高校生に忍び寄る麻薬、フェンタニル | nurseredcatのブログ

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うちの息子が高校生の時。息子の部屋で探し物をしてたら透明のビニール袋に入った白い粉を発見。”コカインか!”と焦り、息子に聞いたら野球用のロージンだと判明。息子は、”(私の)仕事での出来事を聞いてたらドラッグなんてできないよー。”と反対に怒られました。でも笑いごとじゃないんですよー。こっちでは高校生だけじゃなく、小、中学校でさえドラッグの魔の手は伸びているんです。娘が中学校の時も、友達の家でパーティーがあると何人かの子供たちは一つの部屋にこもりベーピングやドラッグを始めるって言ってました。だから親がいないパーティーには絶対に行かせませんでした。

 

歩いていけるところの病院で働いていると近くていい反面、知り合いに会うことも多いのがネックです。ドラッグをやりすぎて呼吸困難になってきたうちの子供たちの同級生たち。その親御さんにばったり廊下であったことが何度かありました。むこうもこちらも気まずい雰囲気になり、目をそらして通り過ぎることも。特に高3の春学期(アメリカは秋学期に始まる)に麻薬をやりすぎて亡くなったり病院に運ばれてくる生徒が多いのは学業からのプレッシャーからでしょうか? 娘の友達のお兄さんも大学進学目前にドラッグをして飛び降り自殺をして亡くなりました。いい大学に受かっていたのですが。。。日本の高校、大学受験ほどではないですが、それでもいかにAPのクラスをたくさんとるか、(APはAdvanced Placementといい、大学レベルのクラスで高校のうちに取っておくと大学での単位が認められる)また勉強だけでなく、スポーツ、音楽などでもいい成績がだせるか、友達と同じことをしないとやっていけない。。。など色々な私たちが想像できないほどのプレッシャーがあるので、友達からの影響は大です。うちの娘も中学校で仲がよかったグループが高校になるとセックス、ドラッグをするようになり、いやになった娘は違う友達を作っていました。仲良かった子たちと離れるのは悲しかったし、最初のうちは一人でランチを食べる日々も多かったみたいで、寂しい思いをしたみたいですが、親としては自分で善悪の判断ができてそれに基づいてつらい行動ができた娘に感動しました。

 

最近、アメリカで問題になっているフェンタニル。フェンタニルは病院で手術やちょっとした処置に使うもので呼吸困難になりやすい麻薬です。フェンタニルは人間の手で作られている物でヘロインと似ていますが、ヘロインよりも体に吸収されやすい物になっています。それが違う形になって世の中に出回っているです。見た目はパーコセットという手術後にもらえる痛み止めだったり、多動性障害用の薬に見えますが、実は中にフェンタニルが入っているまがい物。しかもメキシコで適当に作られているものが多いのでフェンタニルがどのくらい入っているかわからないし、不純物もたくさん入っていて実際に何をとっているかわかりません。子供たちもフェンタニルだとわかって取っている子もいますが、知らないで取ってしまう子も。何年か前にパーティーでフェンタニルをとって呼吸困難、意識不明になってしまった中学生の女の子。一緒にパーティーをしていた子供たちは怖くなってその子の家のドアの前にその子を放置。夜中になっても帰ってこない子供を心配した親が娘を見つけたときには低体温症、ほとんど無呼吸状態。うちの病院に運ばれて来ましたがすぐに近くの子供専用の病院に移されました。亡くなったのか、生きたとしてもどういう状態だったのかはわかりません。

 

フェンタニルが入っているまがい物。アメリカのあちこちでたくさんの子供たちがその過摂取で亡くなっていて、その数はどんどん増えています。2021年には1500人以上の19歳以下の子たちが亡くなりました。その数は2018年に比べて4倍です。そのためあちこちの学校、病院、薬局にはNarcan、ナロキソンというフェンタニル用の拮抗剤が置くようになりました。カバンに入れて置ける小さいものだし、鼻から吸収する簡単な方法で人の命を助けられるものなので持ち歩いている人も増えてきました。私の患者さんは以前麻薬中毒だったそうで、今でもナロキシンを持ち歩いており、同じアパートの知り合いがフェンタニルで呼吸困難になったときそれを使用して助けたと言っていました。えらい!

 

ちなみに最近では、多動性障害用の薬をテスト前に取ると集中力が増してテストでいい成績がとれるらしく、その薬を売ってお金をもうけている高校生がいるとか。違った意味で学校のプレッシャーによる社会問題です。