「おいしい水の飲み方」 ちょっと前のエピソード | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

ども!

ギリシャのアテネでは、
慣れているはずのオリーブオイルでおなかを壊し、
世界遺産を眺めながらの「街グソ」をしてしまった「なつむぎ」です。 ●ここ

あらためて、ごめんちゃい。

*****

ヨーロッパの真ん中や、北や、東の人に言わせると、
「ピレネーを越えたらそこはアフリカ」
らしいですけどね。

スペインに居たボクにとってのアフリカは、
当然のことながらジブラルタル海峡の向こう側です。

だからボクにとって初めてのアフリカは、
スペインの街「ブルゴス」ではなくて、 ●ここ
モロッコの街「タンジェ(タンジール)」でした。

タンジェについては以前、
ちょっと高めのホテルで脚全体を南京虫にかじられて、
ひどい目にあったってエピソードをお話ししましたっけ。 ●ここ

今日は、その南京虫の街からカサブランカまでのバスの旅のお話しを。

カサブランカといえば、
あの、As Time Goes By のカサブランカで、
ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンのカサブランカで、
「君の瞳に乾杯」のカサブランカです。

どんなに素晴らしい街なのでしょうか。もうワクワクでした。

*****

タンジェの港近くのバスターミナルを早朝出発したバスは、
屋根の上に乗客の荷物を山盛りに乗っけて、
暑い、狭い、揺れる、の三重苦の中、
のろのろと走ります。

「隠れ乗り鉄」のボクだから本当は列車で行きたかったんですけどね。
列車は接続が悪いし高いので、バスで行くことになったんだと思う。

街の中心部を出てしばらくすると家々もまばらになり、
家畜のロバの泣き声や、屋根の上のコウノトリなんかが目立つようになり、
その内だれも居なくなってしまう。

ただひたすら、荒れた大地に伸びた道を進む、きしむバス。
タンジェからカサブランカまでのおよそ300キロを、ほぼ丸一日かけて走るのだ。

当然、途中で休憩が入るのだけど、
それは、トイレ休憩でもあり、食事休憩でもあり、
そして周りの多くの乗客にとっては、礼拝のための休憩でもあるのね。

「ここで、休憩20分」

ってな感じでぶっきらぼうに運転手が言うと、
小さく丸めた薄いじゅうたんを小脇に抱えて降りていく乗客が何人か居る。
彼らはそのじゅうたんをバスの陰の地面に敷き、
即席の礼拝所をこしらえてメッカに向かってお祈りする。

ボクはというと、その間に薄いオレンジジュースを飲み、アラブ式の便所で用をたす。

アラブ式って言ったって驚くには値しないんだよ。基本は和式と一緒なんだから。
どこが違うかって言うと「金隠し」がない。
だから前後が定かじゃないんだけれど、
物(ブツ)が流れ落ちる穴が、前方ではなくおそらく後方にある。

どっちを向いてしゃがめばいいのかな?
どっちを向いて座っても人に見られてるわけじゃないから、ま、いいか。

そんな風にそのままにしておいたから、未だに正解はわからない。

*****

ジュースとトイレが終わって、
バスの乗客目当てに集まってくる物売りをボンヤリ眺めていると、

「ね、なつむぎくん。ほら、ハンバーガー売ってるよ」

あ、これは同行のTさんです。
後に、サハラ砂漠のオアシスの街で、夜中に一緒に水を飲むことになる、いわば「水道水仲間」です。

「あ、本当だ。確かにハンバーガーみたいな形ですね」

肉は、トルコのドネルケバブのように鉄串に巻きつけてあり、外側から焼いてある。
やけた部分の肉をそぎ落とし、丸いパンに野菜と一緒に挟んで客に渡している。

$///   H A I H A I S M   ///-ドネルケバブ
↑Döner Kebabı(ドネルケバブ)

「カサブランカに着くのは夕方だよ。食べる?」

そりゃ最初は「食べて大丈夫なのかな?」って考えたけど、
確かに昼食はどこかで取らなくちゃならない。

「焼いてあるんだもの、大丈夫だよ」

とのT氏の言葉に、それもそうだと納得したボク。
お肉の外側は、遠目に見ても黒く良く火が通っていそうだった。

*****

ハンバーガ屋のオヤジは、
東洋人2人が客になりそうなのをじっと観察していて、
ボクらが歩き出すなり、パンやら野菜やらを用意し始めた。

そしてボクらが「いい」くらいに、つまりもう客じゃないフリが出来ないくらいに近づくと、

السماح للحوم هو الضرر الخطير

ってな感じの言葉で何かを言いながら、
長い包丁で肉をそぎ落とそうとする。


す ・ る ・ と 、

しっかりと火が通っていたはずの黒い肉の表面がバラバラとほどけて行き、
中から、ほんのり赤いミディアムレアの肉が顔を出した。

黒く見えたのは、
ハエがとまっていたから。

唖然とするボクら。
平然と作業をすすめるオヤジ。

*****

その10分ほど後、のろのろと動き出したバスの座席で、
ボクは、食べるべきか食べざるべきかと、モロッコ風ハンバーガーを手にして考えていた。

食べたね。

腹は減ってたし。
モロッコ人は食べてるんだし。

それでも、おなかは壊れなかった。

アテネでは、オリーブオイルでおなかを壊したボクだけど、

旅はひ弱な青年(の腹)をたくましくする。

*****

さて、カサブランカの街です。

バスターミナルのスタッフにバスの屋根からリュックを降ろしてもらい、
それを背中に歩き出します。

♪ You must remember this
   A kiss is just a kiss
    A sigh is just a sigh
     The fundamental things apply
      As time goes by


なんて、口ずさみながらね。

すると、どこからともなく何人もの子供の歓声が聞こえる。

シノワーッ! シノワーッ! シノワーッ!

子供らの声は、だんだんと大きく、近づいて来ている。
シノワ(Chinois)というのはフランス語で「中国人」って意味。

「中国人じゃなくて、日本人なんだけどな」

そう思っていると、何個か石が飛んできて、その内の一つがボクの右ふくらはぎに当たった。

「●●●●●! ●●●●●●●●! ●●●●っ●●、●●●●●●●●●●●!」

一生懸命、大きな声で怒鳴っては見たものの、
生まれて初めて子供に囃され、石を投げつけられたボクは、凹んでかなりぺっちゃんこ。

腹はたくましくなっても、心はまだたくましくなってないのか?



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注:文中のアラビア語は、「この肉を喰うのは危ないですぜ」
  グーグルの機械翻訳だから、きっと変です。