●平成2年(1990年)3月に提示させていただいたNEW
RECRUIT経営計画書。この経営計画書に書いたこと
の実現の動きを実践している中で噴き出したのが「バブ
ルの崩壊」。
●リクルートグループではマンション分譲会社そして不動産
金融の2社がバブル崩壊の現象として1990年末東京・大阪
からはじまり翌1991年秋には全国的な状況となった土地
価格の急激な下落の結果、グループとして大きな負の遺産
を抱え込んでしまいました。
●このとてつもなく大きな負債処理をどうするのか、世の中の
流れの「再建放棄」を求めるのか、それとも・・・。
●新たな苦悩の状況に。
●途中を省きますが何種類もの乗り切りプランを策定
し、何度も議論を重ねた結果、「金融機関をはじめとした他者
に支援要請(債権放棄等々)はせず、リクルートの利益力で
自力で全ての債務を返済していく(死なば諸共)」ことを決定。
●そして決定されたそのプラン実践のために私は平成4年(19
92年)6月リクルートの取締役を辞めてグループのマンション
分譲会社、リクルートコスモス(注:現コスモスイニシア)の常務
取締役に就任。
●「頭と身体そして心に沢山の汗を流す場」を変えることになり
ました。
★そして翌年平成5年(1993年)3月に『経営計画書~COSMOS
FROM NOW』を提示。
●今回もリクルートの時と同様に社内から何人もの力と心をお借り
するべく「経営計画を考える会」を立ち上げ、私が委員長に。
石井さん・今野さん・今村さん・金崎さん・川辺さん・木下さん・
西念さん・酒井さん・杉谷さん・谷本さん・廣田さん・町田さん・
吉田さんそして渡邉さん(注:やはり個人特定を避けるため姓のみ
の記載とさせていただきました)の14人のみなさまに委員になって
いただき、支えていただきました。
●この経営計画書にも『私の想い』を文字でしめさせていただいて
おりますので企業機密等にあたらない部分を下記抜いてみたいと
思います。
★リクルートの経営計画書と当時と『想い』は深くなってはおりますが、
変わってはおりません。でも・・・今読み返しても微妙に「やさしく」
なっているのでは、と自分で感じます。
<<はじめに>>より
(注:現在社名はコスモスイニシアとなっておりますが
文中のリクルートコスモスはそのままとしております)
"経営計画書―COSMOS FROM NOW―"は、199年秋より『バブル
の崩壊』の言葉で代表される今までとはまったく異なる型で急降下
局面に突入した日本経済の下でリクルートコスモス(以下、RC)を
『いかにして』再び『良い会社(Good Company)』にしていくのかを全社
を挙げて考え、議論したものを土台として『経営計画を考える会』が
まとるたもの、です。
日本経済におけるバブルの崩壊は企業のみならず個人生活に対し
ても大きな転換を迫っていると私たちは考えます。
そして、その転換方向をヒトことで表現するのならば『基本・原点に
戻ること』であると思います。
振り返ってみますと、バブルの最中では日本国中が浮かれる(=日本
中がバブルの恩恵を享受していた)という状態でした。それを現象面で
みるならば、『本来の創意工夫・努力なくして』高業績が計上される期間
が長く続いていたことに現れています。
その最たるものが、RCの属する不動産業でした。土地を仕入れてマン
ションを建て、抽選会場を手配し、広告を出せば竣工前に高い倍率での
即日完売。この繰り返しであり、『努力せずして儲かる状態』だったので
す。
当社も同じ状況にありましたが、それは『今だから言えること』であり
ます。従ってこの計画書では反省はするが不必要に過去を否定する
のではなく、『現実、今、私たちがおかれている状態』を直視すること
から始めるという手法を採っております。
そのような意味合いから、RCの事業について再度、その社会的存在
意義を確認し、その上で字義用の領域確認をした後にマーケット分析
をし、その後、事業戦略を考える、との方式で展開いたしております。
また事業展開、更に計画を実践していくのはRCに働く『ひと』である、
との基本から、その『ひと』が行動しやすい『支援環境』の整備との観点
で制度・風土の見直しも実施いたしております。
RCはリクルートグループの会社です。リクルートグループの共通理念
は、人間生活それぞれのライフステージ(進学・就職・転職・結婚・住宅
取得・昇進等々)の場面においてグループ各社・各事業で商品・サービス
を提供することによって「自由で活き活きした人間社会を実現」をめざす
ことだと考えます。
その位置づけからRCを見直していきますと、RCの命題は「個人個人
の活力の大きな源である家庭、その家庭の基盤となる『住宅』供給を
通じて自由でいきいきした人間社会を実現していく」ことにあります。
RCの新しい歩みはリクルートをはじめとしてグループ各社からの多大
な支援の『土台』の上に成り立っております。私たちは「支援があるから」
ではなく、持続的にグループ意識を明快に一方の理念として持ち続けて
いくことが必要であると考えます。
支援から自立、自立から共生。一挙に辿り着くことはできませんが、
共に利益を与えあいながら生きていく状態である『共生』をできうるかぎり
早く実現していくことを全員で追求していきたいと思います。
計画書がまとまったから完了ではありません。
この『計画の実行』にこそポイントがあります。
そのためにも計画実現のため、一人ひとりの日常行動レベルにまで
計画を再分化して落とし込んでいくことが重要です。
最後に計画を実現していく行動主体はあくまで私たち『一人ひとり』で
あることを付記させていただきます。
