かなり前に当時所属していた会社の全マネジャーむけに書い
たものなのですが、私の想いは全く変化しておりませんので、
そのままブログにも記してみたいと思います。
平成6年(1994年)3月
マネジャーのみなさまへ
システム監査技術者 入村 道夫
(今回は敢えて常務取締役管理本部長の役職を使いません)
★マネジャー一人ひとりのシステム発想と行動でメンバーを
支援しつづけるべき。同時にコンピュータを自らのメンバーと
して、マネジメント対象に加えるべき。
●システムとは一体何なのだろうか。様々な定義付けが存
在しているが、私は単純に以下のふたつに定義付けしている。
◆ひとつは『システムとは現在不可能なものを可能にして
いくための仕組み』。
◆そして今一つの私の定義、それは『システムとは人間の幸
せ・そして夢を実現する<⇔人間を苦痛から解放し、より
人間らしさを発揮してもらう>ための仕組み』である。
●この私独自のシステムの定義にはコンピュータの言葉は全
く存在していない。なぜなのかは、先の定義で用いている「仕
組み」についての私の考え方=想いを述べなくてはならない。
●結論部分を先に記するならば、私は「仕組みとは組み合わ
せである」と考えている。そして、その組み合わせの対象は
「経営資源」(=マネジメント対象)であり、人によってその組
み合わせ対象資源の多さに差がでてくるものである。
●組み合わせであるから、当然に対象を多く持っているほど対
応力(=組み合わせの数)は増す。
●身近なところで考えればメンバー一人ひとりもマネジャーで
ある貴方にとって大切な大切なマネジメント資源である。
●例えば、課の課題に対して先ずは、貴方に委ねられている
メンバー一人ひとりのの特性(=個性)を如何にして理解・
掌握し、その特性(=個性)をひとつひとつの課題毎にどう
組み合わせて対応していくのか、更に個々人の特性を
伸ばしていくために、マネジャーである貴方が何を支援
できるのかを考え、考えたら行動に移す、これを実践し続
けていくことが私の想う『マネジメント』そのものである。
〇経営資源に「無制限な状況」はあり得ない。必ず限度がある。
当然にして、あたりまえのことである。この「限りある経営資源」
を課題に合わせて組み合わせることによって課大対応していく
こと、これが経営であり、マネジメントである。
★マネジメントは「管理・指示・指導」ではない。
マネジメントとは、「今、不可能なことを何とかして可能に
していくこと」である。
★だから、マネジャーとは「今、不可能なことを可能にでき
る人、可能にするための仕組みを創れる人」なのである。
〇組み合わせ対象の経営資源にコンピュータを組み入れて
課題解決のための手法を構築していくのが、コンピュータ
システム開発である。
〇世の中ではひと言で『システム開発』と言われているが、
私の中では別物、異なるもの、である。
●システム化とは、ある意味で「現在、現状のやり方では
不可能なもの、不可能なことを可能にするための仕組
み創り」であると考えるべきであり、当然にコンピュータを
使わなくとも、例えば仕事の順序を変えるとか、シンプル化
をはかるとか、こう言った行動自体がシステム化思考なの
である。
●例えば「業務のシステム化」と言うことで考えてみよう。
●出発点は明快で、「今、このままの業務の進め方では困る
(私の表現で言えば、=心に涙を流している人がいる)』と
言う状況である。
★これを感じ取れる人間であればだれでもがシステム開
発者になることはできる。(と、私は思う)
●その上で、現在、業務を進めている中で何がネックとなっ
ているのか、何が効率化の妨げになっているのか
(=何が根本原因となって心に涙している人を産み出して
しまっているのか)を掴み、この部分を経営資源の組み合わ
せによって解決していくことが業務のシステム化、なのである。
★極論を言えば、
作業ひとつ無くすることも、また、指示系統が混乱の原因
なのであれば上位支持者にその旨を申し入れ、解決して
いくことも私の想いからすれば立派な「システム化そのも
の」である。
●システム化のスタートにコンピュータ知識なんて全く不要
なのです。
●組み合わせにコンピュータが入るのか、コンピュータを組み入れ
るのかは次の問題なんです。
●従前、「ひと・もの・かね」と3要素で定義された「経営資源」の
範囲を拡げてみることが必要である。
●時間・社内外ヒューマンネットワーク(=自分以外の人達の知恵)
・情報・・・・・・・そしてコンピュータ。
●好況期にしろ不況期にしろ企業経営者は常に経営目標を掲げ
その目標と現実との間に、存在している「経営課題」解決の
ために自分がコントロールできる限られた経営資源の「最適
組み合わせ」を考え、実践し続けるもの、だと私は考えます。
