COCO KARAです。
さて前回に引き続き私が見つけたニューヨークの格安物件ですが、その物件はウェスト・ハーレムにありました。
ウェスト・ハーレムはここ数年の間に人気が高まっているエリア。特に125丁目にWhole Foodsが出来てからはガラッと辺りの雰囲気が変わりました。現在は高額のコンドミニアム・ビルディングも建設されて、高所得者層が移り住み、オーガニック・レストランやチーズやチョコレートの専門店なども出来て、様変わりしています。
そのウェストハーレムで私が見つけた物件はワン・ベッドルーム(寝室、リビング、キッチン、バスルームのある部屋)でした。前回説明したHDFCの物件で、居住者一人辺りの年収が8万ドル以下であることが条件。価格は辺りのワン・ベッドルームと比べて日本円にして2千万円程安かったです。
(写真はイメージです。当該物件ではありません)
しかし前回お伝えしたようにHDFCのビルですから投資には適さず、自分で住まなければなりません。
でも私はその部屋に入った途端、一目惚れしてしまったのでした。広くはないけれど、リノベーションしたばかりの新しい床に壁、清潔で落ち着いた雰囲気の空間に降り注ぐ柔らかな日光、中庭に面した窓から見える木々の緑。
その瞬間、「この部屋は私を待っていてくれたのね」、と直観したのでした。確かに投資には適さないわね。それはわかってる。でもだったら自分で住めばいいじゃない?だってこの部屋はとてもいい感じだし、何より可愛いもの。
ああしかしそれが数カ月に及ぶ逡巡の始まりだったのだよ。
(写真はイメージです。当該物件ではありません)
早速ブローカーに買う意志を伝えた私。言われるままに書類を提出し、審査に掛かる費用として物件の管理会社へ$250分の小切手を送りました。
程なく書類審査が通り、ブローカーから「次はビルのボードメンバー達との面接です。追って日にちを知らせますね」とのこと。
「ああ、ボードメンバーの人達に気に入られるといいな、ドキドキしちゃう」、などと思っていたのですが、その後幾ら待っても連絡が来ません。
2週間が過ぎたところでブローカーに確認すると、「ビルのマネジメントの一人が出張でニューヨークを離れているから戻り次第来週連絡しますね」との返事。
言われた通り翌週まで待って、まだ連絡がないので催促すると「確認しますね」との返事。その後も連絡が無いのでこちらから連絡、要領を得ない返事を受け取る、の繰り返し。
ついに4カ月が経過したところで、何の気なしにそのビルディングの住所で検索してみると衝撃の事実が出て来たのです。
なんと私とブローカーが要領を得ないやり取りをしていた正にその時期に、私の購入しようとしていたビルの住人の一人であるマダムSさん(仮名)がビルの管理会社から訴えられていたのです。
訴えの内容は以下の通りです。
マダムSさんはそのビルのボードメンバーの一人として長らく会計担当を引き受けていたが、水道代の支払いを怠り、現在5万8千ドル(日本円にしておよそ655万円)の負債を当ビルにもたらした。(えっ水道代を5万8千ドルもため込むってどういうこと? 私の心の声)
その上マダムSさんはそのビルの1室の住人であるに過ぎないのに、そのビルディング全体を売ろうと他の開発業者に働きかけていた。(えっだって自分のビルじゃないんでしょ?それを売ろうとしたの?)
その上マダムSさんは現在空き部屋(つまり私が買おうとしていた部屋)の鍵を取り換えてその部屋を売りに出そうとしているビルの管理会社の妨害行為をした。
その上マダムSさんはマダムSさんの行動に反対していた住人を脅した。 その上マダムSさんはビルの管理会社が雇ったビルの管理人を勝手に解雇しようとした。
その上、(まだあるんかい!私の心の声)と、とても長い文面が続いておりました。
そして判決。
「マダムSさんが水道代の支払いを怠ったのは良くないことだった、マダムSさんには会計をする資格はない。マダムSさんは彼女の所有ではないビルを勝手に売ってはいけない、マダムSさんは空き部屋の鍵を勝手に換えて、その部屋の管理会社がその部屋を売ろうとする行為を妨害してはいけない、マダムSさんは他の住人を脅してはいけない、マダムSさんは管理人を勝手に解雇してはいけない、等々」
あっけに取られました。う-ん、こんな事態が起こっていたら確かに私と面接するどころではないわよね、と納得がいった瞬間です。
しかもこのマダムSさんは今もそのビルに住んでいるのです。そして彼女の弟さんも同じビルの別の部屋に住んでいて彼も管理費を払っていない、とのこと。
この期に及んで、と思われるかもしれませんが、私はこの記事のリンクをニューヨーク生まれの友人に送って読んでもらい、「このビルに住むのってどう思う?」と聞いたのでした。常識のある人なら「ダメに決まってるでしょ?」と言われるかもしれませんが、それ程私のあの部屋への一目惚れは強かったのだよ。
友達は(マダムSさんのしでかした行状があまりに多く全部は読めなかったそうですが)、「だってこれ現在起こってることなんでしょ?過去ならまだしも。まだマダムSさんもその弟もそこに住んでるのよ。私なら住まないわね」ときっぱり。
あああ、ごもっともです。 部屋は改築できてもご近所さんは変えられないものね。ということで私はその部屋を諦めて他のそれ程お得ではなくても住人達のしっかりしている部屋を探すことにしたのでした。でもこの記事のリンクがネットで見つけられたのはラッキーだったな。
ではまた後程!
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