原発賠償機構法案を批判し、古賀氏への辞職勧告を撤回したらいかがダメ上司に仕える「悲しき中間管理職
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| 海江田万里経済産業相は「気になる中間管理職」だ。〔PHOTO〕gettyimages |
海江田氏は、大局的には、「恵まれている」のかも知れない。昨年行われた民主党の代表選挙では、自らの立候補を取り下げて小沢一郎氏を支持したにも関わらず、菅内閣では閣僚ポストを得た。金融危機からの経済回復が注目される中での経済財政担当相だった。人事的には、明確に反主流派であったにも関わらず、会社でいうと役員に抜擢された。
政治的にはそこそこのキャリアのある方だが、前回総選挙の前の選挙では落選していた。海江田氏は、筆者在住の選挙区の議員さんだが、「政治は生活だ」という、国民のためとも、自らのことともつかぬキャッチフレーズを掲げて前回の選挙まで、長い浪人生活を送っていた。抜群の実績により、というよりは、今にして思うと、人柄その他が菅首相に警戒されなかったために、バランス上、非主流派から閣僚に起用されたように思える。
それでも、大臣だ。特に選挙に強いとはいえない海江田氏にとって、閣僚ポストの獲得は大きかった。
しかし、その後は全く冴えなかった。
経財相としては、就任直後に政府見解と異なる景気認識を語ってみたり、無利子国債の構想を述べてみたりしたが、さして話題にもならなかった。
その後には、菅首相が、自民党から与謝野馨氏を一本釣りして、経財相に据えることとなったため、海江田氏は経産相に横滑りすることになった。与謝野氏は、海江田氏と同じ東京一区を選挙区とする議員であり(前回は比例枠で復活当選)、海江田氏とライバル関係にあるが、その与謝野氏にポストを奪われる形になった。
会社でいえば、新たにヘッドハントされた役員に担当部署を追われたような格好だが、海江田氏は「人生は不条理だ」という言葉を残しつつも、経産相のポストを受けた。
震災が発生し、福島第一原発の事故が勃発してからは、海江田氏は、電力業界を管掌する経産大臣の立場で問題にあたったが、原発問題に関しては菅首相が自ら現場に介入し、海江田氏は、東京電力などと共に菅氏に怒鳴られる立場に回った。会社でいうと、社長が自ら手を出して現場をめちゃめちゃにしたような案配だったが、担当役員に相当する海江田氏の存在感は薄かった。
また、中部電力と調整を行い、同社の浜岡原発の運転を停止することとしたが、この件の記者会見は、「これは世論受けする」と見た菅首相に取られてしまう。ここでは、部下の手柄を横取りしようとする社長のスタンドプレーの煽りを食った。
*** 一サラリーマンとしては同情を禁じ得ない ***
更に、今回は、九州電力の玄海原発の運転再開を経産相として自治体に依頼する過程で、「原発は十分安全である」と述べていたのに、菅首相がストレス・テストの実施を言い出して、海江田大臣はすっかり顔を潰された。民間会社にあっても、客先など対外的な場面で、自分が述べたことを社長に覆されることは部下にとって耐え難いことだが、菅氏はそうしたことを平気で行う。
菅首相のようなひどい上司は、民間会社にも確かに存在しており、ダメな上司の一典型だが、ここまでひどいケースは珍しいかも知れない。一サラリーマンとしては、海江田氏の中間管理職の悲哀的な状況に対して、多少の同情を禁じ得ない。
我慢を重ねてきた海江田氏も、ついに国会答弁で「時期が来たら責任を取る」と辞意を漏らしてしまった。
だが、海江田氏は、ここから先が憎い上司のはずの菅氏に似ていて、辞任の時期をはっきり述べておらず、経産相の職にとどまっている。
では、海江田氏は、一体どうしたらいいのだろうか。
端的にいって、理由を明確にして自己批判と共に菅首相を批判しつつ、さっさと辞任するといい。ぐずぐずと経産相の職にとどまることは、自身の価値を下げる。
海江田氏が取るべき責任は、原子力発電所の稼働と休止を巡る行政手続きが混乱し、関係自治体や電力会社に対して迷惑を掛けたことと、原発行政について国民の不信を高めたことだ。
*** デタラメな原発賠償機構法案 ***
振り返ると、浜岡原発の休止を決める際に、原発の運転・休止に関する原則を提示せずに、中部電力に対して自主的な運転休止を求めたことがおかしかった。この件については、菅首相にも共同の責任があるが、電力行政を担当する者として経産相の責任は免れない。
浜岡原発を止めた場合に、他の原発にどのような波及が及ぶか、そもそも、福島第一原発の事故を受けて他の原発の安全は万全であるか否か、また、安全性の確認手続きをどのように再編すべきなのか、事故発生から随分日が経っているのに考えておかなかったことは、全くの手抜かりだった。
