お金よりも能力 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

お金は、とても大切なものです。

今の日本では、生きていくためには、ある程度のお金は必要です。

ちなみに、お金は、自分自身の能力です。

それを現金に変換する作業が、「働く」です。

 

その際に、みんなと同じ能力だと、比べられて、安い方が選ばれます。

だから、「ちがう」がかなり重要です。

 

ただ、「ちがう」は、相手を選びます。

だから、自分の事を知ってもらう努力が必要になります。
それは、いまでは、ネットなどでも、沢山発信手段があります。

生きていくためには、お金が必要なのですが、

なぜお金が必要なのか?

 

それは、払うためです。

 

なぜ払わなければいけないのか?

 

それは、自分でできないからです。

だとしたら、自分でできることを増やせば、

払うお金を減らすことができるのではないでしょうか?

自分ではできない。してもらうしかない。と思ってる人は、

お金を求めます。

 

でも、自分でできるようになりたいな。どうやってやるのかな。が気になった人は、

能力を求めます。

お金は使うと減ります。

能力は使うと増えます。

だったら、能力の方が得な気がします。

 

僕のばあちゃんは、

「お金は価値が変わるからくだらない。

お金があったら、本を買いなさい。

お金は、知恵と経験になるように使いなさい。」と教えてくれました。

僕は、なるべくそうなるように努力してきました。

たとえば、外食をするときは、なるべくつくってるところが見えるところで食べます。

そうすると、作り方をおぼえることができます。

それだけで、自分のレパートリーが増えます。

それを、地元に帰って、飲食店を経営してる友人に伝えたら、

そのお店のメニューが増えることがあります。

そうしたら、御飯代を払った以上の価値になるはずです。

たとえば、僕の会社には、微小重力状態を作り出せる実験装置があります。

宇宙スステーションと同じレベルの、高精度の微小重力状態を作れます。
この装置を作るときは、お金が無くて困りました。

銀行にお金を借りようとしたら、断られました。

しょうがないので、個人で借金をしました。(かわりに生命保険に入らされた)

僕は、その装置を、なるべく安く使えるようにしました。

それは、まったく採算に合わないレベルの金額でした。

でも、そのおかげもあって、その装置は、今ではものすごい稼働率です。
沢山の、世界トップレベルの研究者が来てくれます。

僕は、その人達と仲良くなれます。お話しできます。いろんなことを教えてもらえます。

実験がうまくいったら、一緒に喜びます。

やがて、その成果の論文に、僕らのことも書いてもらえます。

そのおかげで、またちがう研究者がやってきます。

この素晴らしい知恵と経験と人脈は、

お金を払っても手に入らないのです。
でも、僕は、それを得られるようになりました。

お金をもらえる範囲内で働いていると、その金額どおりの人生になります。

「時給1000円だから、1000円分でいいよ。手を抜いておこう。」

と思ったら、本当に、時給1000円の人生になります。
でも、時給に関係なく、フルパワーで学ぶと、能力が向上します。
それは、その職場では評価されないかもしれません。
でも、どこかで誰かが見ています。

輝いていたら、誰かの目に触れます。

見つけてもらえるよう、輝くのです。

そうしたら、その能力は、正しく評価されると思います。

お金が無くて困っている、という状態は、

わかりやすく言うと、収支のバランスが崩れている、ということです。

ですから、支出を減らして、収入を増やす努力をすれば、状態は改善します。

収入を増やすためには、
(1)自分の能力向上の努力をする。
(2)その能力を必要とする人と出会う努力をする。
が大事です。

お金が無くて、苦しい状況を、何かのせいにして、恨んだり、呪ったりする時間があったら、
自分の能力を向上させ、その能力を必要とする人に出会う努力をした方が建設的です。

放っといて儲かるうまい話など、ないのです。