「前よりはよくなったんです」という、現実逃避。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕は、小学校のPTA会長を、9年間やりました。

その時に悲しい経験をしています。

 

学校には問題がつきものです。

それに対処していけばいいだけです。

 

時々、PTAの会議などで、子ども達の問題行動などの話題があがります。

すると、校長先生は、「それでも、前よりはよくなったんですよ。」と言います。

「私が来たときよりは、挨拶もできるし。」と続きます。

 

でもね、僕はあなたよりも前からこの学校のPTA会長やってるんですよ。

重要なのは、「現状に問題がある」ということであって、

「前よりはよくなった」というのは、現状の問題とは関係ないです。

しかもその「前よりは」の情報も、根拠が曖昧すぎます。

まあ、言ってもしょうがないことです。

どうやったら改善できるのかを、自分たちで考えるしかありませんでした。

 

僕は、ブログに、世の中の納得がいかないことについて書くことが多いです。

そしてそれは、実は、子ども達からもらったお手紙などが基になっています。

でも、そうすると、不思議なことに、学校に関することにだけ、

「先生全員がそうではない」

というコメントがつきます。

いやいや、そうですよ。わかってますって。

でもね、重要なのは、「いい先生」と、「そうではない先生」の数の比率ではありません。

問題のある先生が、子ども達に悪影響を与えていることに、どう対処していくか、です。

 

たとえば、企業において、売り上げが落ちたとします。
そのときに「いや、みんながんばったんです!」と言ったって、いい話にはなりません。
売り上げが落ちた原因を考え、対策を考え、実行するしかありません。
時には、「がんばり」そのものが間違ってることもあるし。
 
重要なのは、現在目の前にある問題と、向き合っているかどうか、です。
「あなたはいじめにあったことがありますか?いじめを見たことがありますか?」
というアンケートをとる学校はけっこうあります。
しかし、そもそも、いじめの定義をしてなければ、「あれはいじめなのかな?」になります。
ましてや、いじめを「からかっただけ」「ふざけただけ」と、普段から先生が解釈していたら、「いじめはありません」というアンケート結果になるだけです。
「我が校には、いじめはありません」と胸を張って説明できます。
でもそれは、とても危険です。
 
問題から、目をそらそうとする大人は沢山います。
でもそれは、危険です。
問題は、見つめて、考えて、対処すべきです。