基準を明確にせずに浜岡原発を止めたら、他の原発の稼働が問題になることは明らかだったし、「安全である」として再稼働を要請していた玄海原発にあって、新たなテストが必要であると後から言い出せば、以前の「安全である」という言葉が信用されなくなることも明らかだった。
この問題に関わっていた経産官僚も不出来だというべきかも知れないが、先ず責任を取るべきは経産大臣であり、首相だろう。
そうであるにも関わらず、海江田氏が大臣職にとどまっている理由は何だろうか。推測するに、「原発賠償機構法案」を成立させようとしているのだろうか。
しかし、同法案は、東京電力の株主や同社に融資していた金融機関が負担すべき損失を、電力ユーザーに転嫁する筋の悪い法案であって、こんなものを通す必要はない。答弁などから推察するに、東京電力が潰れたら(法的に整理されたら)、賠償金が十分支払われなくなる、という誤りを官僚ないし関係者から吹き込まれて、海江田氏は、これを信じているのだろうか。
国策として原発を推進してきた日本政府が、賠償の意志を持てば、仮に東京電力が会社更生法による整理の対象となったとしても、被災者の賠償に問題は生じない。
また、一方、私企業であり賠償額をできるだけ小さくしなければならない利害を持つ東京電力と被災者の間に賠償問題を委ねると、十分な賠償金が支払われるまでに、途方もない時間と手間が掛かる可能性がある。被害を立証し、賠償金を取らなければならない被災者の負担は極めて大きなものになるだろう。
*** 古賀氏への辞職勧告を撤回したら ***
海江田大臣が、自らの行政の不手際の罪滅ぼしをしようとする意志を持つなら、今回の原発事故に関する賠償は国が矢面に立って、責任を持って行うべきだと主張すべきだ。そして、原発賠償機構法案を批判し、葬った上で、職を辞するべきだろう。こんな法案を通しても、国民のためにならない、とはっきり述べたらいい。
原発の安全性に関する基準と、これを管理する組織については、「次の内閣で早急に検討すべきだ」と述べて、後任に託するといい。そのために、菅氏は一日も早く首相を辞するべきだ、と付け加えてもいい。
加えて、不当な辞職勧告を受けている経産省の古賀茂明氏と経産省の事務次官と三者で面談を行って、次官に辞職勧告を撤回させることと、インサイダー取引で摘発された職員の人事的処分を行って、辞任するならなおいいだろう。
国民の多くが、菅首相の一日も早い退陣を望んでいることを考えると、首相に対する批判姿勢を鮮明にして、菅首相の辞任が早まるように動くことが、海江田氏への支持につながる筈だ。
前述のように、海江田万里氏の選挙区である東京一区は、与謝野馨氏の選挙区でもあり、次回の総選挙では、大物の「刺客」候補が送り込まれる可能性もある。
菅首相にぼろぼろにされたまま、一矢報いることなく愚図な大臣を続けることは、海江田氏の将来にとっても好ましくないのではないだろうか。
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原発利用32年ぶり30%台
また、2月に70.8%だった日本原子力発電を含む原子力発電所の設備利用率は、東京電力・福島第一原発の事故発生以降下がり続け、6月は、前の年の同じ月に比べて29.3ポイント低下の36.8%と大幅に下落しました。1979年5月以来、およそ32年ぶりに30%台まで落ち込んだことになります。
5月に入って、中部電力・浜岡原発の全面停止など5基の原発が運転を停止したことに加え、定期点検後も地元の理解が得られず運転を再開できない状況が続く中、7月中にはさらに2基の原発が定期検査に入る予定であることから、原発の設備利用率は今後もさらに下がることが予想されます。(12日21:39)
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「食」への不安、全頭検査はできるのか
「1キロあたり3400ベクレルを毎日食べ続けたとしても、直接健康に影響はないと思います。実際、毎日毎日1年間食べ続けることは、まずありえませんから・・・。基準値ぎりぎりの場合は、サンプル検査ではどうしても見落としが出てきますから、これはやはり全頭検査をやらなければならない」(元原子力研究所研究室長・笠井篤氏)
これまで福島県は福島第一原発近くの特定地域の農家が出荷した肉牛については、全頭、体の表面の検査を行っていました。今後さらに、解体後の肉についても全頭検査を実行していく予定です。
「福島県が全頭検査したいと聞いておりますので、できることは協力したい」(鹿野道彦農水相)
ただ、福島県肉牛のほとんどは県外で解体されています。その場合、検査は解体場所の自治体が行うことになります。各自治体からは、不安の声が聞こえてきます。
「検査機器の数に限りもあり、野菜や魚介類も調べています。現実的なのでしょうか」(東京都の担当者)
