
みなさま。はじめまして。
私は、なつむぎの妖精です。

なつむぎが生まれた時から、ずっと寄り添って、彼の幸福と安全を見守ってきました。
あ、普通のみなさんには、自分の妖精が居ないのかもしれませんね。
だって、人間はもうすぐ70億人。でも、妖精はその100万分の1しか、いませんから。
彼が子供の頃、川でおぼれて河童に尻子玉を抜かれそうになったのを助けたのも、私です。
彼が高校生の頃、あぶない年上の女に餌食にされそうになったのを助けたもの、私です。
彼が働き始めたころ、新大久保のコロンビア人の集まるバーで、
あやしい女からの誘いを断り、マフィアの恐喝の危険から救ったのも、私です。
こうやって、ずっと彼のことを見守ってきました。
はい。だって私は、彼の妖精ですもの。
いま、彼は戦っているの。
何と戦ってるの、ですか?
それは、私も分からない。
でも、きっと人生とか、価値観とか、生きがいとか、ビールとか、
そんな人間にとって大切なもののためだと思うわ。
だからこれからも、私は彼のためにずっと役に立って、危険なものから守ってあげようと思う。
はい。だって私は、彼の妖精ですもの。
えぇ。彼には、奥様と家族がいることは知っているの。
彼のことは、私が一番知っているから。
私は彼のことを子供の頃から知ってるなんて、出しゃばったりはしないわ。
彼の家庭を、壊したいなんて思っていないの。
ただ、ただ、彼が幸せになってくれればいいって、ほんとに、そう思ってるだけなの。
分かってくれるかしら... だって私は、彼の妖精...
*****
分かっているさ。
子供の頃から、一緒だもんね。
一緒でいてくれたのが、妖精のキミでよかった。
妖怪だったら...

こんな姿だものね。
キミは、ずっと可愛い。
もしキミの大きさが、ボクの手のひらの上に乗るくらいじゃなくて、
人間大だったらな...
