フリーターも真剣にやれば経験値アップの修行です。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

戦争の時には、お互いの国が、相手の武器を鹵獲(ろかく)します。
戦場に捨てられていることもあるし、相手の補給施設を占領したら、

丸ごと手に入ることもあります。

そして、鹵獲した武器などを、分析します。

相手を知ることはとても大事なことですから。

 

で、その分析なのですが、それぞれの国が詳細な報告書を残しています。

日本軍は、相手の武器について、「だめなところ」を重点的に記録します。

しかし、アメリやソビエトなどの国は、相手の武器の「いいところ」を重点的に記録します。

その結果、日本軍の武器は進化しません。

しかし、アメリカ軍やソビエト軍の武器は進化していきます。

 

ソビエト軍の戦車と言えば、その当時、世界トップクラスです。

それなのに、日本軍の戦車のよいところを参考にした改良をしています。

 

日本軍が、それができなかったのは、「たちうちできない」ことを

認めたくなかったからなのかもしれません。

相手のよいところを認めてしまったら、自分たちが劣っているということを認めたことになります。それを、日本軍はよしとしなかったのかもしれません。

しかし、最初から世界一のものなどありません。

どんなものも、かならず劣っている部分があります。

そして、劣っていることを認めたときに、改良できます。

 

これは、個々人についても言えることだと思います。
相手のだめなところばかり見つけてしまう人は、

もしかしたら、劣等感の塊なのかもしれません。

自分を守りたくて、よく見せたくて、

相手を見下す。

誰かを陥れるような悪いうわさを流す。

侮辱し、バカにする。

でも、そういうことをしている限り、成長も進化もできない。

だから、年齢を重ねるほどに、追い越されていく。

ますます自信を失い、ますますまわりを憎悪する・・・。

 

この連鎖を断ち切るためには、「よいところ」を素直に「すごいなー。」と

認めるだけでいいような気がします。

 

僕は、スポーツ中継に、選手のプレーにとやかくだめ出ししてる人が苦手です。

だって、自分には、そんなプレーはできないです。

僕は、スポーツ選手のプレーを見ていると、「すごいな!」「そんなことできるのか!」

「どうやってやってるんだ?」ばかりが気になります。

 

いま、時代は大きく変わっています。

その中で、正社員になれずに、アルバイトや短期の仕事を転々としている人も

少なくないです。

なにしろ、企業自体が、先が見えずに迷っているから。

 

その俗に言う「不安定」な状態を、マイナスに感じていたり、

否定されたりしている人もいるでしょう。

大丈夫。マイナスになど考えなくていいです。

そこを、学びの場にしてしまえばいいのです。

そのためには、まずは、自分の職場の「いいところ」をどんどん記録します。

そして、「だめなところ」を見つけたら、それも記録して、

「じゃあ、自分ならこうするかな?こうしたらよくなるんじゃないかな?」も記録します。

その上で、新しい発見がなくなったら、違う仕事を探す、というのもありです。

これは、すばらしい武者修行になります。

多くの会社を経験すればするほど、性能が向上します。

 

どんな仕事でも、ただ漫然と、指示されたことだけやって、

疑問も問題も気がつかないフリをしていると、

それは成長にはまったくつながらない時間です。

また、働いてみたものの、その職場のだめなところばかり目について、

それの愚痴ばかり言ってるようでは、なんの修練にもならないです。

(ちなみに、時間給という制度では、突き詰めたら、「言われたことを、言われたとおりに、最低限やっておけばいいんだろう」という気持ちしか育たないです。そういう人が沢山いる中で、それに反して努力をすることは勇気が必要ですが、頑張ったモン勝ちです。)

 

植松電機では、いろんな人が働いています。

そして、植松電機の仕事は、多岐にわたっています。

なぜ多岐に渡っているかというと、それは、会社の生存性を高めるためです。

そこでは、みんなの様々な仕事の経験が、いろんな形で生きています。

新卒で入った人でも、植松電機の中の様々な仕事をすることで、経験値を

積み重ねることができます。

ですから、植松電機では「宇宙開発しかやりたくない」という人は採用しません。

「ひとつしかやらない」は、社会や情勢の変化に対して、とても生存性が低いです。

 

人口増加期の日本では、終身雇用と年功序列が成り立っていました。

でも、もうそんな時代は終わってしまいました。
もう、日本に「安定」などありません。
それは、人口が増加していて、ロボットもいなかった昭和の思い出です。
これからは、「臨機応変」こそが求められます。
そのためには、様々な経験値を高めることがとても大事です。
だから、家庭を持つ前の比較的自由な時間に、様々な仕事を真剣に経験することは、
とても効果的です。
 
注意が必要なのは、「漫然と働いてはいけない」です。
「いいところ」をどんどん学ぶために職場を活用しましょう。
そして、社員教育や、セミナーなどを積極的にする会社を選ぶといいです。
また、前向きに前進している会社を選ぶのも大事です。
そういう会社は、厳しい審査を乗り越えて、国の助成金や補助金を獲得しています。
経済産業省のHPから、そういう企業を見つけるのは簡単です。
インターンシップでもかまわないので、どんどん学びに行くといいです。
(ただし、インターンシップを引き受けてもらう為には、自分の熱い思いをしっかり伝えることも大事ですから、なんどもなんども、情熱手紙を書く練習もしたらいいかもね。)