社会で大事なこと(3:必要としてくれる人を探そう) | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

人は人から必要とされたいです。
それは、大脳を発達させた結果、長時間の「睡眠」が必要になり、
その結果として、助けあわないと生きていけなくなった人類の、
本能に刻まれてるものかもしれません。

必要とされる、を、賞賛や評価と間違えちゃってる人もいます。
それは、「比べる自信」を教えてしまう社会や教育の結果です。

でも、間違えてはいけません。

賞賛や評価は、「必要とされる」ではありません。
賞賛や評価を自己存在にしてしまうと、評価者の奴隷になり、
「人からどう思われるか」

「人からどう見られるか」だけで生きることになります。

自分が消えてしまいます。

人は、人から必要とされたいです。

でも、そうならないことはとても多いです。

そりゃそうです。

人には、相性というものがあるからです。

 

たとえば、ラーメンが大好きな人に、うどんをすすめても、

たいていの場合は、その人はラーメンを選ぶでしょう。


食べ物ならなんでもいい!という人なら、なんでも食べてくれると思いますが、
その場合は、自分が食べてもらえる可能性と、選ばれなくなる可能性は同じになります。
なんたって、なんでもいいんだから。

選ばれるためには、まずは、選ぶ人(自分の必要とするものが明確な人)が必要です。
そして、選ばれるための「特徴(他の人と違うところ)」が重要です。
それらが、一致したときに、必要とされます。

その確立を上げていくためには、

(1)自分の特徴(他の人と違うところ)を増やす。

(2)選ぶ相手と出会う回数を増やす。

が効果的です。


自分の特徴を増やすためには、「やったことがないことをやる」のが効果的です。

そりゃそうだ。

自分の知ってることや、やったことがあることしかやらないと、

自分の特徴は増えません。

 

選ぶ相手と出会う回数を増やすためには、

そもそも、人と出会うチャンスを増やすのが効果的です。

そして、誰と出会うか、は自分で調整できます。

前向きな人と出会いたければ、前向きな人が集まる所に行けばいいです。

経営者と出会いたければ、経営者が集まる所に行けばいいです。
うさんくさいところに行けば、うさんくさい人と出会えます。

 

自分が必要とされない理由を、

「自分には、取り柄がないから・・・」

「自分には、これといって、得意なことがないから・・・」
と思うのは正しくありません。

それは、あなたの特徴を必要とする人に出会えていないだけです。

 

賑やかで前向きで元気な人を必要とする人もいます。

穏やかで慎重で大人しい人を必要とする人もいます。

自分の特徴は、相手によって、プラスになったり、マイナスになったりするだけで、

そこには「正解」はありません。
もちろん、人によっては、自分が必要としないものを悪く言う人もいます。
「ラーメンなんて、そんな油っぽいものよく喰えるな!見ただけで吐き気がするよ!」

という人もいますし、
「うどんなんて、そんなあっさりしたもの、食べた気がしないわ!」
という人もいます。
こういうマイナスの評価をもらうと凹みます。悲しくなります。
でも、それらは、「言わないでいいことを言ってる人の言葉」でしかありません。
Amazonの評価だって、いい評価も、悪い評価も、どっちも的外れって事はよくあります。

残念な事に、学生時代に、成績がよくなかったとか、人とうまく関われなかった、
ということを「自分のマイナス」と思ってる人もいます。
でもそれは、学校という特殊な閉鎖空間での評価にすぎません。
(過密な多頭飼育状態で、みんながストレスのはけ口のために、自分以下をつくろうとしている空間だったかもしれませんよ。)
そこでの評価は、必ずしも社会での評価とは一致しません。
ということで、学校での評価を、そのまま自分の価値だと思う必要はありません。

そして、自分の特徴を、マイナスに思う必要もありません。

これから、プラスに思ってくれる人と出会うチャンスを増やせばいいです。

 

いまは、コロナのおかげで、直に会うのは難しいですが、
だったら、メールをするとか、手紙を書くとか、いろんなつながるチャンスがあります。

もったいないのは、
「自分は人から必要とされないんだ・・・」で、
人と関わることをやめてしまうことです。
でもね、社会は学校とは違います。
自分で関わる相手を選べます。
嫌な相手とは、距離を置くことができます。(自分も選ぶ側になれます)
だから、勇気を出して、人と関わってみると、可能性が増えます。

現在テレビで放送中の「波よ聞いてくれ」の原作漫画の7巻には、
就労継続支援作業所のことが書かれています。
就労継続支援作業所とは、病気や障害などで、一般的な就労ができていない人が対象です。
病気や障害に理解のあるスタッフがサポートしてくれる状態で働けます。
必ずしも障害者手帳が必要というわけではありません。(自治体に問い合わせるといいです)
作業所によって、作業の内容は様々です。
A型の場合は、雇用契約を結びますから、最低賃金が保障されます。
B型の場合は、雇用契約を結びませんから工賃はA型より低くなりますが、軽作業が多いです。
この「就労継続支援作業所」は、全国にあります。
試しに、そういうところで「就労」の練習をしてみるだけでも、
「あったことがない人」と会えるし、「やったことがないこと」ができます。

世界は広いです。
どこかに必ず、必要としてくれる人がいます。
いまはまだ、出会えていないだけです。
だから、自分を責める必要はありません。
ちょっと勇気を出して、「やったことがないこと」に踏み込んでみたら?
たとえば、ネットで「就労継続支援」について調べてみるだけでも、
なにかが変わりはじめるかもしれません。
自分が読んだ本の著者にメールや手紙を送るだけでも、何かが変わるかもしれません。
ちょっとの勇気です。