カスタマーサービスが大切なアメリカの病院。以前は集中治療室、精神科などの病棟以外はいつでもだれでも面会をしていい病院が主流でした。私が働いている病院は集中治療室でもオープンで、いつでもだれでも入ってこれてしまうので大変でした。あまりにもたくさん人がいて患者さんのケアの邪魔をしたり、夜も同じ部屋で寝泊まりしてシャワーに入りたい、ベッド（面会者用）のシーツを取り換えろ、などホテルにいると勘違いしてたり。面会者といえば、ある女性の患者さんが入院してた時に、男性の友達が一緒に寝泊まりするようになったときがありました。そのころは煙草を外に吸いに行くのは一人ではいけないという規律があったのでその女性の患者さんは友達の男性に車いすを押してもらって煙草を吸いに行ってました。２－３日後、その女性の患者さんがナースに、実はその男性は知らない人でたばこを吸いに行ったときに外であった浮浪者の人で追い出してほしいと言い出しました。こっちはびっくり。もちろんすぐにその男性は追い出され、その患者さんは２度とそんなことをしないと誓約させられました。タバコが吸いたいためだったようです。
ケアの邪魔や多数の要求以外にも、勝手に点滴などを触ったり、質問が多かったり、と私は個人的には面会時間に時間制限や人数制限があるのに賛成でした。反対をしていたわけじゃないですが、いない方が楽だったから。でもいてくれて助かったこともたくさんあります。ちょっと目が離せない転倒しやすい患者さんがいたときやボケている患者さんがいるときは家族がいると安心します。あとは英語が喋れない外国人の人が患者さんの時は家族の人が通訳に入ってくれると助かります。また、やはり末期の患者さんや緩和ケアの患者さんには家族の人がそばにいて、亡くなるまで患者さんに話しかけてあげてほしいです。一度緩和ケアの患者さんの家族（娘と息子）が怒鳴りあいを始め、息子さんが娘さんを殴る状態になったときは私も頭にきて家族全員を部屋から追い出したことがありました。警備員を呼んで家族を落ち着かせ、息子さんと娘さん、それぞれが時間を決めて順々に訪問できるように決めることに。死ぬ前に自分の子供たちがけんかしてるのを聞きたいお母さんがいるわけないですよね。
そしてコロナ。面会時間が全くなくなる状態が１年近く続きました。その時はナースにとっては天国。下の世話をしているときでもドアやカーテンがちゃんと閉まってなくてもなーんも気にしなくていいし、患者さんの話を思いっきり廊下でできるし。とはいってもナースたちもそんなことを気にしていられる精神状態じゃあありませんでしたが。そしてたくさんの人が一人寂しく亡くなりました。病院の入り口では面会禁止に反対な家族の人が訪れて病院側の警備員さんたちと大喧嘩することがあちこちの病院でしょっちゅうでした。そして１年後くらいに面会規定第２弾。朝の７時から夜の７時まで特定の一人だけオッケーになりました。でも面会人の交換ができないのでその日来る人が決まったらほかの人は来れない状態に。緩和ケアの人だけ二人までオッケー、コロナの患者さんだけはまだ面会人禁止になりました。毎日色違いの腕輪を渡し、その色がついていない人は入れません。そしたら今日だれが来るかで家族内でのもめ事が増えて、例外を出せと言ってくる家族も多く、こっちも困りました。マスク着用義務はもちろん、部屋の中で飲み食いはできないし、病院内の待合室はブロックされて面会人用の座るところはなく、カフェテリアで食べれるのは病院のスタッフとなり、文句をいう面会者も少なくはありませんでした。
第３弾の今は面会時間は朝７時から夜の９時までで、一回に面会していいのは２人までとなりました。でもその２人は交換してもよくなったので、家族の多い人はしょっちゅう入れ替えをすることに。緩和ケアの家族は４人まででコロナの患者さんはいまだに面会禁止ですが、コロナで緩和ケアの患者さんのみ面会人が入れることに。病院の入り口には以前のようにチェックする人はいなくなりました。これでナースにとっては楽になると思ったら大間違い。以前のように入り口で先にチェックしてくれなくなったので後から後から面会人がくるしまつ。２人までといっても知らないふりして３人目を入れたり。人間自由になるととことんもっともっとが始まりますね。こちとら患者さんのケアが忙しいのに面会人まで面倒みきれません。つい最近では緩和ケアになった患者さんをあてられたとき、面会人がたくさんいて最初の方は４人までだよってしょっちゅう注意をしていたのですが、そのうちに廊下にだらーって他の面会人があふれ出し、みんなで祈りたいといいだすのでこっちももうお手上げ。３０人近くを部屋に入れてカーテンを閉めてみて見ぬふりをしました。
日本はその点面会時間はちゃんと守っているような気がしますがどうなんでしょうか。私が子供の時に入院した時、母が面会時間が終わるので帰っていくのが寂しかったのを覚えています。