フィレンツェ探訪記(ワイルドな) | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

もちろん、イタリア語を話さないボクのせいなんだけど、イタリアから小包を送るのには難儀した。


ボクは英語が嫌いで、日頃から英語嫌いを公言してるわけだけど、でも海外で困った時、少しでも英語が話せる人が現れてくれると、ホッとしたりする。(日本語だと、きっともっとホッとする)

世界中で英語が通じるはずだって考えているヤツとか、世界中が英語になればいいんじゃないって考えているヤツとか、ばっかじゃないのって思ってるけど、ロシアが英語だったら、シベリア鉄道の旅はきっともっと早く実現する。(日本語だったら来年行く)

まぁ、なんだかんだ言って事実上の世界標準になっちゃった感のある英語の恩恵は受けているワケだな。それでもなお、英語を母国語としている連中が努力なしにその恩恵を受けているのに、ひがみ根性丸出しで「英語は嫌い」なんて言っているところが、良い歳こいて困ったものだ。ごめんなさい。

*****

ご想像の通り、イタリアの郵便局では英語はあまり有効じゃぁなかった。今までの経験からすると、スペインの郵便局と、ブルガリアの郵便局に匹敵するくらい英語が通じなかった。たまたまってこともあるけどさ。


まずは小包用の段ボール箱を手に入れようと、郵便局内の売店の女性に尋ねた。ヨーロッパの大きな郵便局の中には、たいてい文房具や本を売っている店があるのね。売店の女性は、英語で窓口に行きなさいと言う。

順番待ちの発券機のどのボタンを押せばいいか判断するまでに5分。順番待ちに10分。ようやくボクの番号が窓口に表示されて、係の人に用件を伝えた。日本に小包を送りたいので小包用の段ボール箱を下さい。それから、船便と航空便とどのくらい値段が違うのかも知りたいと。

窓口のおばさんはボクの話を黙って聞いた後一言、

----- Non parlo inglese.(私、英語はしゃべらないわ)

って。

だよね。やっぱ、そうだよね。でも、ボクが話しているのが英語だって理解してくれたんだな。よかった。「日本語分からないわ」って言われるより、どれだけ自尊心を傷つけられずに済んだか。


物の本で読んだのだけど、昔、日本の英文学の碩学が請われて英国の大学に赴き、英語で講演会を行ったんだそうだ。一通りの講演を終え聴衆たちに感想と質問を求めると、一人の学生が立ち上がって、「教授の講義は実のところ私には何も分からなかったのですが、でも日本語が比較的英語に近い言語であることが分かりました」と。
作り話かもしれないし、有名な実話なのかもしれない。


それよりは良かった。と思いながらも何とか事態を打開しなくちゃならない。
英語じゃダメかぁ。スペイン語の方が通じるのかな。もともとは同じラテン語だしな。そか、どうせならスペイン語をイタリア語風に発音したら案外通じたりしちゃうかもしれない。
昔、バルセロナでイタリア男が地元娘を口説く場面を見た事があるんだけど、バルチェローナ、バルチェローナって言ってたっけ。あの時は「ちっ!」って思ったけど、その手があるな。

Eh... sono... Vorrei mandare un pacco a Giappone, ne, wakaru? So, one cardbord box... ah... una paquete para enviar...., box! box! that yellow box. You look the box over there, don’t you? And... Io... vorrei conocer il precio... prezzo? de.... via avion e via superficie....

自分でも、何がどうなっちゃってるんだかわからんけど、まぁこんな感じの事を言いたかった。

えっと、日本に普通小包を送りたいんで、段ボール箱、その…… 箱です、箱、ボックス。その黄色いの。向こうに見えるでしょ? それから料金…… 値段? を知りたいんです。航空便と船便の……


----- おやおや旦那さま。苦労されている様ですね。それでは通じませんでしょうね。

ああ、まったく通じなかった。カウンターの向こうでは「なんか変な英語を使う東洋人が面倒くさいのよ」みたいな感じで、係員同士が話をしてるしさ。

---- それで、結局段ボール箱は買えたんでございますか?