●そして、その目標は究極、『人間がもっている創造性の発揮
による利益の創造』にあると思うのです。
●そのためには当然に、人間には「より人間らしい仕事」をして
もらうこと、です。
★この目的を絶対に忘れてはいけません。
●この人間の行うべき仕事への転換を
私は「ブレインワークからハートワークへの転換」と表現
したいと思います。
●この転換を考えると実はメンバー評価にも考え方の転換を
要求されます。
●ブレインワーク≒デスクワークは私たちの目に見ることが
ある程度できる仕事ですがハートワークは日常的に見ること
はできません。
●ブレインワーク≒デスクワークでは『頑張ってくれている』とか
『夜遅くまでやっている」等のどちらかと言えば、「姿勢」の評
価を重視しがちですし、個々人の評価は多くの場合、
「継続しがち」(いい評価、あるいは悪い評価の継続、)です。
●これに対してハートワークは心の中での進展をみることは
できませんので、放っておくと「結果」だけの評価になってしま
います。
しかし、これでは上手くいっている時はいい、のですが失敗
した時には「時、既に遅し」になってしまいます。
★ハートワークへの転換への転換は実は「よりきめの細かい
マネジメントへの転換が要求される」ことを認識する必要が
あります。
●細かく分けた段階段階(チェックポイント)でチェック・確認を行い
時にはストップを明示、時には再度、前段階への戻りを指示し、
時にはOKサインを出す等、デスクワークよりも数段細かな
メンバーマネジメント(=メンバー支援)が必要になる、のです。
●システム化とは「デスクワークからブレインワークそして
ハートワークへの転換実現を支援するための仕組み創り」
である訳です。
★「忙しい状態」が続いています。
★でも・・・私はこの状態に危機感を抱いています。
●私の危機感の源は単純です。
◆今の忙しさは
「たくさんのデスクワークとちょっとのブレインワーク」での忙しさ
であり、その結果、本来先ずやらなければいけない「ハートワー
ク」にほとんど時間がとられていない、ちょっとだけ時間ができて
も身体と頭が疲れているから「心は動かせない」・・
こんな状況に危機感を感じざるを得ないのです。
◆本来は心を動かし頭を動かしそして身体を動かす、こう想う
のですがどうも真逆の動きを重ねているように思えてならない、
のです。
◆このような状況なればこそ、マネジャーみなさんに前述の
「システム化発想」で再度、現実を見ていただき、「システム
的行動」をおこしていただきたいと強く思います。
◆自分のところだけでなく、例えば他支社で悩み、改善し乗り越えた
ことの即刻共有も積極的にするべきです。
●こう言った行動のために効果を発揮するのが
「VE」(バリューエンジニアリング、価値工学)の考え方にあると
思っています。
●これもまともな定義は難しいのですが、
私なりの考え方でまとめれば「どうしてその(仕事)が必要なの?
なぜ、その(書類)がてるの?どうしてなの?何故、を繰り返すこと
によって根本を見極める。その上でやめられるのではとか、
他のやり方で変えていけるのではとか、その結果を出すのなら
違うこういったやり方の方が解り易いのでは、そうすれば時間・
コストも30%↓・・等など」との代替行動に導いてくれる手法、
だから私は『なぜ、どうしてなの手法』と名付けて実践して
います。
●忙しさの渦の中で身を振り回されているメンバーに対して、
ガンバってくれよ』としか言うことのできない、サポートの
言葉をいえない(どうしていいかわからない)マネジャーは
マネジャーではありません。
●もし、そうであれば、見守るなんて悠長なことでなく、すぐ
に自らの身を1プレーヤーとして忙しさの渦のど真ん中に
投ずることをするべきなのではないのでしょうか。
★さあ、マネジャーの貴方、
「自分を変えますか」それとも「マネジャー辞めますか」。
●本来、業務のシステム化は「システム化することが目的なの
ではなく、"人間の持つ創造性"をより発揮してもらうための
ひとつの手段(組み合わせ)」なのです。
●今はこのことを全役職者一人ひとりが心に共有していただき、
即刻に「全業務のシステム化」に取り組んでいただきたいと思い
ます。
★私からも具体的に各業務についてのシステム化提案の各論
投げかけをしてまいりますが、是非、マネジャー一人ひとりの
みなさんのシステム化「考動」でメンバー支援を実施していた
だきますよう、心よりお願いさせていだたきます。
(システム化に大きな力を発揮するコンピュータについての
私の想いにつきましてはまた別の機会に、といたします)
(置筆)
3月25日投稿の当ブログ
今回も長い文章であることお許しください。
そしてここまでお読みいただきましたことに感謝いたします。
2012.03.25
にんげん・しあわせ・ゆめ・こころ
入村 道夫