第一種接近遭遇 | /// H A I H A I S M ///

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あわてない、あわてない。赤ちゃんが「はいはい」するように、のんびりゆっくり進みましょう。

昨日の記事に引き続き、ギリシャの話題ね。

ボクがギリシャに行ったことがあるのはたった1回だけ。

マドリッドに暮らしていた時に家族がギリシャ旅行をすることになって、
「同じヨーロッパだから、すぐでしょ」って。

同じヨーロッパっていったって、
ギリシャは東の端、スペインは西の端だもの。
マドリッドからアテネまで、片道4泊5日の旅でした。

マドリッド → パリ  夜行で1泊
パリ → ベネツィア  夜行で1泊
ベネツィア → アテネ 夜行で2泊

もちろん、飛行機で行けばすぐなんだよ。
「時間はあるけど金が無い」
そんな生活をしてたから、列車をホテル代わりの旅にしたんです。

*****

アテネに着いて、安ホテルを探して入ってみると、
マドリッドで知り合った日本人青年N君が居た。

彼はボクより4歳くらい若く、ずいぶんとお金持ちの家の子で、普段はパリで暮らしている。
パリで何をしているかというと、
特に何をするでもなく、ぼんやりと過ごしているのだそうだ。

親は、特に仕事をしなくても十分な生活費を得ることができるのだそうで、
その仕事を引き継ぐ自分も、おそらくそうなるんだろうなって、
屈託無く話す。

考え様によってはヤなヤツだけどね。
彼は天真爛漫の○○で、なんかそんなに憎めない。

「偶然だなぁ。ひさしぶりだから食事一緒にしようよ」

ってことになって、一緒に食事を済ませて部屋に帰ってしばらくすると、
なにやらお腹が「ぎゅるぎゅる」する。
なんでだろ。30過ぎた頃から「ぎゅるぎゅる」する。
じゃなくて、8時を過ぎた頃から「ぎゅるぎゅる」する。

ギリシャ料理はオリーブオイルが強くて、合わない日本人は多いって聞いたけど、
スペインでオリーブオイルに慣れてるはずなんだがなぁ。
参ったなぁ...

ベッドの上で丸まっていた。

*****

しばらくすると、N君が扉をノックする音がする。

「なつむぎさん、なつむぎさん。アテネの町のね、シンタグマ広場の北の方に、
 夜になると女の子が集まる場所があるみたいですよ。
 一緒に、行ってみましょうよぉ」


彼はそういう情報をどこから仕入れるんだろうね。どんな街でも詳しい。
ほら、彼は天真爛漫の○○だから。ってここの○○には「エロ」を入れてね。

「あのさ、ボクはさ、お腹が怪しいから、イヤだよ。一人で行きなよ」

「でもね。なつむぎさん。けっこう可愛い子も居るって話ですよ」

おまえは、観光客相手のぽん引きかよ!」って突っ込みは腹に飲み込み、
結局お出かけをすることになりました。

ま、結局はね。

でも決して「可愛い子」ってのが殺し文句になったのではありませんよ。
彼の熱心さに負けたのです。

*****

アテネの初めての夜に散歩した、嬌声あふれる怪しく楽しいはずの街は、
ボクが想像していたような、それらしい飲み屋が集まる一角ではなくて、
普通のアパートが並んでいるだけの静かな街でした。

ちょっと意外。

普通と違うのは、あちらこちらのアパートの入り口のところに、
ちょっと派手目のお姉さんが座ってる。
お姉さんとうっかり目が合っちゃっうと、目配せで合図を送られちゃう。

そんな感じの、少々うらぶれた感じの街を歩いている内に、
なんかちょっと参ったな。
いや、かなり参ったことになった。

腹がまたシブシブと、グルグルと、活動を始めて来た。

「Nくんさぁ。ちょっとトイレに行きたいんだけど、どうすればいいと思う?」

「あ、困りましたね、なつむぎさん。お店があるようなところじゃないし...
 あそこに腰掛けてる彼女に、お願いしてみたらどうです?」


って、何ニヤニヤしてるんだよ。

いや、でもその方法しか無いのかも知れない。
ってことは、タイプの女性にトイレを借りた方がいいのかな。
そのなんて言うんだろ...
だって、

コンビニでトイレを借りたら、
ウーロン茶でもキャンディでも何か一品かならず買う。
そんな律儀なボクなんだよ。


でも、き、決められない。もはや気もそぞろで判断力はゼロ!

絶対絶命だ!

*****

そのとき、石畳の小路のちょっと暗闇になった所に、小さなワゴン車が止めてあるのが目に入った。
そのワゴンと塀の間は、なかなか人目につきそうもない。
ワゴン車の陰で中腰になって見た。

行ける!

「野グソ」というのは聞いたことはあるけど、これじゃすっかり「街グソ」だよ。

しかも、古代の歴史の街アテネでね。

最初の内はおなかを抱えるように下を向き、石畳をひたすら眺めていたんだけど、
お腹の痛みも和らいで来ると、余裕も出て来てさ。

視線をあげて小路の向こうを眺めてみると、
黒く沈んだ小路の向こうには、小高い丘があって、
その上には白く輝く端正なプロポーションの建築物があった。

小高い丘は、アクロポリス
ライトアップされたその白い建築物は、「パルテノン神殿」

$///   H A I H A I S M   ///-パルテノン神殿

尻は丸出しだったけど、おごそかな気分に満たされました。

建築の歴史を勉強する学生ならば必ず見ておくべき歴史的建築物との、
感動的なファーストコンタクトのお話しでした。

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注:第一種接近遭遇とは(空飛ぶ円盤を)至近距離から目撃すること。