金と依存症 | nurseredcatのブログ

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大谷野球選手の通訳が違法賭博をしていた事が騒がれていますね。コンビが見れなくなるのは悲しいですが、ちゃんとフェアに解決されればいいと思います。自分で自分がコントロールできなくなる依存症。脳は依存症行為は自分に褒美を与えていると間違って認識しちゃうみたいです。一人で治すのは困難。周りのサポートや治療がないと抜け出すのが難しいでしょう。

 

依存行為はお金がかかります。この通訳さんも多額の借金をしてまでギャンブルをしていたみたいですね。まあ、お金も名誉もあったから、”利子なしで貸してあげるよー。”と、悪い奴らが巧みな勧誘で近づいてきたんだろうけど。他にも”最初の1回は無料。”とか”一つ買ったらもう一つタダ。”という方法でドラッグにハマらせる方法もありますね。タダほど怖いものない!

 

依存症にはギャンブル以外にドラッグ、たばこ、酒、セックス、食べ物、ゲーム、インターネットなど色々なものがあります。特にコロナがひどかった時期から社会から孤立したり仕事がなくなったりという理由で依存症の人が増えました。うちの子もその気がありますが、オンライン授業が当たり前でコミュニケーション能力が発達してない感じがします。依存症はお金がかかる以外にも、社会面、対人関係、健康面にも悪く影響します。自分だけじゃなく、周りも崩壊してしまうから依存症は怖いです。

 

私の病棟に運ばれてくる依存症で一番多いのはやはりアルコール。禁断症状が出てから来る人もいますが、他の理由で入院してきて病院内で禁断症状がでてしまう患者さんも多いです。つい最近では冠動脈バイパスで手術をした人がアルコールの禁断症状がでて術後の回復を妨げ、2か月近く入院しました。結局もとの健康状態にはもどれず、のどには気管切開、胃ろうを入れてリハビリがある老人ホームに移されました。奥さんは最初は静かでしたが、最後のころは患者さんの状態を手術のせいにして怒りをナースたちにぶつけてきて、だれもその患者さんのナースになりたがりませんでした。

 

アルコール依存症の人がくると、以前は入院中にワインをあげたり、お酒が入った点滴をあげてたことがありましたが、今では禁断症状が出る前に薬を与えて症状を和らげる、または出さないように試みます。体の震え、はきけなどの症状を数字で計り、その合計によって薬を投与します。よく使われるのはBenzodiazepineの一種であるLorazepam. 不安障害によく使われる薬です。だいたい最後にアルコールを飲んでから72時間前後が禁断症状がでることが多いので、その期間はこまめに症状を見てこの薬をあげることが大切です。禁断症状がでてあばれだしたり、癲癇を起こしたりするとdexmedetomidineという薬が点滴でいれられます。これは呼吸困難にすることがないのですが、脈を遅くする副作用があるため一般病棟では使えないので集中治療室に移されます。この薬が効かなかったり、癲癇が頻繁に起こって危ない場合はPropofol。これはマイケルジャクソンが亡くなったときに使われた薬の一つで呼吸困難を起こすので病院内では呼吸器を入れた時のみに使われます。(外来は別。)これで2-3日禁断症状がなくなるまで落ち着かせます。またアルコール依存症の人はお金を全部アルコールに使ってしまうらしく栄養失調の人が多いのでビタミンなどが入った点滴を与えます。特にマグネシウムが低いとトルサードという不整脈を起こして死に至ることもあります。

 

以前アルコール依存症で入院してきた50代の女性。家を売って夫婦で安いホテル暮らし。旦那さんもアル中らしく退院するさい”もう酒は飲まない。旦那にも飲ませない。”って言って帰っていったけど入院中に会いにも来なかった旦那さんをやめさせるのは大変だろうなって思いました。

 

ちなみにスマートフォン依存者も多い近頃。病院の遺失物取扱所は退院時に忘れて行ったチャージャーが給食の焼きそばのように保管されています。