なにもできない自分に「やきもき」しなくていいよ。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

いま、コロナの影響で、やきもきしてる人は沢山いるでしょう。
せっかく合格したのに、心機一転頑張ろうと思っていたのに・・・とか。
または、就活しなくちゃいけないのに、それができない・・・とか。
せっかく就職したのに、まだ会社に出社できていない・・・とか。

気分晴らしに外出することもままならず、

自宅で勉強したりしてみても、

自宅でゲームとかしてみても、

焦りばかりがたかまって、手につかない。

集中することができない。

 

何かをしなくちゃいけない。頑張らなくちゃいけない。

でも、何をしていいのかわからない。

 

そして、そんな自分を責めてしまう。

 

という状況にある人は、少なくないと思います。

 

まずは、ひとこと。

 

「まじめだねえ。素晴らしい。」

 

この焦りは、性根がまじめで、真剣だから生じてしまうものです。

それは、今まであなたを支えてきた素晴らしい資質だし、

これからも、あなたを支えてくれる素晴らしい資質です。

それを備えていることは、素晴らしい事です。

 

と同時に、ちょっと残念なのは、

もしかしたら、いままで、「与えられた課題を解決する」ことの

練習ばかりしてしまったのかも。

だからこそ、課題が与えられなかったり、与えられた課題が簡単すぎると、

どうしていいのかわからなくなってしまうのかもしれません。

この状態は、あまりよい状態ではありません。

なぜなら、社会に出た後は、「自分で解決すべき課題を見つける」ことが

要求されるからです。

 

少し前までの日本では、「社員」という人達は、会社の命令に従っていればよかったです。

しかし、これからの日本では、そういう仕事は自動化されてしまいます。

だからこそ、自分で課題を見つける力を、今のうちから育てた方がいいです。

 

今、コロナのおかげで不自由です。でも、会社いかなくていいし、

学校に行かなくていいし、部活も無いから、

時間は沢山あります。

この時間を使って、「課題を見つける力」を増やすことは、

人生にとって、ものすごく重要なことになります。

 

課題を見つける力のためにとても大事なのが、

(1)情報や知識(と、それを得る能力を増やす)

(2)幅広い情報を関連つけて考える連想力(脳のシナプスの複雑度をあげる)

です。

 

情報や知識と、それを得る能力を増やすには、本を読むことが効果的です。

できれば、実際にあったことや、それを元にした話がいいです。

僕は、歴史や伝記が好きです。

そこには、様々な人達が問題に出会い、その問題を解決したり、問題に飲み込まれたりする

様子が描かれています。

それは、生きていく上で、ものすごく役にたつ情報と知識です。

でも、なんでも読めばいい、というのも難しいでしょう。

興味が無かったら、読み進めるのは難しいです。

だったら、自分の興味のある分野に関係のある本がいいでしょう。

たとえば、看護や医療に興味があったら、ナイチンゲールの伝記はとてもいいです。

運動やスポーツに興味があったら、ナイキを創業した人の話なども、とても面白いです。
ある本を読んだら、そこから、興味を感じた分野の本を探してみる、ということができます。
伝記はマンガになっているものも多いので、読みやすいです。
そして、自分が強く感じたことを、ノートに記録していってはいかがでしょう。

何月、何日。こんな本を読んだ。何ページ目のこんな部分に感動した。

などと、日記風に記録を残すといいと思います。

 

また、マンガと言えば、「マンガで読破」「マンガ学術文庫」シリーズはおすすめです。

古今東西の名著を、文庫本サイズのマンガで要約してくれています。

普通ではちょっと手が出ないような難解な本も、わかりやすくなっています。

それだけで、「こないだ読んだ、ショ−ペン・ハウアーの幸福論にさ、こんなことが書いてあったよ。」なんて言えちゃったりします。

急に頭よくなった感じがするでしょ。

マンガで興味を持てたら、原作も読む気が沸くでしょう。


 

また、連想力のために、脳のシナプスの複雑度を上げることが有効なのですが、

そのためには、まるで関連のない分野のことを経験することが有効です。

おそらく、大抵の学生さんは、部活と勉強の経験を積んでいるはずです。

ですから、それ以外の経験をしてみるといいです。

料理もいいです。掃除もいいです。

絵を描く、というのも、小学生以来では?

小学校で使った水彩画道具や、書道の道具を引っ張り出してみるのもいいと思います。

そして、それもまた、日記風に記録を残すといいです。

僕たちは、中小企業家同友会という勉強会を開催しています。

そこでは、講師を招いての座学のセミナーなどはほとんどやりません。

僕らは「やったことがないことをやる」のです。

メンバーのおすすめで、「カーリング」や「カヌー」にも乗りました。

少し前は「ボッチャ」も経験しました。

ケーキも作りましたし、盆栽も作りました。ロケットストーブを作ってピザも焼きました。

いずれも、生まれてはじめてのことでしたから、

普段使わない筋肉と脳みそがフル活動です。

それは、脳みそのシナプスをかき回してくれて、気がついたら、視野が広くなっています。

たとえば、友だち同士で、メジャーではない趣味をおすすめし合う、というのも

面白いかと思います。

せっかく時間があるのです。
それを、焦りや、不安や、自己嫌悪で使ってしまうのはもったいないです。
そもそも、このままいけば、来年の受験だって成り立たない可能性が高いです。
今年の就活を頑張っても、来年の春には、その会社が無くなっていたりするかもしれません。
そして、おそらく、このコロナの影響で、「新卒一括採用」は成り立たなくなると思います。

 

一生一つの会社ですごす、ということもなくなった現代です。

ということは、「新卒」とか「学歴」の価値も、昔ほど高くはありません。

そんな世界でものを言うのは、「だれもが教えてもらえるハウツー」ではなく、

「自分で学んで身につけた実力」です。
なぜなら、その力さえあれば、一生学びになるからです。成長できます。

「お金を払って教えてもらう」しか経験していないと、

「教育」の時間をもらえないと、学ぶことができません。

 

その、実力を増やすための練習は、学校や会社が休止中のいまがチャンスです。

学校はじまっちゃったら、今までの休止分を取り戻すために、

夏休みも冬休みもなく、ひたすら学校に缶詰になっちゃうよ。

 

ぜひ、知識と情報と学ぶ力と、脳のシナプスの複雑化をやってみたら?

まもなく焦りは消えて、楽しくなってくると思います。

ちなみに「楽しい」ってのは、

寝るときに、「はやく明日にならないかなあ!」

「はやくやってみたいなあ!」と、ワクワクできる状態です。

 

人生、楽しんでる?