
男と女
トランプの欺瞞
トランプ、イーロン・マスクは対外援助事業の大部分は「誤り」だ
として、国際開発局(USAID)の解体、統合を一気に推し進めようと
している。職員1万人(国外の2千人以上)に休暇命令を出した。
(ワシントンの連邦地裁は7日、国外職員の休職は差し止めたが。)
要するにトランプの目で「目先儲からない」ものを目の敵にする
わけだが、米の対外援助、「国際開発」などが、これまで果たしてきた
米の戦略(アメリカ流民主主義の輸出を眼目とする)にとっての役割、
歴史などにまるきり無知であること(とりわけマスク)を露骨に示し
ている。
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トランプの「世の中には男と女しかいない」というのはタメにする
アホ発言であり、生物学的にも現実的にも明らかな誤りである。
ちなみに1期目にも当然ながら同じ発言をしており、下記「アリマキ
的人生」で取り上げた。
外型的には睾丸とペニスを有する男であっても染色体上はXXである
XXmale(女性型男性)、また逆に体は女であってもXY染色体を持つ
XY female(男性型女性)、という両性具有が現にいくらでもある。
こうした自然のミステイクがどうして起こるのかを探究して、生物学
者たちはSRY遺伝子を探り当てた(Y染色体の中のSex決定領域Rigion)。
XXmaleの場合はこの部分(SRY遺伝子)が紛れ込んだのであり、
XYfemaleの場合はこれが落丁したということであり、自然の中の人間
の成立(受精)は残念ながら完全ではありえないのだ。
もちろんこうした自然のミステイクと今の LGBTQやトランジェンダー
の問題とはストレートに同じことではないらしいが。
トランプには生物学的常識などという高尚な話はそもそも関係ない。
ともかくこれまでの民主党バイデン政権が推し進めてきた、DEI
「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」
「Inclusion(インクルージョン、包括性)」政策をひっくり返すことなら
何でもありというわけだ。
トランプの目指すものは、例えそれが様々な矛盾を抱え込んでいると
しても繰り広げられてきた黒人公民権運動、「Black Lives Matter」運動
や性的少数者(LGBTQ)の権利擁護の運動等を抑え込み、「逆差別」
を合言葉に強者の論理(ファシストの論理)を貫こうとするもの以外
ではない。
要するにかつての既得権益層(例えば極端には白人至上主義者たち)
が、「Black Lives Matter」運動などによりかつての権益を失い、不満
を募らせている現状に棹さし、逆に今の運動などでかろうじて得られ
たものを「既得権益」であるかのように逆立ちさせて、「逆差別」など
と言いたて、かつての権益層の復権を目論んでいるわけだ。
これを象徴的にあらわにしたのが、トランプの大統領就任式に立ち
並んだGAFAのCEOたちだった(ハゲタカは死肉に群がる)。
問題はこうしたトランプ流がアメリカ社会の少なくとも半分近くの
市民に受け入れられた(うまいこと騙された場合も含め)ということ
であり、「自由、民主主義」といった既存のアメリカ流文化、価値観
(これを極左とするのだから驚くしかない)に対する不満が渦巻いて
おり、アメリカ社会に余裕が失われていることを示している。