弱さを選ぶ 強さ | ももちゃんと、二人三脚。

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エンジェルガイダンスカウンセラー・ヒプノセラピスト
葉月のブログです。
2012年5月22日に、2歳11か月で光の世界に帰った娘、
百花と一緒に “二人三脚” で
天使ママさんのお手伝いをしています。

千早 茜さんの 『あやかし草子』 という本を読みました。

これは、天使ママさんにお勧めの本 とかでは全然なく、鬼やら妖怪と人間との かかわり合いを描いた小説なのですが・・・


この本の中に、 『むじな和尚』 と 『天つ姫』 という話が収録されています。

『むじな和尚』 は、むじなという妖力を持った動物が、
「人間の目から落ちる水」(涙のことです)が何なのか知りたくて、人間と関わるうち、
一人の人間を深く愛してしまい、そのために命を落とすことになる・・・

という、ちょっと切ないお話です。


『天つ姫』は、変わり者の幼い姫と遊ぶうちに、我知らず、姫を深く愛するようになった天狗のお話。
不幸な結婚をした姫を助けるために、この天狗も、やはり命を落としてしまいます・・・



むじなも天狗も 力があって、強い存在でした。

人間など 愛さなければ、決して命を落とすことはなかったはず。


愛するということは、強さを手放し、弱さを選ぶことなのかもしれません。


ですが、人間を愛し、人間からも深く愛されて死んでいった むじなと 天狗は、幸せだっただろうなあ・・・

と、何となく読後は ほんわかとした気持ちになる お話でした。



私たち人間も、本当はこの世ではなく 光の世界の住人です。

そして、本来はすごく強くて力のある存在です。


だけど、愛を学ぶために 本来の力を手放して、何も持たずに 弱々しく 生まれてくるのです。


それって、ものすごい勇気だな、と思います。


この世で生きていると、自分のあまりの力の無さに呆然としたり、
涙を流したりすることもあるけれど。

それでも、敢えて そんな弱さを自分で選んで生まれてくる人間って、
実はすごく強いよなあ・・・と。


スピリチュアル系の本ではないけれど、読んでいて、ふと そんなことを思いました。


そして、この本の最後に 『機尋(はたひろ)』という話が収録されています。

このお話は、土蔵に閉じ込められたまま、火事の際、誰にも助け出してもらえずに亡くなった少女(綾)が妖怪となり、次々に子どもたちをさらっていくが、
最後にさらった少女(紅)に愛を教えられ、成仏していく・・・という物語です。


この話の登場人物の言葉が、とてもいいなあ・・・と思ったので、ご紹介しますね。

綾を愛していたのに、結局は助けることができず、「妖怪にしてしまった。」と、悔やみ続ける男 留蔵に、
紅の育ての親である男 柳が語った言葉です。



どんなに近くにいたって、どんなに強くて知恵も富もあったって、
人は人を守ることも 何かを丸ごと与えてやることも できねえんだ。

人間は人形じゃねえからな。

ただ見届けてやることしか できねえ。

責は自分で負わなきゃならねえから、代わってはやれねえ。

それにな、そうじゃなきゃ、生きたことにもならない。




どうして、助けられなかったんだろう・・・

もっと、自分に何かできたんじゃないのか?

そんなふうに、思うこともあるかもしれません。


だけど人間にできることは、ただ、誰かに(あるいは 何かに)愛を注ぐことだけ。

その愛が、うまく相手に伝わらなかったり、自分の思った通りの結果にならなかったりすることもあるけれど。

それでも、やっぱり 人間を救うのは愛だけなのだな・・・と思います。



そして、人間だけではなく・・・
不思議の世界の住人達にも、やっぱり 愛が必要なのですよね





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