っている人にはいまさら、ということではあります。

 太平記、第21巻8.岩波文庫(三)、442ページ。

 高師直が人妻に横恋慕して、

 

 「文をやりてみばや」とて、兼好と云ひける能書の遁世者を喚び寄せて、紅葉重ねの薄様 の、取る手も燻ゆるばかりなるに、引き返し引き返し、黒み過ごしてぞ遣わしける。

 

 ひそかに見ていると、届いたけれど女の方は開けもしないで捨ててしまっていた。

 

 師直、大きに気を損じて、「いやいや物の用にたたぬ者は、手書きなりけり。今日よりして、兼好法師これに経回すべからず」とぞ怒りける。

 

まあ、代筆ではうまくいかぬぞ。

 

 

 

 

 

 

徒然草を読み進めると、知らなかったことを教えてくれる。平家物語の作者について、書いてあった。第226段に、信濃前司行長(しなののぜんじゆきなが)がつくり、盲目の生仏(しょうぶつ)という人に覚えさせて語らせた、とある。しかし、資料的には他に記録がないので、このことが確実とは言えないらしい。多くの作者が擬せられてる。