窓口で埒があかず、今日は諦めるかなって思って最後にもう1度郵便局内の店を見たら、隠れたところに置いてあった。

----- でも、お店の女性は無いって言ってたのでございましょ?

いや、無いとは言ってない。窓口に並べと言っただけだ。おそらく英語を話す客には、そう返答することにしていたんだろう。

----- おやまぁ。

 しかしですよ。せっかくの芸術の街フィレンツェの探訪記が、郵便局の話なのでございますか? ルネッサンス美術についてだとか、旦那さまご専門の建築についてだとか、そういう記事はお書きにならないのですかね。


ん? そんな記事、もう既にたくさん書かれているだろ? フィレンツェは、美術よし、建築よし、人よし、料理よし、風景よし、気候良しってさ。
ボクがワザワザ書く必要はない。

*****

セバスチャン。ボクは昔からお姫様には人気がないんだ。本当のお姫様じゃない。

ほら、周りの男子から人気があってチヤホヤされていて、その仲間うちのアイドル的な、昔風に言うとマドンナ的な、そういう女の子ってどこにでも居るだろ? 男子人気の的。そういう女性に、ボクはあまり評判が良くない。

----- はぁ。

それはつまりボクが素直じゃないせいで、みんながあまりに賞賛すると、ついボクはけなしたくなる。いや、けなすことはしなくても、無視することになる。いや、無視するつもりはなくても、話す時ぎこちなくなる。

----- 話したかったんでございますか……

どうかな。その辺はわからんな。
フィレンツェはなんとも美しい街さ。美術品にあふれた街というよりも、街全体が美術品の様にね。だれもがこの街のことを美しいと言う。

だからボクは、この街でちょっとぎこちない。

別にフィレンツェに好きになってもらわなくても構わない。ボクのことを好きになってあたたかく迎えてくれる街が、きっと世界中のどこかにはあるはずだからね。

----- おやまぁ。ずいぶんと変な論理でございますな。またいらっしゃればよろしいのではございませんか。そうやって段々と機会を作れば、フィレンツェとも仲良く打ち解けられるというものでしょう。

そりゃね。そうかもしれないね。
でもきっと放っておけば、また30年は来ない。そして30年後、ボクがあるかどうかはかなり怪しい。あったとしても来れるかどうかはもっと怪しい。


だから今日の夕方、フィレンツェの街を一望することのできるミケランジェロ広場まで行ったよ。
フィレンツェの街を眺めて来た。
近くで見ると皆が言うほどは美しくないって思っていた花の聖母教会も、遠くからそのクーポラを眺めると実に姿が良い。アルノ川の水面は夕日に光って、その光の中にシルエットとして浮かび上がる橋を見ていると、少し感傷的になったな。

たぶん一生のお別れ。美しい街だけど、きっとこの街には来ない。


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もちろん、多くの観光スポットに行った。
花の聖母教会にも、ヴェッキオ宮にも、ウッフィツィ美術館にも、サント・スピリト教会にも、サンタ・クローチェ教会にも、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会にも、あれにもこれにも。でも、中には入らなかった。

建物の前まで行って、ちらっと見ただけで帰って来てやったぜぇ~ 右上矢印
30年ぶりに来た街で、おそらくもう来ないって言うのにだぜぇ~ 右上矢印
ワイルドだろぉ~ 右上矢印

これ、まだ日本で流行ってますか?



6月1日追記
イタリアの郵便局の名誉のために付け足します。
本日、ローマの郵便局から無事に小包の発送を終えました。ネットの記事で読むところによると2時間は覚悟して置いたほうが良い、なんて言うものまであって、それなりに覚悟して行ったんだけどね。ものの10分で発送完了!
小包の発送に必要なイタリア語をにわか勉強で仕込んで行ったんだけど、窓口のお兄さんがきびきびと、しかも必要なところは英語を使って対応してくれた。
イタリア男、ナイス! 1ポイントゲット!

無事東京まで届いたらボーナスポイントあと2ポイント。もし届かなかったりしたら、1ポイント取り上げた上で、イタリアの郵便局の悪口の記事をもう1回書きます。