たった一人しかない自分を、たった一度しかない一生を、
ほんとうに生かさなかったら、人間生まれてきたかいがないじゃないか。 (山本有三「路傍の石」より)
「なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか」の話。
この度初著作を出版することになりました。3巡目のゲラの赤入れも、わがまま言って自身で最後の最後までやらせていただきました。昨日ようやく校了となりました。いやー実に大変でしたが、やりきった。
自分自身の半生や、仕事観、ノウハウ全てを詰め込みました。これを読んだら関谷有三を300%知ることができ、誰でも事業立ち上げの達人になれるはず(笑)。誰もが読みやすく、社内研修で使いやすいような構成にしました。
初著作なので魂込めて自身で出筆しました。読んだ人が熱くなって、ほろっとして、ワクワクして、色々辛くてもニコニコ頑張ろうって思える内容になってます。明日から使えるノウハウも満載。社員さんに配れば業績UP間違いなし笑。
3月8日全国発売。しばしお待ちください。
まずはプロローグを先行公開させて頂きます。
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○はじめに
飲食業界における一大ブームとなった「タピオカミルクティー」。アパレル業界における異例の大ヒットとなった「スーツに見える作業着」。まったく異なる分野での事業をゼロから手掛けてきた。そんな僕の社会人としてのスタートは、今にも潰れそうな街の水道屋だった。それは、栃木県の田舎にある社員5名の実家の水道屋だ。
僕は実家で働いた以外に就職したことがない。おそらくは、人生において履歴書を書いた記憶がない。大学時代に少しだけカフェバーでバイトしていたことがあって、その面接の時に書いたか書かなかったのか、という程度だ。もともとその店の店長は顔馴染みだったので、多分必要なかったはずだ。
ITベンチャーや外資系コンサル、大手総合商社、人材会社、体育会系営業会社、起業家として活躍している人はそのようなキャリアを持つ人が多いが、僕はそのどれとも無縁だ。反対に、中卒叩き上げといった反骨精神バリバリともちょっと違う。
社会人として、また、経営者として、ちゃんとした教育を受けて学んだことがない。仕事を教えてくれる上司や先輩がいたこともない。それどころか、高校入学してから大学を卒業するまで、まともに机で勉強した記憶もない。
余談になるが、2019年の暮れに、活躍する卒業生ということで、母校の中学での創立記念日の基調講演を依頼された。卒業生としてはなかなか名誉なことだ。結局コロナの影響で、その講演は中止になってしまったのだけど、講演では「学校の勉強で役に立ったことはひとつもない」という内容を話す予定だった。
講演の最後は、タイトルとは逆説的に、明日から「勉強ちょっと頑張ってみようかな」って思える締めくくりになるのだけど、途中までの話は先生方が悲鳴をあげて青ざめるようなストーリー。「誰だ! あんな奴に依頼したのは‼」。そんなシーンを楽しみにしていたのにな。ちょっと残念。
なぜ、「勉強は役に立たない」というはじまりから、「勉強を頑張ってみよう」に繋がるのか、簡単に紐解いてみる。本当に僕は学校の勉強で経営に役になっていることはひとつもない。これは真実だ。今やGoogleがなんでも教えてくれるし、必要な専門知識は5冊ぐらい関連本を斜め読みすれば十分だ。学校で勉強を全然しなくても社会で成功はできる。
「成功と勉強の関係」は「幸せとお金の関係」に似ている。お金がなくても幸せにはなれる人はたくさんいる。一方でどんなに唸るほどお金があっても、幸せになれない人もいる。ただ、選択肢という視点では、お金があったほうが様々な選択肢を持つことができる。ないよりはそりゃあったほうがいい。
勉強もそうだ。いくら勉強ができても、成功できるかはわからない。けれど豊富な知識や学ぶ姿勢は、様々な選択肢を持つことに繋がる。学歴もないよりはあったほうがましだ。選択肢をあえて、若い今から狭めてしまうのはもったいないという顛末だ。でも実際しなくても、なんとかはなるけど。
問題の本質は、勉強をしないとダメだと頭ごなしに押し付けること。子どもたちは皆わかっている。勉強しなくたって、ググればいいじゃんって。ユーチューバーみたく成功してる人もたくさんいるって。勉強や学校の役割って、極論を言えばやりたいことが見つかるまでの健全な暇潰し。楽しいと思える前に押しつけられると、反発したくなるもの。
さて、僕の話に戻る。最近、取材などでは「令和のヒットメーカー」との肩書を拝命している。門外不出のブランドと言われていた春水堂(チュンスイタン)を8年前に日本に誘致し、空前のタピオカミルクティーブームを仕掛け、新たな飲食のジャンルを創造した。アジアンカフェは絶対に日本では流行らないと言われていた業界の常識を打破した。
その後、ヒットメーカーとしての真骨頂となったのは、服の売れない時代に仕掛けた「スーツに見える作業着」のヒットだろう。まったくもって服なんてつくったことのない会社が、アパレル業界の様々な常識や垣根をぶっ壊した。働き方改革、そして、コロナによる消費の変化に先駆けて潜在ニーズを掘り起こし、こちらも新たな服のジャンルを創造した。
しかし、どちらもまだ、飲食業界やアパレル業界における巨大なマーケットでのメジャーかといわれれば、程遠い。道はまだ半ばというか、ようやくスタートラインにたった程度だ。偉そうに成功メソッドなんて本を出版する立場かと言われれば、自分でも疑問だったりもする。
でも、コロナ以降の今のどんよりして行き詰まった時代で、倒産寸前の水道屋がどのようにして、様々な異なる業界でヒット事業を生み出すことができたのか。そんなちょっと珍しい僕の歩んできた道のりや手法が、誰かの事業の立ち上げの悩みや、たくましく生き抜くためのヒントにしてもらえたらと思って、この本を書くことを決めた。
僕自身も、本書を通じて今までの人生や会社経営の振り返りに凄く役に立った。我ながら面白れぇ波乱万丈な道のりだったなと。この先も、もっともっと険しく激しいドラマがまっているんだろう。心底ワクワクもするし、少しびびっていたりもする。ジェットコースターに乗る直前の心境に似ている。
第一章は、僕の幼少期から水道屋として全国展開するまでの半生を振り返った。様々な挑戦と挫折の繰り返しが、今の経営スタイルの原点となり、発想力と行動力の源泉となっている。
第二章は、水道屋がなぜ飲食やアパレル業界といったまったく異なる分野に無謀な挑戦をすることになったのか。そして、どのようにして困難を乗り越えて、ブームを起こすことができたかを綴った。
第三章以降は、様々な業界での事業立ち上げを行ってきたなかで、たくさんの経験や失敗から学び、体得してきた僕なりの哲学やノウハウをマインド、スキル、リーダーシップ、逆境を乗り越える力と4つのカテゴリーに分けてコラム形式でまとめた。
倒産寸前の水道屋ができたのなら、俺たちもやってみようぜ。そんな一歩に繋がってくれたら何よりだ。