「決断早いですね」、「何でそんなに早く決められ
るのですか」。
会社所属時代の後半(取締役・社長時代)によく、
仲間そして同業他社の社長さんたちからも質問さ
れたことです。
自分自身で振り返ってみても「ある時」までは、例
えば決裁書とか稟議書が回ってきた時には時間
をかけて「様々なシチュエーション」を想い描き、
難しく賢く考えることによって「決断」していた、と
思います
。
ある時から「時間をかけてあらゆる方面から考え
る決断」から『瞬間的に感じ取る決断』に私の心
に切り替えが行われました。
ある時・・・・・
それは私のもう25年ほど変わらないたくさんの
「自分の想い」を形成してくれた4年間に渡った
R事件対応と新しいリクルート構築をどうしていく
のか、の悶々と悩み考え続けていた時・・・。
「瞬間的に感じ取ることによる『決断法』」もR事件
対応の悩み考えの4年間が私に与えてくれた
「気づき」のひとつ、なんです。
では・・
『瞬間的に感じ取る決断』とは何???
難しくないんです。簡単なんです。簡単だから「瞬
間的に決断ができる」んです。
そこで
今回は「私の決断のものさし」について書いていき
たいと思います。
かつて自分自身への投げかけ言葉<46>~
決断
クロスTHINKING
頭で難しく賢く考える決断から
易しく優しく心で感じとる決断へ
~by入道
気づき、悩み考えて行き着いた「自分なりの決断
の方法」。
勝手にクロスTHINKINGと名付けました。
クロスはCROSS。CROSSは「十字」「交叉する
こと」。
数学の時間を思い出してください。
Y=●X+○とかをグラフにその式の表す線で
書き込んだことありますよね。
ある時にいきなり心に浮かんで、それから今に
至るまで決断するにあたって用いるようになった
のはこれなんです。
グラフの縦軸(Y軸)と横軸(X軸)の『単位そして
目盛』の置き方が自分なりの工夫と言えば工夫
なのでしょうか。
工夫の結論を言ってしまいますと、縦軸(Y軸)は
「自分軸」=自分のありたい、自分の希望、であり
横軸(X軸)は「人間軸<他人軸・社会軸>」=社
会・他人あるいは人間としてみた時にありたい、
社会・他人の希望軸、としました。
そうしますと縦軸と横軸で区切られる4つのゾー
ンができてきます。
交点をゼロとして縦軸(Y軸)は上を「自分にとっ
て好ましい状態とか望むこと」を位置させて、
横軸(X軸)では右側に「人間にとって・社会にと
って(自分以外の人たちにとって)好ましい状態」
を位置させます。
こうしますと結論は縦軸の右側、添付の図で示せ
ば「Aゾーン」と「Bゾーン」のふたつが「やるべき
こと」「やっていいこと」となります。
(=他人が希むこと)
単純なのです。自分・自社の希むことが他者(他
人・社会)も希むことなのか、これを決断のものさ
しにすればいい、これだけなんです。
決断の対象によって「縦軸と横軸の「目盛」を変え
てみて、その決断をすることが自分(自社)そして
他者(お客さま・世の中・仲間<従業員>等)の目
盛に合わせて「どこに位置するのか」を見て、
前記しましたように右側のふたつのゾーン(AorB)
にくるのであれば「OK」「GO」とするわけです。
いくつか例示させていただこうと思います。
先ずは『企業活動』を考えます。
自分達は何を求めていくのか、縦軸の「目盛」
を『利益』と置きます。永続していくためにも
『利益』は絶対に必要です。交点の上にいけば
いくほど「大きな利益」。縦軸交点の下側は「赤
字」(利益が出ていない)となります。
さて次に横軸の目盛、企業活動なのですから
単純に、横軸X軸は「お客さま軸」といたします。
X軸交点の右側にいけばいくほど「お客さまの満
足が高い」、X軸交点の左は「お客さまは喜んで
いない」(お客さまは不満)と置きます。
右上Aゾーンは「お客さまは満足されていて会社
として利益も出ている」、右下Bゾーンは「お客さ
