すべてを変える転倒 | nurseredcatのブログ

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元気な老人 ーー> 転倒 ーー> 大腿骨骨折 --> 手術 ーー> 一人暮らしができなくなる、慢性の痛みを持つ、歩けなくなる、肺炎や血栓などの合併症を起こす、などなど。リハビリをしても元の生活、状態にもどれることは稀です。大体は転倒が元で体が弱くなり、最後に亡くなるパターンが多いです。以前整形外科で働いていた時は転倒して運ばれてきた老人がたくさんいました。大体の人は手術をしてリハビリに送りましたが、ホスピスの患者さんや、癌などでもう長くない患者さんや、寝たきりの患者さんなどは手術をせず、痛みを薬で和らげる方法をとりました。つい最近では80代のおばあちゃんがお風呂場で転倒。3日間ほどその場で動けず、娘さんが電話しても全然出てこないので心配して見に行って見つかったそうです。ずっとお風呂場で寝ている状態だったので横紋筋融解症になっていて、しばらくうちらの病棟にいましたが、トラウマになっていて一人になるのを怖がっていました。

 

看護学校に通っていた時、授業の一つで老人の家を訪ねて転倒リスクを発見してそれを注意するというものがありました。電気コードが歩くところにないか、カーペットは滑り止めがついているか、ナイトライトはついているか、などを色々見つけて教えてあげましたが本人は全く興味を示さず、ただ人に会えたことがうれしくてずっと昔話に花を咲かせていました。誰かがやってくれるならまだしも、自分からは転倒防止をしないだろうなって思いました。

 

病院の患者さんが転倒すると病院側はその治療やそれから起こる合併症の治療を払わなくてはいけません。また、医療施設認定合同機構などの団体に転倒の報告をしなくてはいけなくて、その結果が州や国からもらえる補助金に影響します。この話は今度書きますが、そのせいで病院側は患者さんが転倒しないようにするのに必死です。

 

まず、シフト中に転倒リスクをスコアします。そのスコアが高いほど転倒するリスクが高くなります。例えば老年齢、利尿剤をとっているなどはスコアを高くします。ある程度のスコアをとるとベッドや椅子にアラームを付けられます。これは一人でに立ったりベッドから出ようとしたりすると鳴り響くものです。うちの病院は”メリーさんの羊”のアラームでこの曲を聴くのが嫌いになりました(苦笑)。 また患者さんの家族に頼んで声を録音して”お母さん、立っちゃだめだよ。”というメッセージを流すアラームもあります。他にもナースステーションの近くに部屋を移動したり、黄色いブランケットをかけて黄色い靴下をはかせて転倒リスクが高いことをすぐわかるようにしたり。今では拘束道具は使えないのでその代用品を使ったりもします。転倒防止用ベルトは患者さん自身が外すことができるので拘束道具とは認識されなく、患者さんが立ち上がろうとしてベルトを外しているとアラームがなり、しかもベルトをはずすのに何段かのステップがあるので時間がかかるのでその間にナースが来て転倒を防ぐというものです。他には2時間に一度トイレに連れて行く、手に届くところに必要なものをすべて置く、薬の調整をする、例えば利尿作用がある薬は夜にはあげないなどという方法もとります。また30分毎に患者さんをチェックするというのもありますが、これは忙しいのでなかなか難しいです。

 

アラームを頻繁にならしてしまう患者さんにはバーチュアルモニターが付けられます。これは監視カメラで一人の看護助手が10人近くの患者さんをカメラで監視していて、立ち上がろうとしたり、点滴などを引っこ抜いてしまいそうになると”それにさわるな。”とか”立ち上がるな。”とかを大きな声で注意してくれます。誰もいない部屋でいきなり声が聞こえてくるので、びっくりしてその行動をやめてくれるので認知症の老人などには効果があります。それでもダメな場合は1対1か1対2のシッター。これは看護助手などが一人付きっきりで1人か2人の患者さんの世話をするので高いし、人が足りない時にはなかなかできません。

 

転倒はお年寄りの敵です。