休業しろって言われても・・・ | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

いや、植松電機の事じゃないですよ。

また、休業しろとは言われていません。

この先はわからないけどね。

 

いま、休業要請に応えない企業の名前を公表する、ということが行われてるのかな?

公表して、どうするのかな?

さらして、みんなから非難されたら、休業せざるを得ない、と思ってるのかな?

それって、ネットの「さらし」の私刑と似てる感じが。

 

企業が休業したら、働いてる人には、給与の60%×90%=54%の補償が

あるようですが、企業の固定費は人件費だけではありません。

借家なら家賃があるし、建物建設したなら、建設費の借り入れの返済があります。

で、国が準備している企業向けの休業補償は、これにはまったく足りません。

 

雇用を守るための人件費の補償をしても、

そもそも雇用している会社がなくなってしまえば、雇用は守れません。

というのは、ものすごくあたりまえの事なんだけど・・・。

 

仮に、植松電機が休業したら、働いてる人達は、54%になってしまった給与で

生活を維持できるのかなあ・・・。ざくっと半分だもんね。きびしそう。

植松電機の固定費は、人件費を除くと、ざっくり毎月1500万円くらいかな。
国の補償では、ひと月も持たないね。

 

とはいえ、この状況下で、企業の固定費も国が全部払え、なんてのは不可能です。

雇用されている人の人件費だけで、280兆円くらいになるはずだから、

それだけでも国家予算をかるがると超えています。

そりゃそうだよ。

だって、税金というものは、稼いだお金の一部でしかないんだもの。

無尽蔵にあるわけではありません。

 

だから、企業を存続させるためには、税金による補償ではなく、

「固定費分の借金を低利子で可能にする。」

のが一番だと思います。

本当はね、給与所得に関しても、いちいち国が補償しないで、

企業の人件費を含む固定費を借金できるようにして、

企業に給与を支払わせた方が、ぜったいに手間がかかりません。

なんたって、「いままでどおり」なのですから。

 

この借金は、たとえば10年かけて返済する、としたら、

まる1年休業したとして、10年で考えたら、月の売り上げが8%程度減るくらいですから、

企業は自力で再生できるはずです。

もしも、8%もつらいなら、20年で返済にしたってかまわないでしょう。

 

雇用を守れるのは、企業です。

国の税金を使った補償など、焼け石に水です。

 

このままだと、休業したら、2〜3ヶ月後には確実につぶれてしまう、という企業に対して、

無茶な金利で金を貸す銀行もあるかもしれません。

 

これは、いうなれば、戦時国債ならぬ、コロナ国債のようなものです。

各企業に、国債を買ってもらうのではなく、借金をしてもらうことで、

このコロナ危機を乗り越えるのです。

その借金の総額はすさまじくなるでしょう。ということは、金利の総額もすごくなるはず。

だとしたら、金利を下げても大丈夫。

もちろん、金利はない方がいいけど、それでは銀行がつぶれてしまいます。

みんなが痛い思いをして乗り越えるべきです。

 

企業の前年の売り上げから、毎月の売り上げを算定し、

毎月そこまでを限度に、低金利で返済期間10年〜20年で、

休業要請や外出自粛が終わるまでの期間、

無担保無保証で借金できる。

ということができれば、本当の意味で雇用を守れると思います。

ただ、「借金返済まで会社をつぶさない」という覚悟の確認は必要でしょう。
もうそろそろ店をたたもうと思っていた人の場合は、借金の期間も短く設定するべきだと思います。
 
いま、手形決済などで、支払いを3ヶ月から4ヶ月延ばすことで延命している企業があると思います。それも、あと2ヶ月くらいでエンドがやってきます。