まは満足されている」けれども「会社としては「まだ
赤字」、左上Cゾーンは「お客さまは満足していな
い、不満」であるが「会社としては利益を出してい
る」そして左下のDゾーンは「お客さまは不満」
そして「会社として赤字」となります。
単純、ですよね。
お客さまが満足されて会社としても利益が計上さ
れる状態(A)はGO、さらに私の想いとしてはBゾ
ーンにあれば創意工夫によって赤字から黒字へ
の転換が測れるゾーンなのですから、このふたつ
(AorB)に位置することであれば「やろう」「やって
みよう」となります。
ビジネスのスタートは『まずお客さまにご満足して
いただくこと」。利益=お金は少し経ってからつい
てくるもの、なのだと思います。
私なりの表現をします。
「ビジネスは奉仕から始まる」のです。
だから、それまでの間の活動資金として
「資本金」が必要なんです。
1円で会社が創れる。とは言え、現実の企業活
動をスタートするには「1円」では絶対にできま
せん。
会社法上の会社設立と現実の会社運営は
異なるもの、なんです。
ちょっと横道にそれてしまいました。戻したいと思
います。
Cゾーンにあれば私の表現では「ダマシ・詐欺」な
んて言葉がはいることになりますのでここに位置
すれば「やらない」「やってはいけない」となります。
さらに左下のDゾーン、ここは誰も喜ぶ人はいない
のですから「もっての他」ゾーンと名付け、ここも
「やってはいけない」となる、のです。
このような目盛の付け方をしますと結論は図の右
側にくるのであれば必ず「OK」「GO」となります
ので自分勝手に「右側通行安全の原則」なんて
名付けて使っていました(使っています)。
さて、
最初の例示「企業活動」について図の視方を含め
て長く書かせていただきました。
以後は簡単な記述にいたしますが、是非、おひとり
おひとり心に思い浮かべていただきたいと思いいま
す。
次に企業活動そして生きていく時にも心にいつも
置いておくことが大切なこと。
『私たちが本来、知恵と汗を出す領域』とは。
これは自分自身の過去の振り返りを含めて作成
したもの、です。
縦軸上を「できる」も縦軸下を「できない」にし、
横軸右は人間として、社会人として「やるべき(こ
と)」横軸左は「してはいけない(こと)」といたしま
す。
大切なのは人間としてあるいは社会人として「や
るべきこと「やっていいことなのか」であり、自分
(たち)が今「できるから」で動いてはいけない、
んです。
結構、この図って大切だと今でも思い続けていま
す。ともすると「やる・やらない」の決断のものさし
を「今自分(たち)がてきるのか」「できないのか」
で決めてしまうことって結構多いと感じています。
単純に「やるべき、やっていきたいけれども残念
ながら今はできない、できていない」こと(右下B
ゾーン)を具体的にたくさん書き出し、「どうしたら
できるようにしていけるのか」を考えひとつひとつ
実践していけば会社も組織もそして自分自身も
楽しくなります。
会社所属時代はこのBゾーン項目を書き連ねて
いたノートが私の宝物でもありました。
さて
次に冒頭で自分のものさしの目盛として使いまし
た「利益」をこの図で考えてみたいと思います。
縦軸に自社、「従業員の満足」を置き、横軸に「お
客さまの満足」を置きます。
右側通行安全の原則、なのですから、単純に
「お客さまがご満足しているか、満足されるかだ
けで先ず考え、その上で働く仲間(社員・従業員)
の満足はどうなのかを考え、決断に持っていきま
す。
お客さまがご満足されている、より満足される、
のであれば時間差はあるかもしれませんが働く
仲間の満足に持っていくことは絶対にできます
し、経営としてそれは絶対にやるべきことにも
なります。
そしてこのことは会社のみんなにも何度も語り
続けておりました。
自分達の笑顔を創るためには先ずは自分たちの
身体と頭そして何よりも心に今まで以上の汗を流
してお客さまの笑顔を創出していこう、そうすれば
