
ボクは旅行が好き。
見知らぬ街が好き。
知らない言葉に囲まれているのが好き。
初めての料理に出会うのが好き。
旅行好きだから、週に1回は海外旅行にいってるもん。
夢で。
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さてさて、ボクにとって一番プライスレスな思い出は...
ブルゴスというスペインの北の町でのこと。
ボクは、前夜にパリを出発した夜行列車で初めてのスペインに入っていて、
マドリッドまで行く予定だったのだけど、ちょっと途中下車してみようかなって思った。
ブルゴスには、世界遺産にもなってるゴシック様式の教会「サンタ・マリア大聖堂」がある。
ブルゴスの大聖堂は、途中下車をして見るに値する、とても壮麗な建物だったな。
そうして夕方、マドリッド行きの列車に乗ろうとブルゴスの駅に戻ってみると、
駅には、いくつかの列車が停車している。
その内の1つがマドリッド行きなのは確かなんだけど、どれがそれだか分からない。
6ヶ国語会話帳を見ながら、
「この列車は、マドリッドに行きますか?」 と、近くの人に尋ねると、
なんだかんだと、一生懸命説明してくれる。
本当に親切そうにね。
スペイン語を理解しないボクは、たぶん不安そうな様子だったんだと思う。
最初に尋ねたおばさんが、近くのおじさんに声をかけて、
その様子を見て、まわりのスペイン人たちがわらわらと集まってきて...
ボクはまるで、まさに村人に捕獲されかけてるサル型宇宙人、
じゃなくて、
インタビューを受けるアイドルのようでした。
いままで旅してきた国では、
旅人のそういう質問には、簡単に、YES NO (スペイン語では、Sí No) で
答えてくれたのだけどね。
親切すぎるスペイン人。
てか、相手の反応を見ろ!
で、結局、どの列車がマドリッドに行くのか分からなかったボクは、
その日ブルゴスの街に泊まることになったのです。
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ブルゴスに泊まることになったちょうどその日は、セマーナ・サンタの1日でした。
セマーナ・サンタ(semana santa:聖週間)というのは、
復活祭の前の1週間の事で、スペイン各地でお祭りが行われるのです。
夜、宿のセニョーラに促されるまま大通りまで出てみると、
ろうそくの明かりを持ち、不思議な頭巾をかぶった、大行列に出会った。
そして、もう1つ。
「スペインを旅するには、スペイン語を少しだけでも話せないとだめだ」
と思ったボクは、
マドリッドについたその日に本屋でスペイン語の入門書を買い、
その本を読みながら旅を続けた。
旅をしながら、だんだんとこの国を離れるのが寂しくなり、
そうしてボクは、スペインに1年滞在することになったというわけです。
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ブルゴスから始まったスペインでの経験は、
その後のボクの人生にとって(仕事では全然役にたたなかったけど)、
とても「プライスレス」な経験でした。
どういう風にプライスレスだったかは、またいずれ。
