thello 号乗車記 | /// H A I H A I S M ///

/// H A I H A I S M ///

あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

いよいよまたご褒美の時間です。

「ご褒美」ってのは、夜行列車に乗る事だよ。
「また」ってのは、つい先日ホーチミンからハノイまで統一鉄道に乗ったから。その時は、列車に乗り込む時に指をしこたま突き指しちゃって、「ご褒美」ってな状況じゃなくなっちゃったけど。 ●ここ

*****

今回ボクが乗り込む列車は「thello」。こんなコースで、パリとヴェネツィアを結んでます。

$///   H A I H A I S M   ///-thello

パリ・リヨン駅19時45分発、ヴェネツィア・サンタルチア駅9時34分着。遅すぎない出発、早すぎない到着。夕暮れ時の車窓の風景も楽しめるし、ちゃんと頑張って起きれば、早朝のまだ固いつぼみの様な景色も見ることができる。

それに、去年の12月に運行を開始したばかりの thello だから(*)ピッカピカの新型車両なんじゃないかって、ちょっと期待してた。実際はピッカピカじゃなく、かといってポンコツでもなく、豪華でもなく質素でもなく、普通のヨーロッパの夜行列車って感じだったな。
ま、それでもワクワクする。やっぱり夜行列車だもの。


コンパートメントは4人用。パリ・リヨン駅を出発した時は3人だった。
次の日曜日にヴェネツィアで開催されるカヤックのレースに出るんだと、カヤックごと乗り込んで来た英国青年。旅の理由については言葉を濁すのだけど穏やかで紳士的なアルゼンチン青年。そしてボク。英国青年は英語とフランス語を話し、アルゼンチン青年はスペイン語を話し、ボクはかなり上手に日本語を話す。

パリで乗り込んだから最初に「ボンジュー」って挨拶はしたんだけど、その後しばらく言葉をかわすことは無かった。そこに、かなり男前の黒人車掌が検札にやって来た。

----- 切符とパスポート、見せていただきますね。はい。どうも。では、チケットはお返しします。皆さんヴェネツィアまでですよね。パスポートは私が預かります。ヴェネツィア到着の1時間程前、8時半ころには皆さんにお返しします。

その時、イギリス青年が「8時半…… 起きれるかなぁ」って。

----- はい? なんておっしゃいました?

----- いや、冗談、冗談。

----- 困りますね、お客様。この列車の中では冗談は禁止されてます。

その黒人車掌は、偶然にも英国青年の生まれ故郷で1年間生活してたこともあったそうで、すごく奇麗な英語を話す。

この時の笑いがきっかけで、なんとなく3人は話をするようになった。

と言ってもアルゼンチン青年は英語がダメ。
だものだから成り行きで、3人共通の話題の時はボクが通訳をするような形になっちゃったんだけど……

*****

ハノイの病院でのこと。フランス人医師と患者のボクとの間に2人の通訳が入って、フランス語からベトナム語、ベトナム語から日本語に訳されて行く内に情報量がどんどん少なくなっちゃってるよ。

前、そう書いたけどさ。 ●ここ

なんと今回は、ボク1人で通訳2人分以上の大活躍だった。情報の減り方が半端無いぞ。

スペイン語で聞いて理解できても、あれれ? 英語で何て言うんだっけ? vice versa(逆も同様)

大学受験用に勉強した英語(の残りかす)と、ずいぶん若いころに1年間住んでいたことがあるだけのスペイン語(の成れの果て)じゃぁ、とっても満足な通訳はつとまらんよ。疲れただけじゃなくて、大げさに言えば自信まで喪失した。でも、退屈はしなかったかな。

2人とも、ボクが女房子供を日本に置いたまま海外でフラフラしていることに、驚いたり、感心したり、羨ましがったり。まぁそこのところだけ「エヘン」という気分だったんだけど、ここは偉ぶるところじゃないんだろう。

*****

そんな風に時間を過ごして、寝て、起きて、またそんな風に時間を過ごしている内にヴェネツィアに着いた。

26年ぶりのイタリアだ。
空は明るく、気候は良く、街は美しく、食事は美味く、女の子たちは可愛く愛想がいい。唄うように話し、生活を楽しむ術に長けている。ボクの大好きな国だ。この国に、あの忌々しい「イタリア男」さえいなければ。

ホントそう思っていた。

でも、今ではそんなことはもう気にならないさ。
いや当時だって、イタリアのおじさんは嫌いじゃなかったんだ。小柄で、太っていて、禿げていて、陽気で、少し(?)エッチで、そんなおじさんは嫌いじゃなかった。いや、憧れていたのかもな。

なぜ今は気にならないか?
それは、ボクはもう、その何だ…… 年齢的に、そのおじさんの方の仲間だからね。


ブログランキング・にほんブログ村へ  click me!


(*) thello は新しく開設された路線じゃなくて、以前は「アルテシアナイト」って名前で運行されていたらしい。運行会社を代えて、新しいブランドで営業を継続したってことなんだね。
おしゃれなロゴの割に車体が古いってのも、納得です。