ちょっとの時間差はあると想うが、会社で汗流す
みんなの笑顔になっていくのだから、と。
では、次に多くの会社で行われている、「コストダ
ウン」。競争力を高めていくためのひとつの施策と
してのコストダウンをこれも縦軸・横軸で私の想い
を表わすと次のようになります。
結論だけを記します。
コストダウンへの挑戦はいつも必要なこと、です。
でも、私の想いは『品質を高めてのコストダウン』
なんです。単にコストを下げるだけでは面白くない。
品質(お客さまの喜びに結びつく)を高めながら、
同時にコストを下げていく、これが本来の『コスト
ダウン』の道なのだと思うのです。
一見、相矛盾するようなことを同時実現させてい
く、ここに創意工夫が産まれますし、それが働く
面白さにもつながってきます。
「ANDの追求」なんです。
どちらか一方を実現していくのではなく、同時に
実現していく、ことが大切なんです。
図表示はしませんが、『品質向上』と『利益の拡
大』、これも同時に追いかけるべきもの、なんだ
と思います。
(縦軸 利益 横軸 品質)
もっともとっ沢山、このクロスを創りましたが、例示
させていただくのはブログ文字数のこともあります
ので後ひとつだけに。
人材開発の世界では「じんざい」を二つの漢字を
用いて説明されたりしています。
それは『人材』そして『人財』。私はこれに更に二
つの漢字を当てはめております。
『人在』と『人罪』です。
これは人を考えていた時に自分のクロスTHINKIN
Gに当てはめるとどうなるのだろうか、を考えて
直ぐに心に浮かんだことです。
クロスの縦軸(会社軸・自分軸、会社として望まし
い)の目盛を「スキル・技術(力)」とし、横軸(お客
さま・会社に関わる人たちに望ましい)目盛を「人
間力」「人間らしさ・マインド」とします。
そうしますと、上の4つの「じんざい」、
「人財」「人材」「人在」そして「人罪」の位置関係は
次のクロス図のようになります。
それぞれ「どんな人」なのか思い浮かべてみてい
ただきたい、と思います。
いかがですか。
決断を早めていくために、素早い決断をしていく
ために、私が考え実践していたやり方をいくつか
の例示を交えて書かせていただきました。
ただ、この十字グラフに記入するやり方はすぐに
いちいち書き込まなくともいいやり方に変わって
いきました。
それはものすごく単純、な「やり方」「方法」です。
「自分がこの決断をすることで『誰が笑顔になる』
のか、『誰の笑顔のための決断となるのか』、
そして今一つ、『この決断をすることで涙を流す
人はいないのか』、『この決断は誰かの涙の上
にしか成り立たないのでは』・・・・・・
涙が思い浮かべられたら基本、「NO」であり
「STOP」なのです。
手許に決裁書とか稟議書が来たとき、会議の場
などでちょっとだけ目をつむり決断の向こうで喜
んでいる人たちの顔を思い浮かべ、一方で涙す
る人たちはいないのか、を思い浮かべるだけ、
なんです。
難しくありません。
一度、試みていただけたら、と思います。
すぐにできます。やれます。そして非常に解り易
い方法だと自分では思っていますし、現実、20年
近くこのやり方で私は「決断」をし続けていました。
今回も最終行にまでお目を進めていただきまして
ありがとうございます。
「決断」。
難しいことと言われていますし、
賢く考え学んでいた時には私も難しいことと
思っていました。
でも考えてみてください。
決断の時に使う言葉は「2つ」しかありません。
2つのことばから自己責任で
1つ選べばいい、1つ選ぶだけなんですから。
「YES」「NO」のいずれか。
あるいは「GO」か「STOP」のいずれか。
これだけなんです、「決断」行動は。
そして頭でかしこく考え悩む(フリをする)のではなく
『心で感じとること』です。決断の向こう側を。
ありがとうございます。
にんげん・しあわせ・ゆめ・こころ 入道(入村 道夫)






