自殺未遂 | nurseredcatのブログ

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80代の老夫婦が自殺未遂で運ばれてきました。遺書によると、旦那さんのほうが余命6か月の病気になったので、二人でオンラインで買ったわけのわからない薬をとって一緒に死のうとしたようでした。奥さんのほうは目が覚めましたが、怒り狂ってナースたちを責めるしまつ。旦那さんが瀕死状態なことを信じないので一度だけベッドを隣までもっていってあげて一緒にさせてあげたらやっと落ち着きました。旦那さんはもう生きる可能性がないので私も逝きたいというのですが、私が住んでいる州は死のアシストは認められてないので、Voluntarily Stop Eating and Drinking [VSED]という方法をとることにしました。これは意思がしっかりしている人が死ぬために4日間自分の意志で飲み食いをしないと、ホスピスに入れてもらえるシステムです。家族の了解のもと、奥さんはその方法をとることに決め、退院していきました。旦那さんは病院で亡くなりました。

 

コロナ渦で自殺未遂の患者さんが一挙に増えました。こんな言い方は不謹慎かもしれませんが、見つかるのがもっと早いか、もっと遅かったらって思います。早く見つかったら回復する可能性があるし、遅かったら残念ですが亡くなります。50代の男性が奥さんが走りに行った間に首つりをして運ばれてきたときもそうでした。その患者さんは2-3日で亡くなりましたが、奥さんがずっと自分を責めていてかわいそうでした。麻薬や、市販されてる痛み止めや、処方される心臓病の薬などいろいろな薬を大量に飲んでくる人たちも、命は助かっても肝臓や腎臓不全になって苦しみ、脳や心臓などに影響を及ぼし、大体は長いリハビリが必要になるか、合併症で亡くなります。インド人の女性が旦那さんの浮気がショックでサンポールを大量に飲み運ばれてきたこともありました。若かったので命はとりとめましたが、胃腸や腎臓にダメージを与えてしまい、腸に直接栄養を与える管を入れて、透析をしながらリハビリに移っていきました。1週間暑い夏に冷蔵庫から出しておいた鶏肉の液を自分の静脈に注射して自殺をしようとした女性も来たことがあります。彼女は感染症になったのはもちろん、腕が壊死し、腕を切断する手術をしてリハビリに移されました。その他にも手首や首の動脈を切って自殺しようとした人たちもいっぱいきました。

 

自殺未遂の患者さんがきたら、一対一のケアが行われます。トイレに行くときにも絶対に目を離してはいけません。以前、ERで自殺未遂の患者さんがトイレに行ったときに隠れてビニールの手袋を自分のベッドに持ち込み、毛布の下でそれを飲み込みまた自殺をしようとした患者さんがいました。この時はナースがすぐさま怪しいと気づき、ビニールをすぐさま口から取り出すことができました。部屋には自殺に使えそうな電気のコード類はすべて部屋の外に出すようにし、手の消毒液なども空にします。チャートも30分に一度に様子を書く義務があります。病院によっては携帯やテレビなどを取り上げるところもあります。違う理由で入院した患者さんでも、”死にたい”とか”死ぬ方法がある”などと言ったらすぐさま一対一のケアになります。精神科のドクターが来て、自殺願望の重度を調べて一対一のケアを続けるか、病院から退院したら精神科に入院させるかを診断します。通常、精神科は自分の意志で入院しますが、社会に危険を起こす可能性がある場合や、自殺する可能性が高い場合は本人の意思を無視して精神科に入れる場合もあります。最近は精神科も満員状態なので順番待ちしている患者さんも多いのが事実です。