負ける勝負はしない方がいい。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕は会社を経営しています。

 

で、会社を経営する上で、すごく大事なのは、

負けるケンカをしないことです。

 

努力と根性で勝った国はありません。

残念ながら、人間は、なんぼ追い詰められても、

スーパーサイヤ人にもなれないし、暴走モードにも入りません。

(暴走できても、パワーはもとのままです。)

だから、勝てない勝負ってのがかならずあります。

そんなのは、避けて通るのが一番です。

 

たとえば、登山。

熊にはあわない努力をするでしょう。

ツキノワグマだって、めちゃめちゃ強い。

「百姓貴族」というマンガの中で、作者は、

ヒグマを呂布、ツキノワグマを関羽と表現していました。

どっちにも勝てる気がしないですね。

その、熊とあわない努力や、熊と闘わない努力は、

臆病でも卑怯でもないです。

 

で。

日本人の美徳である「素直」「まじめ」「勤勉」は、

どう考えてもロボットに負けます。

てことは、こんなもんで勝負してはいけない、ということです。

 

だから、保護者にも先生にも言いたいです。

子ども達を、「素直」「まじめ」「勤勉」だけにしてしまったら、その子達は、将来ロボットに負けるよ。

働くことができなくなるよ。

そもそも、「素直」「まじめ」「勤勉」なんてのは、

富国強兵国民皆兵の時代に、殖産興業の大号令で

労働者に求められた、企業にとって都合のよい条件に過ぎません。

本来の日本人のよさは、そこじゃないでしょ?

 

日本に昔から伝わるいい話は沢山あります。

そこには、すべて「やさしさ」があると思います。

日本人の美徳があるなら、それは「やさしさ」がいいと思います。

 

だから、やさしい子を育てて欲しいです。

「やさしいねえ」「ありがとうねえ」という言葉を、1日に何度も言ってあげて欲しいです。

きっとやさしくなります。

そうしたら、その子は、社会から必要とされると思います。

 

ちなみに、「やさしさ」は、くらべることが困難です。

だから、比較されなくてすみます。
てことは、勝ちもしないし、負けもしない、ということです。
毎日、もうちょっとやさしくしてみよう、と思うだけで、
どんどんやさしくなれますから。