人手不足の原因は・・・。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

いま、日本ではすごく人手不足です。

 

少子化の影響以上に人手不足な感じです。

 

その原因は、いくつか考えられます。

 

まずは、時代の変化に、教育が追いついていないことの問題です。

いまや

「素直、まじめ、勤勉」はロボットに負けます。

暗記の量と正確さでも、ロボットに負けます。

従来の教育が目指した資質は、ロボットに負けます。

 

また、ブラック、という言葉の普及もよくない影響があります。

この言葉のおかげで、働くのが怖い、と思う子が増えています。
 
で、ちなみに、企業におけるブラックを増長する一因が部活です。
間違った部活の指導でたたき込まれた、年齢による異常に厳しい上下関係と、
戦時中のような精神論は、ブラックを増長しています。
実際、僕の知り合いの企業でも、「間違った部活指導を受けた子は採用しない」と
いっている経営者も居ます。
パワハラをする人の少なからずが、部活の常識でやっています。

ということで、
(1)今の企業が必要とする能力が、小、中、高で得られない。
(2)仕事に就くのが怖い。
という人達は、
どんどん、高校以上の学校に溜まっていくのです。
 
いま、高校は少子化の影響でどんどん統廃合されています。
だのに、大学と専門学校は増え続けています。
そこに労働力が停留してしまっているのです。
 
それは、保護者にとても大きな経済的負担を与えてしまいますから、
保護者の消費活動は減少します。
また、子ども達も、多額の奨学金返済を抱えますので、
社会に出てからの消費活動は停滞します。
 
本当は、金は天下の回りものですから、教育産業が儲かれば、
それはやがて市中を潤すはずなのですが、そうなっていないように感じます。
ましてや、教育というものは、使ったお金以上に、学んだ人の能力が増えますから、
本来は経済的効果はすごく大きいはずなのですが、なんだか、
景気がよくなっている感じはしません。
その原因は、人の能力を発揮しきれない企業にあります。
企業や組織の経営や運営に関わる人達が、
将来のことよりも、自分の退職金のことしか考えないような状況では、
新しい事へのチャレンジなどできるはずもありません。
多くの企業や組織が、研究や開発や挑戦をどんどん削減しています。
これでは、価値が生み出されないです。
 
日本は、本気で、真剣に、教育の改革と、企業の体質改善をしなければいけません。
企業の体質改善で最も重要なのは、「責任=切腹」という価値感からの脱出です。
失敗の責任を間違った追求するから、失敗を避ける人が増えます。
それは、責任の意味を間違えているからです。
責任とは、「謝れ!」「謝罪しろ!」と糾弾することでもないし、
土下座をさせることでもありません。
責任とは、
(1)すべきことをやりとげること
(2)失敗の再発を防ぐこと
(3)生き延びること
です。
これを、日本中わかっていないから、
マスコミも、国会も、ネットも、ひたすら、「お前は間違ってる!」「謝れ!」が
渦巻いています。
そんなことしても、なんにも生まれてきません。
 
働き方改革は、企業の体質改善のための手段の一つではありますが、
それをやれば全ての問題が解決するかったら、そんなわけないですね。
むしろ、「働くことが悪いことである」ような風潮を作りだしてるのは、
ものすごく経済にとってマイナスです。

まあ、いっぺん、どん底までおちたら、考え方変わるかな?
でも、敗戦を経験しても変わらなかったからなあ・・・。
この問題の、根は深いです。