...で、先生。病状はどの程度悪化しているんでしょうか。
うーん、なつむぎさん。気を確かに聞いていただきたいんですけど、正直なところ、かなり悪化しています。まぁ命を失うことは無いでしょうが、命を失ったも同然になる可能性は十分あると言えます。
で、でも、先生。最初に症状が出た時には、「大丈夫。普通3ヶ月もすると、自然と治癒するものですよ」って言ってたじゃありませんか。もう半年以上も経つのに、どんどん悪化するってどうしてなんでしょう?
なつむぎさん。
あなた、いままで感染したことがあまり無かったんじゃないですか? 恋に対する免疫が、普通の人の半分もない。これでは自然治癒は無理です。もっと早くその事を伝えておいてくれていたら、それなりの対処方法もあったんですよ。
だ、だって、そんなこと何も聞いてくれなかったじゃありませんか。
こまった患者さんだ。ここは恋愛外来ですよ。ここに来る際には、自分の既往症について説明をするようにと案内がありませんでした?
それに、普通なつむぎさん位の年齢になると、たいていは何回か、人によっては何十回か、感染と自然治癒を繰り返していて、もうすっかり免疫が出来ているものなんです。それは私の不注意もあったとは思いますが、あなたの場合はかなりのレアケースだと言ってもいい。学会で発表したいくらいです。
いったいどうすれば、治るんでしょう...
あなたみたいな症状をね、早期高齢者自己喪失型免疫不全症候群と言いましてね。自分は何に恋しているのか分からないまま、恋をしているのと同じ症状に冒されるというものなんです。この病気で確かに言えることは、どうなったら治ったと言えるか、それが分からないことなんです。
若年性の恋でしたら、徐々に症状が薄れて来て、その内に罹患したことすら忘れてしまう。それをもって治癒した、解決したと普通は言うわけですが、なつむぎさんくらいの年齢の場合、忘れることなく解決しようとしてしまう。いわば恋に対して、ブレーキを踏みながら、アクセルも踏んでる様なものです。忘れるという解決策を最初から放棄している。本質的な治癒はかなり難しい。
*****
みなさん、こんにちは。わたしは、なつむぎの妖精です。
一度、みなさんにご挨拶しましたけど、もう忘れちゃいました? ●ここ
今回はしくじっちゃったみたい、わたし。
今までは、なつむぎが変な病気にかからないようにって、そればかりに一生懸命で、近づく女性や時には男性を注意深く遠ざけて来たんですよ。えぇ、それは上手くやってました。
でもまさか、それが理由で免疫が付かなかっただなんて...
可愛そうに、なつむぎはもう今回の恋から抜け出せないかもしれない。
わたしには、もう守ってあげきれないかもしれない。
たぶん、いいえきっと、今回なつむぎが恋してしまったのは、人間じゃないんです。もちろん、わたしと同じような妖精でもない。ある意味、一番タチの悪い魔物だって言ってもいいと思うわ。
なつむぎが恋してるのは、なんて言うのかしら「あるべき自分」みたいなものかしら。わたしは妖精だから、良くわからない。妖精仲間に聞いても、そんなものに恋するのなんて人間だけだし、しかも普通は青年の一時期だけだって言ってたわ。それも、普通ほとんど悪化しない内に治っちゃうんですって。そんなものに恋をするより、生身の人間に恋をしていた方が、ずっとドキドキするし、日々の雑事に追われている内に、症状があったことすら遠い目をしないと思い出せないくらいになっちゃうんだって。
でも、ごく稀に人生の後半に、真面目な目で思い出す人間がいるらしい。そうなったら、妖精の力だけではどうにもならないんですって...
いったい、なつむぎはこれからどうなるのかしら。わたしに守っていってあげることができるのかしら。
*****
はいっ!元気です。
皆さん、あけましておめでとうございます。
もう、酸いも甘いも噛み分けていたつもりだった「なつむぎ」です。
ボクに自覚症状はあります。もちろんね。それは、このブログを始めた時からね。
でもそれが、「自分が生きてこなかったもう一人のボク」、「自分が本当に生きたいと思っていたもう一人のボク」に対する恋だったとはなぁ。
「放浪の詩人」と言うのは、実現してないけれどそうありたい、そういう自分の事でした。
去年までは、まぁ狭い限定された世界でだけれど、社会的には定住したまま、魂は漂流していた。
今年からは、身体は放浪していても心は確かなところにしっかりと根を張って生きたいと思ってます。
みなさん、今年もよろしくお願いします。
なつむぎ
ブログネタ:恋の「寿命」ってどれくらい? 参加中
そうだな。少なく見積もって50年。
←click me!