サウサリコは滅びた。
荒れ果てたその地で、マァルはひとり、佇んでいた。
体中から、シューシューと蒸気のような煙がある辺ばかりに出ていた。
顔中の血管が浮き出て、目は怒りに満ちていた…
マァルの呼吸が次第に激しくなってきたところで、思わず咆哮のように叫んだ。
「ヨシモト…アサミィィ………我と戦えぇぇーーー!」
前回、自分の力を試すべく、生明の乗ったF00ユニコーンといざ、戦わんとしたが、のらりくらりとかわされ、逃げられてしまった。
あんなふうに自分の言うことが通じず、暖簾に腕押し状態になったことに、戸惑ってしまったのだ。
そんな自分が信じられず、後からジワジワと悔しさが滲んできたのだ。
それが…今の状態である。
「あんな屈辱…初めてだ!絶対に…赦しはせん!」
マァルの立っていた地面が大きな爆発が起きた。
それはまるで、マァルの怒りを表しているかのように…。
「…で、なんでこんな広くて誰もいない場所へ連れてきたの?」
その頃、格之進は生明を連れて、街から外れた荒野へと誘い出した。
かつて、サウサリコの襲撃を受け、今や誰も住んでいない場所なのである。
「生明さん、頼む…いや、頼みます!自分を鍛えてやって下さい!」
「ほぇ?鍛える…ですとー?」
「もう、お留守番なんて、真っ平です!足手まといなんかになりたくないンです!僕にもビスタムのチカラと言うものがあるのなら、一刻も早く覚醒したいのです!」
「う…先ず、その敬語やめません?調子くるうんですが」←キミも敬語だ
「はい、そうですね!敬語やめます!」
「やめてねーじゃねーか!…まぁ、いいや。でもどうしたの?別にあたしたち、そんなこと望んでないよ?」
「チカラもそうだけど…いつも生明さんは前向きというか、むしろ前向きすぎて、もはや上を向いている気がするほどです。そのまま倒れないか、心配にもなります!」←なかなか敬語やめないヤツw
「ダメじゃんか、それ!倒れるし!…いや、まぁ…あたしがプラス思考だって、言いたいんだね?それでビスタムのチカラ引き出そうとするのはわかった。でも、何もこんな荒れ地に来なくても…」
「え?だって覚醒したら稽古してもらいたいじゃないですか。ここなら誰もいないし、迷惑かけないかと思いますよ?」
「だーかーらー!敬語やめて?てか、気が早いよ!まだ何も始まったないのに(汗)」
「そ、そうかなぁ…」
「いやね、焦んなくてもいいじゃない?急に性格をプラス思考にしなくたって!ビスタムのチカラってそこにあるわけじゃないし。うちの弟なんかビスタムだったけど、むしろマイナス思考だったよ?」
「え、そうなの?」
「それにあたし、プラス思考の押し売りしたくないんだよ。されたら…疲れるでしょ?無理して前向きになんか、ならなくていいじゃんか。それにさ…別世界のあたしはそれを強要して、弟をひどい目に遭わせてしまったことがあるんだ…」
「え…?」
「後悔してもしきれない別世界のあたしの記憶が、それが間違っていた事を教えてくれた。それであたしも思ったんだよ。色んな考えを持っていてもいい、それこそマイナス思考だって、悪いことばかりじゃないよ」
「マイナス思考に、いい事があるの?!」
「うまく言えないけど、言い換えれば謙虚で控えめ…かも?知らんけど」←知らんのかーい
「うーん、そうかなぁ」
「いいんじゃないかなぁ、別に。あたしが上ばかり向いていたら、下を向いてくれるカクさんが居てくれたら、安心だよ?だからカクさんはあたしの足元にある石ころを見つけて、あたしが転ばないように支えてくれたら嬉しいなー」
「うぅ…いいのかなぁ、それで」
「それよりさ…マジでね、カクさん、あたしを支えてくれないかな?」
「は?」
と格之進が聞き返した瞬間、ドドーーーーン!という爆音がふたりを襲った。
「え?なに?!」
「見つけたぞ…ヨシモト…アサミィ…」
マァルが突然、やってきたのだった…
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生明ちゃん、別世界のなんちゃらのクダリは、「ウルトラマンビスタムthe bigining」で、マイナス思考のソラをプラス思考を押し付けて、ビースタムに覚醒させてしまった事がありましたね(主な原因は宅中君でしたが)。
あの一件が、かなりトラウマになっているみたいですね。
あれは別世界の生明ちゃんなのですが。
で、生明ちゃんのビスタムのチカラがどんどん強力になってきており、そこであらゆる次元の生明ちゃんと記憶が共有されるという設定になってあるんですね(え?いつの間に?!)
一方、マァルさんですが、サウサリコが滅ぼされたので、将軍ではなくなったので階級は今回より外されています。