厚木での講演の質問への回答8(子どもの頃の夢は?) | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

一番多かった質問です。

 

「子どもの頃の夢は?」

 

僕は、飛行機やロケットを作る人になりたかったです。

他には、潜水艦を作りたかったです。

しかし、この夢は、中学生の頃に、「ジョーズ」という映画を見てしまったことで、

海に入れなくなってしまったので、長く頓挫したままです。あきらめてないけど。

でも、いまでも、水族館が大好きです。

サメコーナーも、こわいけど、必ず徹底的に見てきます。

 

幼稚園の頃は、「お店屋さんごっこ」というものがありました。

みんなが、いろんなお店を準備している中、僕は、ダンボールを使って、

自動販売機を作りました。

僕が中に入っていて、お金を入れてもらったら、ジュースを出すのです。

僕は、自動販売機になりたかったのかも・・・。

いまでも、自動的に動く装置とか、メカメカしいものが大好きです。

 

他には、中学生の頃には、化石を掘るのが好きになりました。

化石の復元とか、してみたかったです。

いまでも、博物館で骨格展示を見るのが、ものすごく好きです。

ジュラシックパークという映画を初めて見たときは、感動して泣きました。

(ブラキオサウルスのとこ。広い水場にたくさんの恐竜たちが暮らしてるシーン。)

 

思い返してみると、僕は、職業名で夢を考えたことがないような気がします。

僕は「してみたいこと」を夢だと思っていたのだと思います。

中学生の頃も、「資格」というものも「職業」も、意識してませんでした。

なんでかな?

 

それは、もしかしたら、周囲の人達が「将来なんになりたいの?」って、

質問しなかったからなのか、それとも、そういう質問には答えられなかったのか、

よくわからないです。

ただ、昔の大人は、子どもに「将来なんになりたいの?」なんて質問してなかったような・・・。

 

ああ、でも、何人かの大人は、僕の書いた潜水艦の設計図を見て、

苦笑いをしていたなあ・・・。

僕は、かわいそうな子どもだったのかも・・・。

だから、将来の事とか、聞かれなかったのかも・・・。

 

僕は、紙切り工作や、紙飛行機や、化石や、宇宙や、スペースシャトルや、ガンダムや、

宇宙戦艦ヤマトや、スターウォーズや、サイボーグ009とかが好きでした。

だから、自分で勝手に調べました。

それらは、すべて、職業名と直結していなかったので、

「くだらない」「できるわけない」「ムダだ」「まじめに考えなさい」などなど

怒られ続けました。

しかし、今にして思うと、それらの知識は、すべて、今の僕の仕事を支えています。

 

夢とは、大好きなことや、やってみたいことです。

何個あったってかまいません。

追いかける課程で、知識と経験が増えます。人と出会います。

夢は多ければ多いほど、絡み合って、どんどん叶っていきます。

 

しかしそれを、「職業名」や「進学先」に限定してしまうと、

知識や経験は、限定的なものになります。出会う人のジャンルも限定されます。

夢に関係のない事への、興味も関心もなくなります。

しかも、職業名や進学先から選ばされた夢は、

「安定」「楽」「お金」でランク付けされます。

ランク付けされた段階で、一生負け続けます。

なぜなら、世界1にならない限り、負けだからです。

しょうがないから、自分のまわりに、自分以下を作りはじめます。

自慢をし、人を見下します。

それは悲しい人生です。

 

子どもに夢を聞くときは、聞いた夢を評論するのではなく、

いいね!と言って、

だったらさあ、

「この博物館面白かったよ。」

「この人に会ってみたら?」

「こういうイベントがあるよ!」

と、その夢に近づく道を教えてあげて欲しいです。

 

しかし、間違った夢を夢だと思い込まされた人は、

興味も関心もないから、「だったらさあ」という情報提供ができません。

そういう人が、子どもの夢を評論し、子どもの夢を、職業や進学先に、

限定させてしまうのだと思います。

 

子ども達には、夢を追いかけている人達を会わせるのが一番です。

そんな機会を、たくさん作ってあげて欲しいです。