教育が変わるチャンスの時。だと思う。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

昨日は毎月開催されるロケット会議でした。
そこで、永田先生と話をしていたら、

北海道大学は、まだしばらく登校中止なのだそうです。

そのため、授業はオンラインで行うのだそうです。

 

僕はすぐに、「じゃあ、今年の授業を録画しておいたら、来年楽ですね。」

といいました。

永田先生も、「まったくです。でも、教師の存在意義が失われるかも。」

だそうです。

 

いま、来年のハイテクノロジー専門学校の

宇宙・ロボット学科のカリキュラムを作り始めたところです。

来年もまだコロナの影響もあるかもしれないので、

オンラインを考慮した内容にしようと思っています。

そのため、様々な人のオンライン授業を参考にしています。

 

すると、素晴らしい授業が沢山あります。

微分や積分の意味が、すんなり入ってくるような素晴らしい授業もあります。

それらを見ていて思ったのは、

「日本でもトップクラスの人の授業を録画して、それを日本中で使ったら、教育格差がなくなるし、教育の効率がうんと上がって、結果として学力もあがるんじゃね?」

です。


常々思っていました。

同じ教科書で、同じ内容を教えているのに、わかりやすい先生と、

わかりにくい先生がいます。

同じ免許でありながら、教える技術にかなりの差があります。

これって、本当はまずいことでは?

 
このまま学校休止が続いたら、文科省が定める授業時数が足りなくなる、ということが
問題になってきています。
でもね、重要なのは「何時間授業をしたか」ではなく「どれだけ身に付いたか」のはずです。
だとしたら、教育の密度を上げる努力をしてもいいのでは?

僕は大学に入って1年目、高校のおさらい授業をうけていたときに、
高校時代にまったく理解できなかったことが、すんなり理解できて驚きました。
あれほど理解に苦しんで、結局理解できなかったことが、数時間の授業で理解できました。
そのときに感じたのです。
「高校の3年間って、なんだったんだ?」です。

科学が発達すればするほど、社会人になるまでにおぼえる知識は増えます。
ということは、毎年、授業の密度を上げる努力をしなければいけない、ということです。
以前、学校評議員として、いまの中学校の授業を受けたことがありますが、
僕が中学生だった頃よりは、うんとわかりやすくなっていました。
先生はすごく努力をされていると思います。
しかし、大学とくらべたら、授業のペースはかなり遅かったです。
その理由は簡単です。大学は、ある一定の理解力のある人がそろっています。
しかし、中学校では、クラスの生徒の理解力には、大きなばらつきがあります。
ですから、ペースが遅い人を考慮すると、あまり速くも進めないこともわかります。
 
でも、だったら、理解力や習熟度に合わせて、クラス編成すべきでは?
ゆっくりな人には、ゆっくりなりの授業が必要です。
ペースが速い人には、速いなりの授業をすると、もっと伸びます。
 
オンラインというか、動画などを使った授業だと、
苦手なところを、何度も見ることができます。
わかってるところは、どんどん先に進めます。
これは、とてもいいことなのでは?と思います。

ただ、学校という所は、人間関係や社会性を学ぶ場所でもあります。
でもね、いまの学校という社会が、現代の社会を反映してるかというと、
そうとは限らないでしょう。
むしろ、かなり特殊な社会になってしまってる気がします。
だとしたら、学校とは違う形で、子ども達が社会性を身につけるような方法を
考えるべきでしょう。
いまは、部活と勉強が忙しすぎて、子ども達にはそんな時間はありませんが、
授業の効率を上げれば、時間が生まれます。その時間を使うことができます。

いやいや、生徒の自主性に任せたら、なにもしない生徒が発生する。
生徒には強制が必要なのだ。
という話もよく聞きます。
でもね、強制されないとなにもできない人は、大人になってもそのままだよ。
そうじゃなくて、主体的に学ぶ人を育てることが重要でしょ。

植松電機の仲間は、みんな、かなり好奇心旺盛で、おせっかいです。
以前に書いたと思いますが、会社でAEDの講習会がありましたが、
講習会のあとで、講師の先生が、
「いままで、いろんな会社で講習会やってきたけど、こんなに熱心に取り組んでくれるところは初めてでした。そして、質問がすごく多いし、それも、かなり変わった質問が多くて楽しかった。」と言ってくれました。
植松電機の仲間は、かなり主体的に学んでくれます。
僕は、植松電機の人材育成の手法は、もしかしたら可能性があるのかも、と思っています。
それを最大限に活かしてみるのが、来年の「宇宙・ロボット学科」です。
(もう、募集ははじまってるみたいですよ。)
 
このコロナの感染拡大を防ぐための学校休止状態は、
明治からあまり変わっていない日本の教育を変えるチャンスになっていると思います。
チャンスは、掴むべきです。
掴みに行かないと、掴めないからねえ。
がっちり掴みに行きましょう。