
ボクは、血を見るのがキライ。えぇ、かなり。
最近、市から健康診断の案内書が送られて来たんだけれど、
採血の事を考えると、気持ちがなえるな。
採血の時は、絶対に「あっち」の方を向いている。
針が刺さる感触とか、血を抜かれる感触とかを意識したくなくて、
必至に数を数えていたりするんだな。
そういう時にかぎって気を遣ったナースが、
「なつむぎさん。大丈夫ですよ~ あと半分ですよ~」
なんて、声をかけてくれちゃったりして。
せっかく8まで数えたのに、
9をイメージする前に、半分血の入った注射器をイメージしちゃったりするんだな。
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さて、「寝てしまった映画」ということだけど、
今日、ボクが「告白」しちゃおうって思うエピソードは、
「え、なつむぎ。だらしないじゃん」
って思われること必至です。
それは、眠ったなんて生やさしいものじゃない。
ボクは、映画を見ながら「失神」した。
しかも3回も。
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1 クエンカ事件

1984年に、渋谷で「スペイン映画祭」が開かれたことがあって、
スペイン好きのボクは、いくつか映画を見に行ったのね。
その1つが、「クエンカ事件」
フランコの時代に、実際に起こった事件を題材にした映画で、
女性監督が、すごくリアルな描写をしていた。
無実の罪で投獄された男に対する、その拷問シーンの詳細なこと。
一番印象に残っているのは、
手の指の、爪と肉との間に針を刺して行く場面でね...
男の悲鳴と共に、
爪の下に徐々に奥深く刺さっていく針が大写しになって、
血がツーッとしたたる。
失神です。
2 アジアの奇習(仮題)
ヤコペッティの「世界残酷物語」のみたいなノリで、
アジア各国の奇妙な風習を、
欧米人の上から目線で、興味本位に紹介する映画だったんだけど、
本当の事を言うとタイトルは忘れた。
スペインの映画館で、スペイン語のタイトルを見て、ふらふらと入ったんだと思うけどね。
映画の中では、
「日本の男達は精力絶倫になるために、ヘビやトカゲやカメを好んで食べるのです」
なんてナレーションと共に、
笑いながら、ヘビのキモを食ったり、血を飲んだりの日本人が紹介されていた。
オォ。ニッポンジン、ヤバンですぅ。キモチワルイですぅ。
って感じ。
でも、倒れたのは、もちろんここじゃないよ。
国はタイに移って、何かの工場で女工さん達が働いている。
終業のベルと共に彼女らは更衣室に行って、作業着から私服に着替えるんだけど、
その様子をずっとカメラが撮っているのね。
更衣室で、平気でブラを脱ぐ彼女ら。 おっぱい、どっか~ん!
そして、パンツを脱ぐと... あれれ?
次のシーンでは、女工さんの一人が手術に行くのだという。
「彼は、いや彼女は、この手術のたために、きつい労働に耐えてきました」
なんてナレーションとともに、彼、いや彼女は手術室へ。
そして、メスを握った外科医の手で、無残にも切り取られるお○ん○ん。
血だらけのそのお○ん○んが、無造作にステンレスのトレイに放り出される。
はい、ここで失神です。
とまぁ、以上2回の失神体験は、
密かに冷や汗を書いて、密かに視界が狭くなって、密かに意識をなくして、
そして、おそらく人に知られることなく、こっちの世界に戻ってきた。
映画館を出るときには、
「あの日本人も、ヘビを食うのかな?」
なんて思われていそうで、ちょっと居心地が悪かったけど、
今思えば、ヘビの血でも飲んでいたら失神なんてしなかったかも。
いや、単なるイメージですけどね。
3 青年のための結婚講座:妊娠出産編(仮題)
この映画にはタイトルは無かったと思う。今、勝手にボクがつけたタイトルだよ。
前にも書いたことがあるけれど、
カトリックの教会で結婚式を挙げることになった時、
夫婦とも信者ではないボクらは、
半年間、週に1回「聖書講座」に通うって条件をつけられたんだよね。
その内の4回には「結婚講座」って名前が付いていて、
これから結婚するカップルのために、結婚にまつわるいろんな知識を教えてくれるわけです。
あんなことや、こんなことや。
そこで、妊娠・出産についてのフィルムを見たんだよね。
お母さんが頑張って出産するシーンを、そのまま前面からはっきりと。
はい、ここでまたまた、失神~
前の2回と違ったのは、隣にフィアンセ(で、今の女房)が座っていたってこと。
彼女は、びっくりしたさ。
隣のボクが、突然、足を一直線に硬直させて、青い顔して動かなくなってるんだもの。
「なつりん! なつりん! どうしたのよぉ! 大丈夫~?」
みたいな?
まぁ、実際は「なつりん」なんて呼ばれてませんでしたけど。
激しく、カッコ悪い、ボクです。
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でも、最後のエピソードには、ちょっとしたおまけもついてね。
それまでは、「出産の時は、立ち会い出産がいいな~」なんて言ってた女房が、
それ以来は、
「大丈夫。私一人で、ちゃんと赤ちゃん、産んでくるから!」
と言う様になった。
そりゃ、そうだ。分娩室で、泡吹いて倒れる父親がいたら、医者も迷惑だろうしね。
「えらい。それでこそ女だ! 頑張って産んでこい!」
まぁ、こんな経緯があった数年後と、そのまた数年後、
無事に、出産に立ち会うことなく、ボクは息子と娘をゲットできたってワケです。
めでたし、めでたし。