「今、栃木県に検査機器はなく、入るのは8月くらいです。努力はしたいけれど、物理的な限界はあります」(栃木県の担当者)
原発事故が引き起こした「食」への不安。どうすれば払拭できるのでしょうか。(12日23:04)
「この記事の著作権は TBS系(JNN) に帰属します。」
汚染水処理装置で薬液漏れ、同じところ2回目
東京電力福島第一原子力発電所で12日、汚染水処理装置の配管の継ぎ目から薬液と汚染水あわせて約10リットルが漏れた。
原因は継ぎ目の腐食で、東電は材質の違う継ぎ目に変更、7時間半後に装置の運転を再開した。
この継ぎ目からの漏えいは、10日に続いて2回目。前回は塩ビ製の継ぎ目に亀裂が生じていたため、鋳鉄製に交換した。しかし、わずか1日半で腐食が進み、再び破損に至った。今回はさらに強い材質のステンレス製に交換した。東電の松本純一・原子力立地本部長代理は「鋳鉄製の継ぎ目にはメッキがしてあり、腐食しないと考えていた」と説明している。
また、東電は12日、福島第一原発の作業員2人が熱中症にかかったと発表した。2人は30代と40代で、作業中に体調不良を訴えたが、医務室で点滴などの手当てを受けて回復、帰宅した。
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また、東電は12日、福島第一原発の作業員2人が熱中症にかかったと発表した。2人は30代と40代で、作業中に体調不良を訴えたが、医務室で点滴などの手当てを受けて回復、帰宅した。
「この記事の著作権は 読売新聞 に帰属します。」
「脱原発」という誤ったアジェンダ
朝日新聞の世論調査によれば「脱原発」に賛成する人が77%だそうである。その質問はこうなっている:
原子力発電を利用することに、賛成ですか反対ですか。
賛成34 反対46
原子力発電を段階的に減らし、将来は、やめることに賛成ですか反対ですか。
賛成77 反対12この他にもエネルギー政策にからんだ質問があるが、話題は「脱原発か否か」に集中している。きょうの夕刊の「素粒子」というコラムはもっと正直に朝日新聞の立場を表明している。脱原発派77%、20年以内に全廃すべきだという一63%、と本紙調査。先に進む世論。くみ取る受け皿のない政治。脱原発は「先に進んでいる」人々で、与野党ともに脱原発を打ち出さないのは「遅れている」わけだ。朝日新聞の万年野党的な「進歩史観」はまだ健在らしいが、問題はこの筆者の幼稚なバイアスではない。いま日本のエネルギーで重要な問題は原発か否かだというアジェンダ設定である。
メディアについての実証研究では、政治的に特定のイデオロギーに読者を誘導する傾向はそれほど強くなく、その最大の影響は何が重要な問題かというアジェンダ設定だ、ということがよく知られている。福島第一原発のポンプの話まで毎日大きく報道され、世論調査でもこういう質問をすると、「危険な原発はない方がいい」と答えるのは当たり前だ。
問題は、原発をなくしたら何がその代わりになるのか、ということだ。再生可能エネルギーはベースロードとしての原発の代わりにはならないので、現実には火力発電しかない。それによって大気汚染や地球温暖化は悪化し、「温室効果ガス25%削減」という国際公約は不可能になる。健康被害も確実に増える。
それは人々の「安心」のコストとしてはしょうがないのかもしれないが、少なくともそういう「損益計算書」を提示して議論すべきだ。そういうトレードオフの中でどういう目的関数を設定し、それに対してどういうエネルギーのオプションを用意するのか、というのがエネルギー戦略である。
エネルギー問題には非常にリスクが大きいので、金融と同じく「原子力ゼロ」とか「再生可能エネルギー100%」といった極端な解が最適になることはまずなく、多様なオプションを組み合わせることが重要だ。投資規模が大きいので政府の介入する余地はあるが、最終的には民間企業が自分のリスクで判断することが望ましい。そのためには地域独占ではなく、多くの企業が競争して効率的なポートフォリオを組む必要がある。
いま重要なのは、原子力か否かという手段の是非ではなく、日本がエネルギーの経済性と環境のバランスをどう見るのかという目標の設定と、それを実現する制度設計である。特に国会で審議が始まった原賠機構法案で問題なのは、地域独占か電力自由化かという問題だ。脱原発とか再生エネルギーとかいう問題は、緊急性も重要性もそれよりずっと小さい。
われわれが緊急提言したのは、ここで東電を救済すると改革のチャンスは二度と来ないからだが、マスコミは賠償問題をほとんど報じない。放射能の恐怖ほど一般受けしないし、「メガソーラー」のように絵にならないからだろう。このように誤ったアジェンダを設定することによって彼らは国民をミスリードし、本質的な改革をつぶすのである。
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